デジタル・ポテンショメーターとは?

あまり知られた存在ではないかもしれませんが、本記事では「デジタル・ポテンショメーター」を紹介します。

そもそもポテンショメーターって?

ポテンショメーターは、もともと回転角や直線上の位置によって変化する抵抗値を電圧(電流)に変換するデバイスを指していますが、アナログ電圧や電流を調整する可変抵抗(ボリューム)や半固定抵抗(トリマー)もポテンショメーターの仲間として使われています。
構造的には、抵抗体とその抵抗体上をスライドする接点で構成されています。

ボリュームがデジタルに?

ポテンショメーターは、構造上摺動部があるので、振動や衝撃が加わると接点の位置が変化して出力が変動する場合があります。また、経年変化によって接点の接触不良によって正常な出力が得られないということも起こります。よく古いラジオのボリュームを回すと”ガリガリ”と音がすることがありますよね?これが接点の接触不良によるものです。

デジタル・ポテンショメーターでは、機械的な可動部がないので部品としての寿命も長くなり、また摺動部もないので接触不良による不具合もありません。では、デジタル・ポテンショメーターは、どのように使われるのでしょうか?

デジタル・ポテンショメーターの動作

デジタルになっても、機能は従来のポテンショメーターと同じです。
電気・電子回路での一般的な用途としては、電圧調整、電流調整やゲイン調整に使われます。

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プログラマブル電圧
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プログラマブル電流
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プログラマブルゲイン

デジタルポテンショメーターのアーキテクチャー

デジタルポテンショメーターも3端子デバイスで、内部は直列に接続された抵抗ストリングとスイッチで構成されています。

ワイパー端子の位置をデジタルコードで設定することにより、抵抗ストリング上の任意の位置に接続できます。

1-3間の抵抗は、エンド・ツー・エンド抵抗と呼ばれます。
1-2間の抵抗と3-2の間の抵抗の合計が1-3間の抵抗値になります。
1、2、3の端子に印加する電圧極性に特に制約はありません。
ただし電源電圧範囲を超える信号は印加しないでください。

デジタルポテンショメーターのインターフェース

さて、それではデジタルポテンショメーターの抵抗値は、どのように変更するのでしょうか。
抵抗値を設定するインターフェースとしては、いろいろなものが用意されています。


一般的に使用されているI2C、SPIといったシリアルインターフェースの他に、アップボタンとダウンボタンで抵抗値を増減するプッシュボタンインターフェース、信号のHi/Loレベルで抵抗値を増減するアップダウンインターフェースなどがあります。

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I2Cインターフェース
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プッシュボタンインターフェース
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アップダウンインターフェース

デジタルポテンショメーターの内部メモリー

さて、デジタルポテンショメーターのおよその動作は、理解して頂けたかと思います。ここから使用する際の注意点などを説明します。

 

まず設定した抵抗値について、機械式のポテンショメーターやボリュームは電源を切ってもそのままの位置が保持されていますよね?
ところがデジタルポテンショメーターは、電気的に抵抗値を設定しているので、電源を切ると抵抗値がリセットされてしまいます。

 

そこで電源を切っても設定した抵抗値を保持したい用途向けにはメモリーを内蔵して抵抗値を記憶(記録)します。
デジタルポテンショメーターの使用用途や目的に応じて、以下のような種類が用意されています。

抵抗値設定用メモリーの種類 メモリー種類別ポテンショメーターの抵抗値設定動作
揮発性メモリー 電源OFFで設定した抵抗値はリセットされます。
一般的にはパワーアップ時にミッドスケールになります。
ワンタイム・プログラマブル ワイパーのパワーアップ位置を一度だけ設定できます。
出荷時校正に最適です。
マルチタイム・プログラマブル 数10回程度のワイパー設定保持を保証するメモリーを搭載しています。
EEPROM 最大で100k回の書換え回数と、50年間のデータ保持性能を保証するものもあります。

 

使用用途によってインターフェースやメモリー構成を選んでください。


デジタルポテンショメーターは、こちらでも取り扱っていますので一度使ってみてください。

 

また、LTspiceでポテンショメーターのモデルを作りたい方は、こちらをご覧ください。

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