低消費電力でIoT向けのSimpleLinkシリーズとは?

IoT市場では、ソリューションがますます複雑になっており、エンド・ユーザはより多くの機能や特徴を求めています。更にはバッテリ寿命の対策や、ローコスト化、サイズの縮小も重要視されており、日々お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このようなユーザーからの要求にお悩みの方には、Texas Instruments社(以下TI社)の「SimpleLink™シリーズ」の無線製品がおすすめです。このシリーズの製品は様々な無線規格に対応し、低消費電力とソフトウェアの再利用が可能という特徴があります。本記事では、 SimpleLinkシリーズの製品が持つ共通の特徴について解説いたします。

SimpleLinkシリーズの製品が持つIoTに向いた3つの特徴

TI社 の SimpleLinkシリーズは、32ビットArm® ベースのコアを搭載したマイコン(MCU) /無線製品で構成された多数の製品を提供しており、10種類以上の有線 /無線通信規格をサポートしています。また、低消費電力や堅牢性、セキュリティ機能など業界をリードする技術を有しています。

主な特徴として、以下の3点が挙げられます。

1. 低消費電力

一番の特徴は低消費電力であるということです。シリーズごとに特徴が少し異なるので簡単にご紹介します。

CC26XX、CC13XX シリーズ

    • 超低消費電力モードでもセンサ・データを検出できるようなシステム
      これらの製品には独自のセンサ・コントローラがあり、メインCPUをオフにし、マイコンがスリープ状態になっていても、センサ情報を収集する事が可能です。IoTサービスへ活用できる製品を検討している方には最適な機能です。

 

  • 送受信の電力が低い
    例えばCC1350の場合、内蔵しているRX(受信機)、TX(送信機)の電力は下記となっています。

    RX
    5.4mA(Sub-1GHz)、
    6.4mA(Bluetooth Low Energy、2.4GHz)

    TX
    +10dBm : 13.4mA(Sub-1GHz)
    +9dBm : 22.3 mA(Bluetooth Low Energy、2.4GHz)
    +0dBm : 10.5 mA(Bluetooth Low Energy、2.4GHz)


CC32XX、CC31XX シリーズ

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出典"CC3120, CC3220 SimpleLink™ Wi-Fi® Interneton-a chip™ Networking Subsystem Power Management"
  • 電源電圧範囲の広い内蔵DC/DCコンバータを内蔵
    電源管理サブシステムにDC/DCコンバータを内蔵しており、広範な電源電圧に対応できます。このサブシステムにより、前述の低消費電力モードを使用して、バッテリ駆動時間を延長できます。

2. 多数の広範な有線 / 無線規格をサポート

Bluetooth® Low Energy、Wi-Fi®、Sub-1GHzといった無線規格に対応しています。代表的な製品と、対応する無線規格は下記の通りです。

 

MSP432

CC3120

CC3220

CC2640R2F

CC1350

CC1310

MCUタイプ ホストMCU ネットワークプロセッサ ワイヤレスMCU ワイヤレスMCU ワイヤレスMCU ワイヤレスMCU
開  発 -
Wireless
stack +RF
-
無線規格 - Wi-Fi Wi-Fi Bluetooth Bluetooth
Sub-1 GHz
Sub-1 GHz

3. 同シリーズの製品に対してコードの移植ができる

SimpleLinkソフトウェア開発キット(SDK)を使用することで、旧世代のアプリケーションから、アプリケーションを再利用することができます。そのため、ゼロから開発をやり直す必要が無く、開発期間やコストを削減しつつ既存のシステムに新機能を追加することができます。

例えば、設置する環境が変わったことによって、無線規格の変更が必要な場合も簡単に移植することができます。

移植については、下記の動画をご覧いただければイメージしやすいと思います。

テストデータも公開されているリファレンス・デザインで設計期間を短縮

電子機器の開発/設計作業は、工数が非常にかかる上に高難度で複雑です。問題が発生すれば、上位の工程に戻ってやり直さなければなりません。

このような開発を簡略化させるには、半導体メーカーが用意しているリファレンス・デザイン(基準設計)を利用すると良いでしょう。

もちろん、リファレンス・デザインには独自色を打ち出しにくいというデメリットもあります。また、サイズのコンパクト化や、特徴のある機能の付加は容易ではありません。

しかし、すべての電子機器において、大幅な小型化や特徴のある機能が必要ではないですよね。汎用的な電子機器の開発に、リファレンス・デザインを使用すれば、設計/開発にかかる期間や課題、さらに費用も格段に減らすことができます。

TI reference designs

TI社では様々なリファレンス・デザインをご用意しています。例えば、無線に関連するソリューションでは下記のようなリファレンス・デザインがあり、無償でご利用いただけます。

 

ここで紹介したリファレンス・デザイン以外にも、1000件以上のリファレンス・デザインが登録されています。

詳細はこちらをご覧ください。
TI のリファレンス・デザインの選択

SimpleLink シリーズは評価ボードも豊富

今回は低消費電力でIoTに向いたSimpleLinkシリーズについてご紹介しました。

実際にSimpleLinkシリーズの製品を使ってみたいと思われた方は、「無線規格別!TIのIoT向けおすすめ開発/評価ボード 7選」ですぐに使える評価ボードを無線規格ごとにまとめて一覧にしましたので、是非こちらもご覧ください。

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本記事でご紹介したSimpleLinkシリーズに関するTI社の製品について、導入を検討されている方や、詳細な情報をお求めの方は、是非こちらからお問い合わせください。

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