3GPP Release 17で導入された “5G NR-Light” とは
5G NRは、2020年3月にリリースされた3GPP Rel.15準拠製品から始まり、その後Rel.16準拠の製品が続々と登場しています。
“Snapdragon™ X35”は、3GPP Rel.17で導入されたRedCap(Reduced Capability)とも呼ばれる、5G機能縮小規格 “5G NR-Light” に対応する世界初(※)の製品として、米Qualcomm社が2023年2月8日(現地時間)に発表しています。
今回は、その“5G NR-Light”の概要や“LTE通信規格”との比較について解説します。
5G NRの技術を用いて非常に高い通信速度や信頼性が求められる一方で、LTE NB-IoTなど多接続用端末への搭載を目的とした省電力・低データレートの製品ニーズもあります。5G NR-Lightは、このような性能やコストのギャップを埋めるべく開発された規格です。(図1)
また、5G NR-Lightは、複雑性が抑えられたことにより“デバイスの小型化”や“省電力化”などに貢献します。5G NR-Lightのユースケースについては各分野で検討が始まっていますが、今後ウェアラブル端末(ハイエンドのスマートウォッチ)や各種産業用のセンサーデバイスなどへの活用が見込まれています。
図1: 5G NR-Light(RedCap)の位置づけ
5G NR-LightとLTE規格の比較
表1に、5G NR-LightとLTE Cat.1-bis Cat.4、NB-IoT規格との比較を簡単に記載しました。
例えばスループット理論値をNB-IoTと比べると、5G NR-Lightは、上り50Mbps / 下り 150Mbpsとなっており、NB-IoTを大幅に上回るスループットを実現します。
規格名 | スループット理論値 (DL / UL) | 帯域幅 | 通信方式 | 最大Tx/Rx | DL/UL MIMO |
NB-IoT | 20~250kbps/20~250kbps | 最大180kHz | HD-FDD | 1 Tx, 1 Rx | 非対応 |
LTE Cat. 1-bis | 150Mbps/50Mbps | 最大20MHz | FD-FDD, TDD | 1 Tx, 1 Rx | 非対応 |
LTE Cat. 4 | 150Mbps/50Mbps | 最大20MHz | FD-FDD, TDD | 1 Tx, 2 Rx | 2/1 |
5G NR-Light | 150Mbps/50Mbps | 最大20MHz | HD-FDD, FD-FDD, TDD | 1 or 2 Tx, 1 or 2 Rx | 1 or 2/1 |
表1: LTE規格との比較
5G NRとの比較
5G NR-Lightは、5G NRと比較してローエンド規格&低コストでありながらも、5G NRの機能サービスは利用可能です。
よって、LTEと比べさらなる低遅延化・信頼性向上が期待されています。(5G NR機能例:5G NRプライベートネットワーク、ビームフォーミングなど)
5G NR-Lightと5G NRを比較しますと、5G NR-Lightは対応帯域幅を大幅に狭めており、低コスト化に寄与しています。
さらに受信アンテナの数も1~2本で通信が可能なため、アンテナが多く必要なケースが多い5G NRに対し、BOMコストを抑えることも期待できます。
5G NR-Lightをお使いいただく際の注意点は、SA(Stand Alone)接続のみ対応している点です。
そのため、ローカル5GやSA対応エリアの公衆網でお使いいただく必要があります。
また大容量通信の用途では、今後も5G NRを活用いただくことが推奨されます。
※5G NR関連のサービスの対応有無については、各キャリアさまの基地局の動向をご確認いただく必要もあります。
おわりに
今回は、5G NR-Lightの概要についてご紹介しました。
5G NR-Light対応モジュールのリリース動向については、ぜひ弊社までお問い合わせください。
また、弊社では現在3GPP Rel.15やRel.16準拠の5G NRモジュールや、LTEモジュールの取扱いもございます。
今後も、市場動向などを調査しながら情報発信していきたいと思いますので次回記事をお楽しみに。
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