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Cloud Datacenter Interconnect解説

GAFAMなどのハイパースケールデータセンターをはじめ、通信事業者のデータセンターのトラフィックは今後も増加すると予測されています。それに伴い、光トランシーバーの高速化も進んでいます。このような状況の中、100G・400G光トランシーバーを用いたネットワーク構成を検討されている通信事業者様も多いのではないでしょうか。

  

本記事では、ネットワーク構成の一例を挙げながら、100G・400Gの光トランシーバー製品を紹介します。

400Gネットワーク構成の一例

今回は、2013年にMicrosoft社が公開したネットワーク構成を例に、伝送距離が500mの接続に対応する光トランシーバーを紹介します。

ToR – Server

はじめに、ToR(Top of Rack)とサーバー間の接続について説明します。ToRとサーバー間の最大伝送距離は3m以下であり、ラック内の配線となります。

この接続では、DACの使用が挙げられます。

DAC

DACはDirect Attached Cableを意味します。DACは、「QSFP28」や「QSFP-DD」といった光トランシーバー形状のインターフェースが両端にあり、その両端を銅線ケーブルでアッセンブリーした製品です。そのため、DACは光電変換を行っていません。これにより、以下の特徴があります。

メリット:

 ・比較的安価

 ・低遅延

 ・Tx(送信側)/Rx(受信側)の配線誤りがない

 

デメリット:

 ・モニター機能が限られる

 ・取り回しがしづらい

  

DACは光電変換のデバイスがないため、比較的安価で低遅延というメリットがあります。また、ケーブルがアッセンブリーされているため、Tx/Rxの配線を誤る心配もありません。

  

一方で、送信パワーや受信パワーなどのモニター機能が限られているため、トラブル時の原因特定に苦労することがあります。また、銅線ケーブルは光ファイバーと比べて太くて重いため、取り回しがしづらい場合もあります。

Server – Leaf

次に、サーバーとリーフ間の接続について説明します。サーバーとリーフ間の最大伝送距離は20m以下であり、ラック間の配線となります。

この接続には、AOC、100GBASE-SR4、および400GBASE-SR8の光トランシーバーが使用されます。

  

まず、AOCはActive Optical Cableを意味します。AOCは、両端の光トランシーバーを光ファイバーでアッセンブリーした製品です。以下がAOCの特徴です。

メリット:

 ・在庫管理がしやすい

 ・異物が光トランシーバー内部に混入する恐れがない

 ・Tx/Rxの配線誤りがない

  

デメリット:

 ・一端の光トランシーバーだけ故障している場合でも交換が必要

  

AOCはケーブルがアッセンブリーされているため、光ファイバーと光トランシーバーを別々に在庫管理する必要がありません。そのため、在庫管理がしやすいというメリットがあります。また、光コネクター端面の汚れや異物が光トランシーバー内部に混入する恐れもありません。

  

一方で、AOCはケーブルがアッセンブリーされているため、一端の光トランシーバーだけが故障した場合でも、故障していない光ファイバーと他端の光トランシーバーも交換する必要があります。

  

続いて、100GBASE-SR4と400GBASE-SR8の光トランシーバーについて説明します。

100GBASE-SR4の光トランシーバー

100GBASE-SR4は、伝送速度が100Gbps、最大伝送距離が100mの光伝送規格です。SR4の「4」は、光信号が4レーンであることを示します(詳細はこちら)。100GBASE-SR4の光トランシーバーで使用される光コネクターはMPO12です。下記がMPO12の端面であり、実際に送信側4レーン、受信側4レーンがあるのがお分かりいただけると思います。

400GBASE-SR8の光トランシーバー

400GBASE-SR8は、伝送速度が400Gbps、最大伝送距離が100mの光伝送規格です。SR8の「8」は、光信号が8レーンであることを示します(詳細はこちら)。400GBASE-SR8の光トランシーバーで使用される光コネクターはMPO16です。下記がMPO16の端面であり、実際に送信側8レーン、受信側8レーンがあるのが分かるかと思います。

以上の100GBASE-SR4および400GBASE-SR8の光トランシーバーを使用することで、最大伝送距離が100m以下の通信が可能です。

Leaf – Spine

続いて、リーフとスパイン間の接続について説明します。リーフとスパイン間の最大伝送距離は500m以下であり、サーバーとリーフ間同様にラック間の配線となります。

この接続には、100GBASE-DR1および400GBASE-DR4の光トランシーバーが使用されます。

100GBASE-DR1の光トランシーバー

100GBASE-DR1は、伝送速度が100Gbps、最大伝送距離が500mの光伝送規格です。DR1の「1」は、光信号が1レーンであることを示します。100GBASE-DR1の光トランシーバーで使用される光コネクターはLCコネクターです。

400GBASE-DR4の光トランシーバー

400GBASE-DR4は、伝送速度が400Gbps、最大伝送距離が500mの光伝送規格です。DR4の「4」は、光信号が4レーンであることを示します。400GBASE-DR4の光トランシーバーで使用される光コネクターは、前述のMPO12に加えて、SNコネクターがあります。

また、400GBASE-DR4の光トランシーバーと100GBASE-DR1の光トランシーバーは、組み合わせて使用することでブレイクアウト接続が可能です。ブレイクアウトによる高密度化により、スペースの効率化だけでなく、消費電力の効率化といったメリットもあります。

製品一覧

製品

Coherent社型番

光伝送規格・伝送速度

光コネクター

光ファイバー

最大伝送距離

DAC

FDBC425QE1Cxx

100G

-

-

5m

DAC

FDBC850QE1Cxx

400G

-

-

3m

AOC

FCBx425QE2Cxx

100G

-

-

100m

AOC

FCBx850QE2Cxx

400G

-

-

100m

光トランシーバー

FTLC9558REPM

100GBASE-SR4

MPO12

MMF

100m

光トランシーバー

FTCD8613E2PCM

400GBASE-SR8

MPO16 APC

MMF

100m

光トランシーバー

FTLC4353RHPL

100GBASE-DR1

LC

SMF

500m

光トランシーバー

FTCD4523E3PCx

400GBASE-DR4

MPO12

SMF

500m

まとめ

今回の記事では、ネットワーク構成の一例として、500m以下の接続における光トランシーバー製品を紹介しました。伝送距離が500m以上の接続については、次回の記事で紹介したいと思います。