宇宙用デバイス、パッケージの違いについて知ろう!

前回は、宇宙環境における半導体デバイスへの影響についてご紹介し、

宇宙特有の事象(TID/SEEについて着目しました。


いままでご紹介した通り、

地上と異なり、宇宙空間では正常にデバイスが動作するためにあらゆる事象を想定しておかなくてはなりません。

そのリスク対策のひとつとして、材料に着目した部品選定があります。

今回は、パッケージによるデバイスの違いに着目し、セラミック、プラスティックの両パッケージの観点から解説していきます。

宇宙放射線が引き起こすリスクを避けるには?

以前の記事で紹介したように、宇宙には宇宙線が存在します。

宇宙環境について詳しく見る


宇宙放射線とも呼ばれますが、読んで字のごとく、宇宙環境での放射線のことを指します。

宇宙空間における放射線量は、地上に比べて高い環境であると言われており、

この放射線が衛星に搭載されている半導体デバイス(宇宙用半導体)に入射してしまうと以下の事象が引き起こされます。


これらの問題は、宇宙用半導体の機能/性能の劣化や損傷を引き起こし、

システムコンポーネントの一部または全ての機能喪失につながる危険性があります。


宇宙環境で上記の問題が生じてしまうと、地上から修理をすることは不可能なため、

宇宙環境に耐性のあるとされるデバイス(宇宙用半導体)を選定する必要があるのです。

宇宙環境に耐性のある半導体デバイスをパッケージで選ぶには?

考慮する点は放射線だけではありません

超高真空の環境下ではプラスチックなどの有機系物質は、劣化してクラック等を生じさせることがあります。

また、蒸発して発生したガスが周囲の部品に付着して不具合を引き起こすこともあります。

これらの問題を回避するために、従来真空に強い無機系物質であるセラミックがパッケージに使用されていました。

しかしながら、近年において、各国で宇宙開発が進み、宇宙空間における知見が広がっています。
その中で、

  • 静止軌道(GEO:Geostationary Orbit)
  • 中軌道(MEO:Medium Earth Orbit)
  • 低軌道(LEO:Low Earth Orbit)


と細分化されるようになり、各軌道に対して求められる半導体デバイスのスペックにも差が生じてきています。

New Spaceという新たな分野?

近年、“New Space”と呼ばれる分野では、セラミックパッケージだけでなく、プラスチックパッケージの半導体デバイスを
衛星機器に搭載するケースが増えてきています。

 

お客様が、プラスチックパッケージ品を検討する際に、“価格面”でのメリットを挙げられることがよくあります。

しかし、プラスチックパッケージ品を検討する際にはあらゆるリスクも考慮する必要があります。

前述の“ガスの発生リスク”に加え、トータルコストの観点も重要なのです。

デバイスの信頼性に不安がある場合や、エンド顧客からの要求仕様が指定されている場合、
追加試験などを行うケースがでてきます。追加試験に生じる“試験費用”や“歩留まり”も考慮すると、
トータルコストが上昇し、結果的にデバイス単価が“高価”になることも考えられます。

 単に“低価格”を理由にプラスチックパッケージ品を選択すると、試験等のコストが上乗せされ結果的に、
高価格となってしまうといったこともあり得ますので、推奨できません。
品質と価格の両面を踏まえたうえで、トレードオフして検討する必要があります。
従来のセラミック品を使うこととトータル的に比較の上、ご検討することをお薦めします。

▶マクニカでできる解析評価とは?


部品選定は、以下2つのポイントに基づき、対応するものをしっかりと選ぶ必要があります。

  1. お客様の衛星の想定軌道
  2. 想定ミッション寿命(その衛星が何年宇宙で活動できればよいか)


ここまでの説明で、用途の違いによって、部品選定の際考慮すべき点を、ご理解いただけたでしょうか?

次回以降の記事では、宇宙用半導体のスペックや試験内容の違いに着目した部品選定について掘り下げて解説していきます。お楽しみに。

部品選定も弊社におまかせ!

マクニカでは、幅広い宇宙用半導体デバイスのラインナップをもって、お客様に最適なソリューションをご用意しています。

もちろん、上記で解説したプラスチック/セラミックパッケージ品の比較も弊社にお任せください。

 

マクニカの ”豊富な経験”と”高い技術”をもとにサポートさせていただきます。
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