【受動部品(LC)の基礎講座シリーズ】LCの基本 ~Part12 スーパーキャパシターとは~

インダクター、コンデンサーは電子回路を作るうえでなくてはならない部品です。その動作の基本的な役割を解説します。
今回の内容は、Part12”スーパーキャパシターとは”になります。

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概要と特徴

一般的なコンデンサーに比べてスーパーキャパシターは非常に高い性能を持っています。とても大きい静電容量、低いESR、高サイクル寿命及び低充電時間などの特徴があります。

エネルギー密度はバッテリーには劣りますが、瞬間的な充放電や大電流による充放電が必要な用途または性能の劣化が少ない点から耐久性を求める用途に適しています。

今回はスーパーキャパシターについて解説します。

スーパーキャパシターの分類と特徴

スーパーキャパシターは図1のように大きく3種類に分類されます。

現在主流になっているものは電気二重層キャパシターでEDLC(Electric double-layer capacitor)とも呼ばれるスーパーキャパシターです。

電荷の吸着・着脱反応でエネルギーを保存します。

1 スーパーキャパシターの分類

スーパーキャパシターは図2のようにバッテリーより高い電力密度かつ一般的なコンデンサーより高いエネルギー密度を持っています。

バッテリーでは充電は数時間程度かかりますが、スーパーキャパシターは数秒程度の急速な充電が可能で、充放電サイクル回数にも制限がありません。

図2:エネルギー密度と電力密度:Wurth Elektronik社HPより

その特徴から以下のような用途に用いられます。

・バッテリー交換時や電源オフ時に電力を供給する

・停電時などの緊急時にICメモリーのデータ保護

・エネルギー変動時の電力アシストによりバッテリーの寿命を延ばす

主なパラメーター

EDLCの基本パラメーター

・定格電圧:2.7V定格などの製品が多く耐圧を超えた電圧を印加すると故障の要因となってしまう。高い電圧を得るためには直列で使用する。

・静電容量:数F~数百Fの製品が多く一般的なコンデンサーと比べてとてつもなく大きな容量を持っている。

ESR:数m~数十mΩの製品が多い。セラミックコンデンサーに比べると大きく、大電流を流すことができるためESRが発熱の要因になりえる。
   大電流での連続した充放電をおこなう場合は発熱を考慮する必要がある。

・エネルギー貯蔵能力:下記の式で算出可能。用途によって必要なエネルギー貯蔵能力をもった製品を選定する必要がある。

まとめ

スーパーキャパシターは非常に大きな静電容量を持ち急速な充放電が可能、さらに長寿命で使用できるといったメリットを多く持っています。

一般的なコンデンサーとバッテリーの中間の役割を担い、バックアップ電源や電力アシストなどをおこなうために重要な役割を果たします。

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