半導体デバイスにとって過酷な宇宙環境

ご存じの通り、宇宙空間は高エネルギーの放射線に満ちています。


半導体デバイスを宇宙空間で使用する場合、地球とは異なる環境下のため 特殊な試験をクリアし、放射線耐性のある半導体デバイスとして
認められた部品を採用する必要があります。
今回は、半導体デバイスにとって『過酷な宇宙空間で懸念される半導体への影響』について解説します。

宇宙環境における半導体デバイスへの影響

半導体デバイスを宇宙空間で使用する場合、宇宙放射線による影響を考慮する必要があります。


宇宙空間では、X線やガンマ線などの電磁波や 陽子、電子、重粒子などの粒子線からなる放射線が飛び交う環境となっています。
地上では、大気や地磁気のおかげで宇宙放射線による直接的な影響は少ないですが、宇宙空間では、宇宙放射線に直にさらされるため
その影響は大きく、過去には「人工衛星に搭載された半導体デバイスが、放射線影響により不具合を起こした」といった事例もあります。

次に、宇宙放射線環境が与える半導体デバイスへの影響について説明していきます。

半導体デバイスに大きな影響を与える宇宙放射線環境

宇宙空間において、半導体デバイスに大きな影響を与える宇宙放射線環境は、以下の3つがあります。

  • 太陽から飛来する主に陽子からなる太陽フレア
  • 地球の地磁気に捉えられた主に陽子や電子からなるヴァン・アレン帯
  • 超新星爆発などにより太陽系外から飛来した高エネルギーの重粒子からなる銀河宇宙線


これら3つの環境に存在する宇宙放射線が、半導体デバイスに与える影響とは、どういったものなのでしょうか?

宇宙放射線が半導体デバイスに入射すると、その電離作用により電荷を生成させます。
ここで生成された電荷が原因となり、以下に挙げる、半導体に悪影響をおよぼす現象が発生します。


これらの現象により、本来起きてはならない、半導体デバイスの 『特性劣化誤動作損傷』 などの悪影響が引き起こされるのです。
人工衛星などのミッション期間中に、「どれほどの発生確率が想定されるのか?」また、「エラーが発生した際のインパクトの大きさ」
などを事前に考慮し、対策を講じる必要があります。

ここまでの説明で、宇宙放射線環境が与える半導体デバイスへの悪影響と、その結果起きうる特性劣化誤動作損傷』と
その
対策が非常に重要となってくることは、ご理解いただけたでしょうか?

次回以降の記事では、そういった不具合を引き起こす原因となる現象「SEE」と「TID」について、また、「不具合が生じると結果
どうなってしまうのか?」などについてを掘り下げて解説していきます。お楽しみに。

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