こんにちは。

マクニカでインテル® FPGA 製品の技術サポートをしている インテル・F・ハナコ です。

 

今回は、インテル® Quartus® Prime の有償ライセンス形態の FLOAT ライセンス に関して、

他メーカーの開発ソフトウェアのライセンスと どのように共存運用するか、その管理方法をご紹介している、その Part 2 です。

 

前編は 以下をご覧ください。

インテル® Quartus® Prime と他社製ソフトウェアの FLOAT ライセンスを同一サーバー PC で管理する方法 Part 1

■ ライセンスファイルの統合および分離方法

事前に、Quartus® Prime 用 FLOAT ライセンスファイルの基本的な編集 (サーバー名/ポート番号/ベンダーデーモンのパス指定) を完了しておいてください。

下記ページの “ライセンスファイルの編集” を参考にしてください。

 

インテル® Quartus® Prime、IP および Questa* - Intel® FPGA Edition の FLOAT ライセンス設定方法

 

他社のライセンスファイルも同様に編集しておいてください。

ここでは、編集済みの各社のライセンスファイルを統合あるいは個別管理する際の分離方法や注意点をご案内します。

[A] ライセンスファイルを1つにまとめて管理する場合の統合方法

各社のライセンスファイルを1つに統合します。

以下の手順に従い、1つのファイルにまとめてください。

 

1. テキストエディターを新規で開き、これから作成する統合用ライセンスファイルに名前 (拡張子は .dat) をつけ、

  ライセンスサーバー PC の任意のフォルダーパスに保存します。

   (注意!保存するフォルダーパスおよびファイル名には、全角およびスペースは使用しないでください。)

  ここでは一例として、統合用ライセンスの保存パスを C:\FLEXlm\mix_lic.dat とします。

 

2. Quartus® Prime 用ライセンスファイルのすべての行をコピーし、mix_lic.dat ファイルにペーストします。

 

3. B社のライセンスファイルを開き、編集済みの VENDOR 行 (あるいは DAEMON 行) をコピーし、

  mix_lic.dat ファイルの VENDOR 行 (最終行) の次の行にペーストします。

  その際、B社用ライセンスファイルのベンダーデーモンのパスを示す行が DAEMON であった場合には、

  VENDOR に編集し、統一しておいてください。

  また、ライセンスファイルを統合するB社がシーメンス社の場合は、Quartus® Prime 用ライセンスファイルに

  VENDOR mgcld 行がすでに存在するため、この作業は必要ありません。

 

4. B社用ライセンスファイルの USE_SERVER 行より後ろの行 (FEATURE 行や INCREMENT 行) をすべてコピーし、

  mix_lic.dat ファイルにペーストします。(メーカーにより、USE_SERVER 行が存在しない場合があります。)

  ペースト位置は、先ほど上記2でペーストした Quartus® Prime 用ライセンスファイルの行が終わった次の行にします。

  その後 mix_lic.dat を上書き保存します。

 

以上で、ライセンスファイルの統合は完了です。

 

この手法では、ライセンスファイルの SERVER 行のポート番号が各社共通になるため、

クライアント PC の環境変数名 LM_LICENSE_FILE に対する変数値も各社共通となり、同じポート番号で指定します。

 

例) “LM_LICENSE_FILE 変数名に対する変数値” : 1717@server_name

 

続いて、方法[A] における lmtools の設定方法です。

 

[B] ライセンスファイルをメーカーごとに分けて管理する場合の分離方法

ライセンスファイルをメーカーごと (ベンダーデーモンごと) に管理する場合は、各社編集済みのライセンスファイルをそのまま使用しますが、SERVER 行で指定するポート番号は必ず異なる番号にしてください

ここでは例として、各ライセンスの保存パスを以下とします。

 

・ Quartus® Prime 用ライセンスファイル ⇒  C:\FLEXlm\qp_lic.dat

・ B社のソフトウェア用ライセンスファイル ⇒ C:\FLEXlm\bsw_lic.dat

 

ここでの作業は以上です。

   

この手法はライセンスファイルの SERVER 行のポート番号が各社別に存在するため、クライアント PC の環境変数名 LM_LICENSE_FILE に対する変数値は、使用するソフトウェアのメーカーごとに個別で指定します。変数値を複数指定する場合は、セミコロン(;)で登録します。

 

例) “LM_LICENSE_FILE 変数名に対する変数値” : 1717@server_name;1818@server_name

 

続いて、方法[B] における lmtools の設定方法です。

 

 

B社がシーメンス社の場合は

B社がシーメンス社の場合には、Quartus® Prime 用のライセンスファイルの一部をシーメンス社用のライセンスファイルへ移植してください。

[Notes]

Quartus® Prime 用ライセンスファイルには、alterad ベンダーデーモンの他に

mgcld ベンダーデーモンも含まれている(※) ため、並行してライセンスを運用する

B社がシーメンス社 (ベンダーデーモンは mgcld) の場合には、Quartus® Prime 用

ライセンスファイルから mgcld で管理される機能 (INCREMENT 行) だけを

切り取り、シーメンス社のライセンスファイルに移動する必要があります。

※ IP Base Suite の AXI BFM IP ファンクション用、Questa*– Intel® FPGA Edition 用

 のライセンスは、mgcld ベンダーデーモンによって管理されます。

 

以下の手順に従い、ライセンス・ファイルを整備してください。

  

1. Quartus® Prime 用ライセンスファイルを開き、VENDOR mgcld 行

  を削除 (または行先頭にシャープ # を付けてコメントアウト) します。

 

2. Quartus® Prime 用ライセンスファイルの INCREMENT 行のうち、

  mgcld で運用されるライセンス (下記参考) をすべてコピーします。

  シーメンス社用ライセンスファイルを開き、先ほどコピーした内容を

  INCREMENT 行 (最終行) の次の行にペーストし、

  上書き保存します。

 

 例)AXI BFM IP(by IP Base Suite)ファンクション用ライセンス行

   INCREMENT mgcvipae mgcld 20xx.xx xx-xx-20xx …

   INCREMENT mgcvipaeaxi mgcld 20xx.xx xx-xx-20xx …

   INCREMENT mgcvipaeaxi mgcld 20xx.xx xx-xx-20xx …

   INCREMENT mgcvipaeaxi4 mgcld 20xx.xx xx-xx-20xx …

 

 例)Questa* – Intel® FPGA Edition 用ライセンス行

   INCREMENT intelqsim mgcld 20xx.xx xx-xx-20xx …

 

3.  Quartus® Prime 用ライセンスファイルの上記2でコピーした INCREMENT 行を、すべて削除 (または行先頭にシャープ # を付けて

  コメントアウト) し、上書き保存します。

 

以上で、ライセンスファイルの整備は完了です。

■ LMTOOLS の設定方法

ライセンスの運営管理は、lmutil または lmtools を用いて行います。

ここでは、LMTOOLS ユーティリティを使用して GUI で行う方法をご案内します。

[A] ライセンスファイルを1つにまとめて管理する場合の lmtools 設定方法

1. あらかじめ保存しておいた lmtools.exe をダブルクリックし LMTOOLS を起動します。

 

2. [Service/License File] タブで Configuration using Services を選択し、[Config Services] タブに切り替えます。

 

3. 各項目を設定します。

 

  • ① 定義するサービスの名前をタイプ入力します。名称は自由です。

  • ② Browse ボタンをクリックし、このライセンスサーバー PC 上で使用するライセンスマネージャーデーモン lmgrd.exe を指定します。

  • ③ Browse ボタンをクリックし、“サービスを1つにまとめて管理する” 方法で事前に作成しておいたライセンスファイルを指定します。

  • ④ Browse ボタンをクリックし、ログファイルの出力先 (フォルダー、ファイル名) を指定します。ファイル名は自由です。

  • ⑤ On にすると、このライセンス運用環境は Windows サービスとして稼働します。(Off の場合は FLEXlm ライセンス・サービスになります。)

      ※設定は任意です。

  • ⑥ On にすると、Windows OS の起動と同時にこのサービスが自動開始されます。 ※設定は任意です。

 

4. Save Service ボタンをクリックし、設定内容を保存します。

 

あとは、[Start/Stop/Reread] タブに切り替え、[Start Server] ボタンをクリックして FLOAT ライセンスの運用を開始します。

[B] ライセンスファイルをメーカーごとに分けて管理する場合の lmtools 設定方法

1. あらかじめ保存しておいた lmtools.exe をダブルクリックし LMTOOLS を起動します。

 

2. [Service/License File] タブで Configuration using Services を選択し、[Config Services] タブに切り替えます。

 

3. 各項目を設定します。

 

3-1. Quartus® Prime 用のライセンス・サービスを設定します。

 

  • ① 定義する Quartus® Prime 用のライセンス・サービスの名前をタイプ入力します。名称は自由です。

  • ② Browse ボタンをクリックし、このライセンスサーバー PC 上で使用するライセンスマネージャーデーモン lmgrd.exe を指定します。

  • ③ Browse ボタンをクリックし、Quartus® Prime 用ライセンスファイルを指定します。

  • ④ Browse ボタンをクリックし、Quartus® Prime 用ライセンスサービスのログファイルの出力先 (フォルダー、ファイル名) を指定します。

      ファイル名は自由です。

  • ⑤ On にすると、このライセンス運用環境は Windows サービスとして稼働します。(Off の場合は FLEXlm ライセンス・サービスになります。)

      ※設定は任意です。

  • ⑥ On にすると、Windows OS の起動と同時にこのサービスが自動開始されます。 ※設定は任意です。

  • ⑦ Save Service ボタンをクリックし、設定内容を保存します。

 

3-2. B社用のライセンス・サービスを設定します。

 

  • ① 定義するB社用のライセンス・サービスの名前をタイプ入力します。名称は自由です。

  • ② Browse ボタンをクリックし、このライセンスサーバー PC マシン上で使用するライセンス・マネージャ・デーモン lmgrd.exe を指定します。

  • ③ Browse ボタンをクリックし、B社用ライセンスファイルを指定します。

  • ④ Browse ボタンをクリックし、B社用ライセンス・サービスのログファイルの出力先 (フォルダー、ファイル名) を指定します。

      ファイル名は自由です。

  • ⑤ On にすると、このライセンス運用環境は Windows サービスとして稼働します。(Off の場合は FLEXlm ライセンス・サービスになります。)

      ※設定は任意です。

  • ⑥ On にすると、Windows OS の起動と同時にこのサービスが自動開始されます。 ※設定は任意です。

  • ⑦ Save Service ボタンをクリックし、設定内容を保存します。

 

4. あとは、[Service/License File] タブにおいて始動するライセンスサーバー・サービスを選択後、[Start/Stop/Reread] タブに切り替え、

  [Start Server] ボタンをクリックして FLOAT ライセンスの運用を開始します。

 

5. ライセンスファイルのメンテナンスなどで1社のサービスだけを停止する際は、[Service/License File] タブにおいて対象の

  ライセンスサーバー・サービスをプルダウンリストから選択し、[Start/Stop/Reread] タブに切り替え、[Stop Server] ボタンを

  クリックしてください。

 

 

以上で作業は終了です。

 

 

これらを参考に、ご自分の環境に応じた方法を選定し、ライセンスを管理してください。