フレッシャーズにはフレッシャーズの時にしかない特権があります。

まだ知らないことは恥ではありません。何でも聞けばよいし、先輩も教えてくれます。ただ、いつまでも聞くばかりでは進歩しません。まだこの特権があるうちに、いろんなことを覚えましょう。

今回は、『あまりうまい設計ではない場合の信号波形』です。

あまりうまい設計ではない場合の信号波形

うまい設計とうまくない設計があります。

うまい設計とは、要求される仕様に対して必要最低限のコストしかかけずに、試作機に電源を入れたらすぐに(一発で)動作するような設計です。一発完動というような言い方をします。

その逆がうまくない設計です。必要以上のコストをかけて電源を入れたら誤動作して、再設計しなければならないような設計です。いちがいには言えませんが、一発完動は全体の設計の中で、半分もないでしょう。

一発完動しない場合には再設計の費用はもちろんですが、市場にその製品を出すタイミングが遅れてしまいます。出遅れた場合には値段競争になって、十分な利益を得ることができません。設計するなら最初から一発完動を狙うようにしてください。

さて、信号の話に戻ります。信号の変化は、ナノ秒(ns:nano second)単位です。ナノは 10 のマイナス 9乗を意味します。例えば、PC の CPU のクロック周波数が 3 GHz(ギガ・ヘルツ)というのは、ギガは 10 の 9乗なので、その逆数をとると 0.33 ns になります。1 ns の間に CPU は 3つの処理をこなしています。0.33 ns という時間は、光が 10 cm 進むのに要する時間です。電気の速度は少し遅くて、光の半分の速度です。

図1 は、15 cm の配線を電気信号が進む場合の受け側の信号の変化を時間で表したものです。図1(a) はしばらく振動していますが、図1(b) はすぐに落ち着きます。どちらの設計がうまい設計でしょうか?

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図1 (a) 振動する波形
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図1 (b) すぐに落ち着く波形

答えは (b) です。

(a) のように振動していると、受け側の回路は High か Low かしばらく判断がつきません。どうすれば (b) のような波形にできるでしょうか?

それは、以下の記事を読めば理解できると思います。

フレッシャーズ:ダンピング抵抗~その1
フレッシャーズ:ダンピング抵抗~その2

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