インダクター、コンデンサーは電子回路を作るうえでなくてはならない部品です。その動作の基本的な役割を解説します。
今回の内容は、Part8”コモンモードチョークコイルとは”になります。
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コモンモードノイズとディファレンシャルモードノイズ
伝導ノイズにはコモンモードノイズとディファレンシャルモードノイズ(ノーマルモード)があります。
図1,図2のようにそれぞれ電流の方向が異なります。

図1 コモンモードノイズの電流方向

図2 ディファレンシャルモードノイズの電流方向
コモンモードノイズ | リターン電流の一部が大地や筐体などを通って戻るような場合を指し、ノイズ電流の向きが同じことからコモンモードと呼ばれる。 |
ディファレンシャルモードノイズ | ノイズ源があるラインを通って流れると、そのリターン電流が、対となるラインを通って流れる場合を指す。行きと戻りの向きが逆になることからディファレンシャルモードと呼ばれる。 |
コモンモードチョークコイルとは
コモンモードチョークコイルは図3のような構造となり一つの鉄心に二つの巻線で構成され、巻数が同一で巻線方向を反対にすることでノイズ電流の方向によって異なる動作になります。

図3コモンモードチョークコイルの構造
コモンモードチョークコイルは図4のように動作モードによって動作が異なります。コモンモード電流に対しては磁束が足しあわされてインダクターとして動作し高いインピーダンスによってノイズを除去します。
逆に、ディファレンシャルモード電流に対しては磁束を打ち消しあう動作をするため、インダクターとして機能は無く、ディファレンシャルモードの信号には影響を与えません。

図4動作モードによる電流と磁束の向き
コモンモードチョークコイルのインピーダンス特性
コモンモードチョークコイルのインピーダンス特性例を図5に示します。
コモンモードチョークコイルはディファレンシャルモードに対しては磁束を打ち消しあう動作をするため理論的にインピーダンスはゼロになりますが、図5の赤で示されたインピーダンス特性のように実際は漏れ磁束の影響で完全に打ち消しあうことができずインピーダンスを持ちます。
これは、低周波では非常に小さく無視することができますが、高周波になると大きくなっていくため使用する信号の周波数によってはこの特性を考慮する必要があります。
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