電源ドック技術担当の佐々木です。
このコラムでは、色々なお客様サポートの中で複数回遭遇した、電源に関する不具合事例をご紹介していきたいと思います。
お客様から、「基板改版した後、電源の特性で不可解な現象がみられるので 相談にのって欲しい」と問い合わせがあり、さっそく訪問してみました。
「リップルが小さい」は思い込み!?

不具合ではないのですが、開発中のボードの電源で疑問が出たので 教えていただきたく連絡しました。

どのような内容ですか?

先日、開発ボードの FPGA の電流見積もりをしたところ、消費電流がそれほど大きくなかったので、電源をスイッチングレギュレーターからリニアレギュレーターに変更しました。

そうなんですね。たしかに消費電流が小さいならば、低コストでノイズが小さいリニアレギュレーターに変更するのは良いですね。

はい、そこまでは良かったのですが、実際に改版した基板が上がってきて動作確認をしたところ、不可解なことがありまして。。。

どんなことがあったんですか?

基板自体は正常動作しているのですが、念のためリニアレギュレーターの出力電圧を確認したところ、リップル電圧が変更前(スイッチングレギュレーター使用時)よりも大きくなってしまったんです。
リニアレギュレーターの方がノイズは小さくなるはずなのに、どうしてこんなことになってしまったのか、原因が分からず困っています。。。

それは確かに変ですね。。。
もしかして、基板動作中にリニアレギュレーターの出力を測定していますか?

はい、FPGAが動作している状態で波形を観測しました。

なるほど。それだと電流は結構頻繁に大きく変動するのではないですか?

はい、FPGA が低消費電力モードからバーストで動作切り替えする際は電流が大きく変動します。

それが原因ですね。
リニアレギュレーターは、スイッチングレギュレーターに比べて負荷応答性が悪いので、電流が激しく変動すると電圧の変動も大きくなってしまいます。
それがリップルのように見えたんだと思います。

そうなんですね。
リニアレギュレーターであれば必ず電圧のノイズや変動が 小さく見えるものだと思い込んでいました。これで安心して改版基板で量産できそうです。
今回のポイント

一般的に、リニアレギュレーターの方がスイッチングレギュレーターよりも負荷応答性が悪いため、電流値の変動が大きいところで使用する際は注意が必要。
(ノイズが大きくなってしまう場合はスイッチングレギュレーターの使用をおすすめします)
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