前回の記事 LTspiceを使ってみよう-電圧制御電圧源で増幅器を作ってみようでは、制御型の電圧源 E(VoltageDependent Voltage Source)の使い方をご紹介させていただきました。 今回はLaplace(ラプラス)関数を使い、前回とは異なる方法でオペアンプモデル(増幅器)を作ってみたいと思います。
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Laplaceとは?
LTspiceの制御型電圧源 (E) では、Laplace関数(ラプラス関数:変数Sを用いた伝達関数)を使うことができます。この機能により、電圧源に微分方程式を組むことで様々な等価モデルを作成することが可能となります。
おそらく電気・電子工学を学んだ方は、ラプラス変換などの言葉を聞いたことがあるかと思います。詳しい話は参考書などを参考にしていただければと思います。
Laplaceで1次ローパスフィルターを作ってみよう!
1次ローパスフィルターのモデルをLaplace関数で作成しながら、使い方を説明していきたいと思います。
前回の記事 と同じように電圧制御型モデルの 'e' を使い、"Value" の部分にLaplace関数を記入します。
なおコンポーネンツ(E1)のところにカーソルを合わせて右クリック、もしくは "E" の文字の上で右クリックでエディターが開きますので "Value" のタグが開きます。
1次ローパスフィルターの伝達関数は、1次遅れ要素となるため "1/(1+TS)" で表現されます。
ここでは、カットオフ周波数fc=1.59kHzに設定します。そのため "T=1/(2*pi*fc)=100e-6"と計算ができ、式には、"Laplace = 1/(1+100e-6*s)" を記入します。
回路図は図3のように設定し、AC解析で周波数特性を確認すると、約1.59Hzのカットオフ周波数が観測されました!
なお抵抗 (R) とコンデンサー(C) の部品コンポーネンツを使い、カットオフ周波数fc=1.59Hzの1次ローパスフィルターを作成した結果を図4にのせておきます。
このように、Laplace関数表記を使うことで、部品コンポーネンツで構成する代わりに、数学的なモデルを活用してシミュレーションをおこなうことができます。
Laplaceでオペアンプモデルを作ってみよう!
最後に、Laplaceを使いオペアンプモデルを作成してみたいと思います。
仕様は、オープンループゲイン100dB(10^5倍)、ユニティゲイン10MHz(GB積=10MHz)のモデルを考えてみます。なお、オフセットなどのスペックは考慮せず、増幅率と帯域のみ設定する簡易アンプモデルとします。
オペアンプの伝達関数 (G) は、増幅率 (A) と1次遅れの要素 (1+TS) から "G=Vout/Vin=A/(1+TS)" で表現できます。Aは100dBなので1e5とします。また、TはGBWより求めます。カットオフ周波数fcはGBW/A=10MHz/1e5=100Hzと計算ができますので、最終的にはT=1/(2*pi*Fc)=0.00159となります。
最後にラプラス関数を用いて "Laplace = 1e5/(1+0.00159*s)" を式に記入して、図5のシミュレーションを実行します。
AC解析結果のとおり、GBW=10MHzの簡易オペアンプを簡単につくることができました。
今回検証したLTspiceデモ・ファイル
今回実施したシミュレーションが格納されています。ぜひ、お試しください!
最後に
今回はLaplace関数を使いフィルターやオペアンプを作成してみました。
Laplace関数は増幅器、フィルター設計だけでなく、制御系設計、モーターのモデリングなど、電子回路とその他の物を組み合わせた解析をしたい時に応用もできますので、ぜひ活用してみてください。
まだLTspiceを使ったことがない方は、下記のリンクよりLTspiceをダウンロードしてみてください!
ぜひ、一度お試しください。
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