自動復帰可能な電子ブレーカー

自動復帰可能な電子ブレーカーのメリットとは?

関連情報記事"電流検出アンプで作る電子ブレーカー"は障害を取り除いた後に電源の再投入やLE端子によるリセット(一旦Lowにする)で復帰することが可能ですが、複数の子機にリモート給電する親機の場合には、電源の再投入や子機ポート毎にリセット端子を設けることが難しいことや、自動的に復帰した方が使い勝手が良い場合があります。


このような場合は定期的にリトライを行い、自動復帰してくれると便利です。 これはLT6118でも付加回路により実現可能ですが、LT1910を用いるとより簡単に実現することができます。

保護機能付きハイサイドMOSFETドライバLT1910

LT1910は昇圧回路内蔵のN-チャンネルMOSFETドライバで、短絡保護用の電流検出回路を備えているので電源の回路ブレーカーに応用することが可能です。 電源電圧は8V~48Vのため、3.3Vや5Vの低い電源電圧システムには使えませんが、タイマーを内蔵しているので自動復帰時間をプログラムすることができます。

 

以下にLT1910の特徴と機能ブロック図を示します。

 

LT1910の機能ブロック図(出典:LT1910 データシートより抜粋)
LT1910の機能ブロック図(出典:LT1910 データシートより抜粋)

  LT1910の特徴

  - 電源電圧範囲:8V~48V
      - -15V~60Vの電源過渡に対する保護機能搭載
      - 短絡保護
      - 自動再起動タイマ
      - オープンコレクタ・フォールト・フラグ
      - 完全動作のNチャネルMOSFETスイッチ
      - 電流制限、遅延時間、自動再起動期間をプログラム可能
      - 電圧が制限されたゲート・ドライブ
      - オープン入力時にデフォルトでオフ状態
      - SO-8パッケージで供給

LTspiceを使用した回路例と結果

下記は、LTspiceを使用したLT1910による回路例で、電流検出はシャント抵抗R1で行い電圧降下が50mVに達するとリミットが掛かります。 スパイク電流での検出を防ぐためにR3,C3,C4で検出に遅延時間を与えています。 Timer端子に接続したコンデンサで復帰時間をプログラム可能で、上記の回路例では約0.7秒毎のリトライとなるため、出力短絡時の発熱を大幅に軽減できます。

 

また、これに約5Vに2.2KΩの抵抗でプルアップすることで自動復帰を無効にすることも可能です。 Fault端子を5Vプルアップしていますが、これはステータスを確認するものなので、ステータス表示が不要であればオープンで使用できます。 なお、D1はMOSFET M1のゲート保護のためにVgs電圧を抑えるために使用しています。

 

IN端子の本来はゲートをドライブするロジック信号ですが、入力電圧が一定以下では動作しないようにする(UVLO: Under Voltage Lockout)機能に使用しています。

LT1910による自動復帰48V電源回路ブレーカーの回路例と動作波形
LT1910による自動復帰48V電源回路ブレーカーの回路例と動作波形

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