【受動部品(LC)の基礎講座シリーズ】LCの基本 ~Part7 結合インダクターとは~

インダクター、コンデンサーは電子回路を作るうえでなくてはならない部品です。その動作の基本的な役割を解説します。

今回の内容は、Part7”結合インダクターとはになります。

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結合インダクターとは

一般的なインダクターは一つの鉄心に一つの巻線がされているものです。それに対して図1~3のように一つの鉄心に二つの巻線があるものが結合インダクターやCoupled Inductorと呼ばれています。

同じ構成のものでトランスやコモンモードチョークコイルがありますが、主にSEPICCukZETAコンバータなどを構成するために使用されるインダクターが結合インダクターと呼ばれています。

使い方によってはトランスやコモンモードチョークコイルまたはシングルのインダクターとしても使用することができますが、多くの場合でこれらの用途に適した製品があるため使用されるケースは多くありません。

結合インダクターの外観例 結合インダクターの外観例

図1:結合インダクターの外観例

結合インダクターの内部構造例 結合インダクターの内部構造例

図2:結合インダクターの内部構造例

回路図例 回路図例

図3:回路図例

結合インダクターの使用例

SEPICコンバーターを例として結合インダクターの使用例を説明します。SEPICコンバーターはSingle-Ended Primary Inductor Converterの略で昇圧も降圧もできる電源回路です。

図4にSEPICコンバーターの回路例を示します。

SEPICコンバーター回路例

図4 SEPICコンバーター回路例

アナログ・デバイセズ社LT3580データシートより

図4のようにSEPICコンバーターではインダクターを2個使用して構成しています。ここに結合インダクターを使用して構成することも可能で、結合インダクターを使った回路では回路例にあるように極性を示すマークがあります。

結合インダクターのメリット

図4からわかるように2個のインダクターで構成するものを結合インダクター1つで構成することができ、リップル電流が共有されるためシングルインダクター2個で構成するものと同様のリップル電流を得るために必要とするインダクタンスは半分で済みます。

これらの特長から結合インダクターを使用することで下記のメリットがあります。

・サイズを抑えることができる
・コストを抑えることができる
・損失(DCR)を抑えることができる

結合インダクターの応用例

SEPIC、CukZETAコンバーター以外にも結合インダクターを使用することができます。巻数比1:1のフライバックコンバーターでも使用でき一般的なトランスより小型に回路を構成することが可能です。結合インダクターの応用例を6つ示します。

Multi Output Buck Multi Output Buck

Multi Output Buck

Flyback Flyback

Flyback

SEPIC SEPIC

SEPIC

ZETA ZETA

ZETA

Cuk Cuk

Cuk

High Step-up Boost High Step-up Boost

High Step-up Boost

革新的な結合インダクターの構造、特性の動画説明

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