インダクター、コンデンサーは電子回路を作るうえでなくてはならない部品です。その動作の基本的な役割を解説します。
今回の内容は、Part11”セラミックコンデンサーの容量変化”になります。
他の記事もご覧になりたい方はまとめページがありますので、そちらをご覧ください。
概要
コンデンサーの主流となっているセラミックコンデンサーは使用条件によって、容量が変化することが知られています。
今回はWurth Elektronik社のセラミックコンデンサーのデータを例として容量変化について解説します。
セラミックコンデンサーの分類
セラミックコンデンサーは一般的に温度補償用と高誘電率系の二種類に分類され、特徴としては以下があげられます。
・温度補償用は大きな容量を得ることはできないが、電圧、温度などによる容量変化は少ない。
・高誘電率系は誘電率の高い材料を使用しているため、大きな容量を得られるが、さまざまな要因で容量変化が発生。
高誘電率系を使用する場合は発生する容量変化を理解したうえで選定する必要あり。
図1は、EIA規格の温度補償用の温度特性の分類です。

図1:温度補償用セラミックコンデンサーの温度特性分類
Wurth Elektronik社ANP062より
ここからC0G特性の場合、温度変化は±30ppm/℃と非常に小さいことがわかります。
図2は、EIA規格の温度補償用の温度特性の分類です。

図2:高誘電率系セラミックコンデンサーの温度特性分類
Wurth Elektronik社ANP062より
ここからX7R特性の場合、-55~125℃の動作温度範囲において温度変化は±15%以内であることがわかります。
DCバイアス特性
高誘電率系のセラミックコンデンサーではDCバイアス特性の影響を考慮する必要があります。DCバイアス特性とはDC電圧を印加した時に静電容量が減少してしまう現象を指しており、印加する電圧だけでなく温度特性またはサイズによっても特性が変化する点に注意が必要です。
図3はDCバイアス特性の代表例です。高誘電率系はDCバイアスによって容量が減少していることが確認でき、温度特性によってDCバイアス特性が異なります。X5R/X7Rといった特性の良いものでも定格電圧近くで使用すると公称値の半分以下の容量になってしまいます。

図3:DCバイアス特性代表例
Wurth Elektronik社HPより
また、DCバイアス特性は同じ公称容量/耐電圧/温度特性の製品であってもサイズによってその特性は変わってきます。図4は、Wurth Elektronik社の設計ツールREDEXPERTにて10μF/10V/X7Rのセラミックコンデンサーを3つのサイズで比較した結果です。

図4:DCバイアス特性サイズの影響
この比較から6VのDCバイアスで使用した場合では2012サイズと3216サイズでは2倍以上容量が異なることがわかります。このため特性代表例で示されているものではなく、部品ごとのDCバイアス特性を確認する必要があります。
温度特性
セラミックコンデンサーの分類項でも記載した通り、高誘電率系は使用する温度によって容量が変化します。例えばX7R特性では規格では使用温度範囲において±15%以内になることが記載されていますが、実際の変化量を知る必要があります。
図4は温度特性の代表例です。

図5:温度特性代表例
Wurth Elektronik社HPより
この例からX7Rでは使用温度範囲において容量がプラス側になる温度は少なく、低温、高温領域になると常温に対して容量が低下する特性を持っていることがわかります。
経時変化
高誘電率系のセラミックコンデンサーは経時変化も起こります。
図6は経時変化の代表例です。時間の経過と共に容量が低下していることが確認できます。

図6:経時変化代表例
Wurth Elektronik社HPより
グラフから時間と容量変化の関係は時間を対数にした片対数グラフでほぼ直線的に低下してきますので、使用する時間を考慮して経時変化を想定することができます。
シミュレーションツールのご案内
お問い合わせ
本記事に関してご質問などありましたら、以下より問い合わせください。
すぐに購入を希望の方はこちら
ウルトエレクトロニクス メーカー情報Topへ
ウルトエレクトロニクスメーカー情報Topページへ戻りたい方は、以下をクリックください。