インダクター、コンデンサーは電子回路を作るうえでなくてはならない部品です。その動作の基本的な役割を解説します。
今回の内容は、Part6"コンデンサーの種類と特長"になります。
他の記事もご覧になりたい方はまとめページがありますので、そちらをご覧ください。
コンデンサー種類
代表的なコンデンサーの種類を図1に示します。

図1コンデンサーの種類
大きく固定コンデンサーと可変コンデンサーに分類できますが、ここでは使用されるケースの多い固定コンデンサーについて説明します。
コンデンサーの極性
コンデンサーには有極性と無極性に分類できます。有極性コンデンサーは+側と-側が決まっているため逆にしてしまうと故障の原因になります。そのため交流では使用することはできません。
図1の中ではアルミ電解コンデンサー、タンタルコンデンサー、電気二重層コンデンサー及び導電性高分子コンデンサーが該当します。有極性は図2の例のように端子の長さや部品上部の色などの外観で識別できるようになっています。

図2:有極性コンデンサーの外観
無極性コンデンサーは+側と-側が決まっていないので耐圧の範囲内であればどちらを+にしても構わないので交流で使用することが可能です。図1の中ではセラミックコンデンサーおよびフィルムコンデンサーが該当します。
アルミ電解コンデンサーの特長
アルミ電解コンデンサーの最大の特徴は大容量な点です。コンデンサーの容量は”LCの基本 ~Part4 コンデンサーとは~”で解説した通り、使用する電極の面積、誘電体の誘電率及び電極間の距離によって容量が決まります。誘電体の誘電率は8~10と大きくありませんが、耐圧が高く厚みを薄くでき、エッチング処理によって電極の面積を拡大することで高い容量をとることができます。
図3はアルミ電解コンデンサーの構造になります。

図3 アルミ電解コンデンサーの構造
アルミ電解コンデンサーの短所としてはESRが大きいために許容リップル電流はそれほど大きくとることができません。周波数特性が悪く、寿命の考慮も必要です。寿命については10℃2倍速と呼ばれる考え方になり、表1のように例えば105℃で5000hのコンデンサーを選定した場合95℃では10000hが寿命になります。

表1 アルミ電解コンデンサーの寿命
タンタルコンデンサーの特長
タンタルコンデンサーは電解コンデンサーと構造がほぼ同一で同じように使用されるケースが多いコンデンサーです。ここではアルミ電解コンデンサーと比較してその特長について解説します。
アルミ電解コンデンサーと比較した際のメリット、デメリットは下記のようになります。
メリット
・容量当たりのサイズを小型にすることができる
・周波数特性が優れる
・ESRが小さい
・寿命が長い
デメリット
・容量を大きくとることができない
・耐圧が小さい
・ショートモードで故障する
特にショートモードで故障する点は注意が必要で発火に至る危険性があるため、逆電圧や過電圧を印加しないように注意が必要です。
電気二重層コンデンサーの特長
スーパーキャパシターとも呼ばれ一般的なコンデンサーに比べてはるかに大きな容量で1000Fを超える容量を持つ製品もあります。コンデンサーと二次電池の中間に位置するもので、図4にパワー密度とエネルギー密度の関係を示します。

図4 スーパーキャパシターのパワー密度とエネルギー密度
Wurth Elektronik社Product Portfolioより
ESRが非常に低く、高サイクル寿命といった特長を持っています。耐圧が数V程度と低いため、より高い電圧で使用するためには直列にする必要があります。各素子間の容量バラつきなどで電圧がアンバランスにならないためのバランス回路が必要になります。
導電性高分子コンデンサーの特長
導電性高分子コンデンサーは図3のアルミ電解コンデンサーの構造の陰極に導電性高分子を使用したコンデンサーとなり、タンタルコンデンサーも同様の構造を持ちます。ESRが小さく高い定格リップル電流を持っており、温度やセラミックコンデンサーに見られるDCバイアスによる容量変化はほとんど無い特長があります。定格電圧の高い製品が無いため高電圧のアプリケーションには使用できません。寿命はアルミ電解コンデンサーより長く、表2のように20℃10倍速と呼ばれる考え方になります。

表2 導電性高分子コンデンサーの寿命
フィルムコンデンサーの特長
フィルムコンデンサーは下記のような優れた特長を持っています
・高耐圧
・長寿命
・高精度
・温度特性、DCバイアス特性がほとんどない
しかし、誘電体の誘電率が低いため高い容量を取ることができないコンデンサーです。フィルムコンデンサーの中にも誘電体としてPP、PET、PPS、PENのような種類があり特長も異なってくるため必要に応じて選択する必要があります。
セラミックコンデンサーの特長
セラミックコンデンサーは使用されるセラミックの誘電率が高く、小型で容量が高い特長があります。また、ESRが非常に小さいため高いリップル電流に対応でき、周波数特性にも優れるコンデンサーです。セラミックコンデンサーの中には大きく温度補償用と高誘電率系に分類されます。温度補償用は高い容量は取れませんが、温度特性やDCバイアス特性などの使用条件による容量変化はほとんどありません。
高誘電率系はこれらの考慮が必要です。図5に容量変化の例を示します。

図5セラミックコンデンサーの容量変化例
NP0は温度補償用となり、DCバイアスや温度変化があっても容量変化がほとんどないことがわかります。それ以外は高誘電率系になり特性によって変化率は異なりますが、容量が変化します。
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