オペアンプを予期しない故障から保護するには?

過電圧や電源シーケンスに注意!

オペアンプの電源は、入力信号が印加されるのと同時か、その前に確立されていなければなりません。さもなければ、過電圧やラッチアップによる問題が生じてしまうおそれがあるからです。 (出典:アナログ・デバイセズ社「オペアンプに対する不適切な電源シーケンス、そのリスクを分析する」)

ADG5462F_センサー入力とオペアンプ接続図
図1:センサー入力とオペアンプ接続図

外付けのセンサーの入力回路としてオペアンプを使用したときを考えてみましょう(図1)。

 

センサーの信号をオペアンプに入力する前に、オペアンプの電源が投入されている状態が正しい手順となります。しかし、この手順がいつも正しく守られるという保証はあるでしょうか?

 

チャネル・プロテクター製品を使用することで、予期しない入力信号からオペアンプを容易に保護することができます。

4チャンネル・プロテクター(ADG5462F)の製品説明

ADG5462Fは±55Vの過電圧保護機能を提供する、4チャンネルプロテクターです。

使い方は簡単で、信号経路に直列に挿入して過電圧から敏感な部品を保護します。

シーケンスは不要で、電源が投入されていない時には、入力ラインを遮断し繊細な入力回路を強力に保護します。電源投入後には低いオン抵抗(10Ω Ron)で入力ラインに影響を与えません。

電源投入前だけでなく投入後も過電圧をカットを上限と下限で設定できます。設定電圧はオペアンプ電源をそのまま接続することも、抵抗分圧で設定することもできます。

高耐圧プロセスによるラッチアップ耐性。素子が増えても心配は増えません。

 

主な特長

 ・入力ピンは電源未投入時に−55 V ~ +55 Vの電圧に対して保護されています。

 ・トレンチ・アイソレーションによりラッチアップから保護されます。

 ・低オン抵抗とオン抵抗平坦度について最適化されています。

 ・過電圧検出によりチャンネルの動作状態がデジタル出力されます。

 ・ADG5462Fは±5 V ~ ±22 Vの両電源、又は8 V ~ 44 Vの単電源で動作します。

端子機能

ADG5462Fの機能ブロック図
図2 : ADG5462Fの機能ブロック図

 

 Sx:入力(ソース)端子

 Dx:出力(ドレイン)端子

 VDD:電源(+)

 VSS:電源(-)

 POSFV:故障検出電圧レベル(+)

 NEGFV:故障検出電圧レベル(-)

 DR:故障時出力設定入力(Hi-Z / 故障検出レベル)

 FF:故障状態出力

 GND:基準電位

 

保護回路例

ADG5462Fを使用した保護回路例を、3つご紹介します。

使い方1:電源投入前のセンサーからの入力を遮断  

ADG5462F_電源投入前のセンサーからの入力を遮断する接続図
図3: 電源投入前のセンサーからの入力を遮断する接続図

光学系の素子などをセンサーとして使用していると、どうしてもオペアンプの電源投入よりも早く、センサーの出力をオペアンプに入力してしまう場合があります。

 

その様な時は、図3の様にADG5462Fを使用することでセンサーとオペアンプをアイソレーションすることが出来るので問題を回避することが出来ます。

 

ADG5462Fは、電源が無い状態でも±55Vの耐圧があるので、電源投入前にADG5462Fに対してセンサー信号入力があったとしても故障することはありません。

使い方2:過大入力を遮断する

ADG5462F_過大入力を遮断する接続図
図4 : 過大入力を遮断する接続図

オペアンプに入力できる信号の範囲は、オペアンプに印加している電源範囲内になるので図4の場合は、±5V以内となります。

 

オペアンプに±5V以上の過電圧が印加されないように計算し設計していたとしても、センサーは自然界の情報をモニターしているので突発的に想定以上のレベルの信号を出力する可能性があります。

 

その様な場合の解決策が、図4の接続事例です。

 

図4の場合であれば、入力信号がPOSFVとNOGFVピンで設定している±5Vのスレッショルド電圧以上になると、プロテクターが過電圧を検出して出力がシャットダウンしオペアンプを保護します。

使い方3:遮断条件を後段回路に合わせて調整

ADG5462F_遮断条件を後段回路に合わせた接続図
図5: 遮断条件を後段回路に合わせた接続図

使い方2の応用です。

 

前段の回路と後段の回路の電源電圧が異なる場合でも、POSFVとNOGFVピンで設定している±5Vのスレッショルド電圧以上になるとプロテクターが過電圧を検出して出力がシャットダウンしオペアンプを保護します。

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