LTspice内に用意されているコンポーネントの中には、アナログデバイセズ社製品以外に色々な部品が用意されています。
その中で、車載ECU(Electronic Control Unit) 電源ラインの過渡電気伝導妨害試験のシミュレーションに用いることができる、ISO電圧モデルソースを紹介します。
もしLTspiceを今から始められる方でしたら、以下の一覧から「基本編」を見ることをお勧めします。
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電源ラインの過渡電気伝導妨害試験とは?
車載ECUは、動作中に電源ラインにサージや過電圧が入ってきた時や、コールドクランクにより電源電圧が不安定になった際に異常が発生しないか試験をする必要があります。
そのような試験の方法が、電源ラインのサージ試験、電源電圧変動試験要求として、ISO7673-2/ISO16750-2で定められています。
ISOモデルを使っていない場合は?
国際規格として過渡電気伝導妨害試験は、決まっています。しかし実際は、各メーカーがISOモデルをベースに若干変更を加えるなどして試験をしていると思います。
LTspiceで用意しているISOモデルについても、試験条件を変更することが可能です。
次のフォルダー内に「ISO16750-2.lib」と「 ISO7637-2.lib」と言うファイルがあり、このライブラリーファイルを変更することで試験条件を追加・変更することが可能です。
C:\Users\ユーザー名\Documents\LTspiceXVII\lib\sub
それぞれのライブラリーファイルをテキストエディターかLTspiceで開くと、次のような内容が記載されています。.subcktで始まる記述が各PulseのSpice model.になります。
必要に応じて、カスタム条件を作成して保存して使ってください。

ISO-7637-2モデルの動作確認
ツールバーからコンポーネントを選択します。リストの中から、ISO-7637-2を選択し配置します。
ISO-7637-2の中のPulse 2aの12V条件を選択してください。
1KΩの抵抗を配置して、次のような回路を構成してトランジェント解析をおこないます。
シミュレーション時間は、0.3secを設定して実行します。
回路図とシミュレーション結果は、下記の様になります。

モデルの内容について
a) ISO7637-2
ISO7637-2には、12Vと24Vの条件があり、それぞれPulse 1, 2a, 2b, 3a, 3bと言う5つの規定があります。
LTspice上で条件を切り替えるには、モデル上で右クリックすると「Component Attribute Editor」が開きます。
エディターメニュ内の SpiceModelのValue部をクリックすると、図の様に各Pulse条件を選択できるようになっています。

b)ISO16750-2
ISO16750-2には、次の9つの規定があります。
・4-4: Superimposed Alternating Voltage
・4-5: Slow Decrease and Increase Supply Voltage
・4-6-1: Discontinuities in Supply Voltage (Momentary supply voltage)
・4-6-2: Reset Behavior at Drop Voltage
・4-6-3: Starting Profile
・4-6-4: Load Dump Without Centralized Load Dump Suppression (TestA)
・4-6-4: Load Dump With Centralized Load Dump Suppression (TestB)
・4-7: Reversed Voltage
・4-9-1: Single Line Interruption
ISO16750-2の条件も、モデル上で右クリックすると「Component Attribute Editor」が開きます。
エディターメニュ内の SpiceModelのValue部をクリックすると、図の様に各Pulse条件を選択できるようになっています。

今回ご紹介したISOモデルを使用して、是非、アナログデバイセズ社のサージストッパーや理想ダイオード製品などを検討して頂ければと思います。
アナログデバイセズ社のページに更に詳しい技術記事も用意しております。下記リンクからご確認ください。
また、ISOの規格に関して詳細を知りたい場合は、下記リンクからご確認ください。
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