昨今スマートフォンやヘッドホンなどのモバイル機器になくてはならないBluetooth®ですが、2016年12月にBluetooth® Smartの最新規格である"Bluetooth® 5"がリリースされました。今回は最新規格に対応することが出来るTexas Instruments社(以下TI社)のマイコン"CC2640R2F"についてご紹介します。

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Bluetooth® 5の特長

Bluetooth® 4.2からの主な変更点は以下の3つが発表されています。

  • 最大速度が2倍に高速化
  • 最大通信範囲が4倍
  • 1度に送信できるデータ量が8倍に増加


従来のBluetooth® Smartのデータレートは1Mbpsでしたが、速度を向上させる最大2Mbpsのモード、通信距離を向上させる128kbpsのモードがBluetooth® 5では追加されました。
(本記事ではそれぞれを長距離通信モードと高データレートモードと呼びます)

また、従来のアドバタイズパケットの最大長は31バイトでしたが、Bluetooth®5では最大254バイトに拡張されました。

Bluetooth® 5に対応可能な TI社の"CC2640R2F"とは?

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Bluetooth® 5に対応する事が出来るTI社の"CC2640R2F"は、RFとMCUを統合したSoCタイプのマイコン製品です。Arm Coretex-M3を採用し、128KBのフラッシュメモリと20KBのSRAMを搭載しています。

また、RF部にはArm Cortex-M0が採用され、ソフトウェア無線として動作しており、RF部にパッチをあてる事により、Bluetooth® 5へ対応しています。

追加されたモードについて検証!

下記のTI社の動画では、Bluetooth® 5から追加された長距離通信モードと高データレートモードのデモを紹介しています。

長距離通信モードのデモではTI社内の廊下で実際に通信を行い、受信端末側での電波強度(RSSI値)を測定しています。400m離れた場所間で通信を行ってもRSSI値は約-84dBmを示し、問題なく通信が行われている事が確認出来ます。

また、高データレートのデモでは、従来の1MbpsのモードとBluetooth® 5で追加された2Mbpsのモードのスループットの比較を行っています。1Mbpsのモードでは平均スループットが780kbpsであるのに対し、2Mbpsのモードでは1354kbpsと2倍近くスループットが向上する事が確認出来ます。

"CC2640R2F"の最大の特長は低消費電力

微細なプロセスで設計されている事に加え、ArmCortex-M3とは独立して動作するSensor Controller Engineを搭載した事により、システムとして業界最小クラスの超低消費電力を実現しています。

また、複数のパッケージで提供されており、4mm×4mm、5mm×5mm、7mm×7mmのQFNパッケージと、2.7mm×2.7mmのWCSPパッケージに対応しています。

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"CC26XXシリーズ"のブロック図

車載向けコネクティビティも開発中

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"CC2640R2F"をベースに開発中の"CC2640R2F-Q1"デバイスは、パッシブエントリー/パッシブスタート(PEPS)、リモートキーレスエントリー(RKE)などのBluetooth® 4.2およびBluetooth® 5低エネルギー車載アプリケーションをターゲットとするAEC-Q100準拠のワイヤレスマイクロコントローラ(MCU)です。以下より無償でサンプルを入手することが出来ます。

http://www.tij.co.jp/product/jp/CC2640R2F-Q1/description

※供給されているサンプルはプロトタイプのサンプル"XCC2640R2FTWRGZTQ1"です
※無償サンプルのリクエストは my TI の登録が必要です

各種測定や実装方法などがわかるドキュメント

TI社は"CC2640R2F"を使った開発を手助けする為にドキュメントを豊富に取り揃えています。データシートやテクニカルリファレンスマニュアルといった基本的なドキュメントから、消費電流の測定方法やブートローダの実装方法などが纏められたアプリケーションノートまで、多数のドキュメントのご用意がございます。

また、TI社は設計に役立つ情報が纏められたwikiも用意しています。ハードウェアデザインのチェックリストやクリスタルの負荷容量の調整方法など、様々な情報が纏められています。

IoT開発をコンセプトにしたSimpleLinkシリーズ

TI社のSimpleLinkシリーズは、単一の開発環境で様々なIoTアプリケーションの開発を可能にすることをコンセプトとしたワイヤレス製品ラインナップの総称です。今回ご紹介した"CC2640R2F"はもちろん、定期開催しているセミナーでもよく取り上げておりますし、"SensorTag"もSimpleLinkシリーズの1つです。

Bluetooth® Smart、Wi-Fi、Sub-1GHzなどの規格に対応し、今後も拡張を続ける予定ですので是非ご興味を持っていいただいた方は、以下よりアクセスしてみてください。

SimpleLink™ ソリューション (TI社オフィシャルサイト)


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本記事でご紹介したCC2640R2Fや、ワイヤレス制御に関するTI社製品について詳細な情報をお求めの方は、是非こちらからお問い合わせください。

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