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ADALM2000で実験しよう!加算回路

はじめに

こんにちは!2025年度入社、新人FAEのパワーちゃんです!

本ブログではアナログ・デバイセズのアクティブ・ラーニング・モジュール「ADALM2000」を使用した、オペアンプ (OP97) の評価方法をご紹介します!

 

1回のユニティゲイン回路、第2回の反転増幅回路、第3回の非反転増幅回路に続き、最終回である今回は加算回路の評価をおこなっていきたいと思います!

これまでのお話をまだご覧になっていない方はこちらからご覧ください!

ADALM2000 で実験しよう!ユニティゲイン回路
ADALM2000で実験しよう!反転増幅回路
ADALM2000で実験しよう!非反転増幅回路

事前に準備するもの

今回の評価もアナログ・デバイセズ社が出している「シンプルなオペアンプ回路」という記事を参考におこなっていきます。

 

今回使用した部品・道具は以下のとおりです。

ADALM2000

・ブレッドボード

・ジャンパー線

抵抗1kΩ×1、1.5kΩ×2、4,7kΩ×2、10kΩ×1

・オペアンプ (OP97)

ScopyがインストールされたPC

 

今回は1.5kΩの抵抗と、4.7kΩの抵抗がそれぞれ2つずつ必要です!

アナログ・デバイセズのアクティブ・ラーニング・モジュール「ADALM2000」と機能

ADALM2000と機能

ADALM2000については第1回のユニティゲイン編で簡単に説明したので、詳しく知りたい!という方はこちらの記事をご覧ください。

ADALM2000 で実験しよう!持ち運べる実験室、ADALM2000

 

OP97先輩のピン配置

OP97先輩のピン配置

お馴染みのOP97先輩のピン配置はこのとおりです。スペックなどの詳細は、こちらの製品ページからご確認ください。

加算回路を評価してみよう!

加算回路とは?

今回もまずは回路説明から入ります!加算回路では、複数の入力信号がそれぞれ抵抗を介してオペアンプの反転入力端子に接続され、非反転入力端子は基準電圧(一般的にはGND)に接続されます。出力電圧Voutは抵抗R2を介して反転入力端子に戻されており、この構成によって負帰還がかかります。負帰還がかかることで、反転入力端子の電圧は非反転入力端子の電圧(基準電圧)に近づくように出力が制限されます。

この結果、各入力から抵抗を介して流れ込む電流は反転入力端子の手前で合流し、帰還抵抗を通って出力側に流れ、それらの和に応じた出力電圧が得られます。このように、複数の入力信号を加算して出力することから、この回路は「加算回路」と呼ばれます。

OP97を使用した加算回路

OP97を使用した加算回路

 

加算回路の入力電圧1Vin1、入力電圧2Vin2、出力電圧をVoutとしたとき、Vin1Vin2Voutの関係式は以下のようになります。

\[ V_{\text{out}} = -\left( \frac{R_2}{R_{1-1}} V_{\text{in1}} + \frac{R_2}{R_{1-2}} V_{\text{in2}} \right) \]

加算回路の増幅度も、反転増幅・非反転増幅と同様にR1R2の値が重要になり、反転増幅回路と同様、極性が反転する点がポイントです!

ブレッドボードに加算回路を組んでみよう!

では早速回路を組んでいきたいと思います!基本的には反転増幅回路と同じ構成となっていますが、Sin波の信号だけでなく、DCの信号も入力されるといった大きな違いがあるので注意が必要ですね。

Vin1につながる抵抗をR1-1Vin2につながる抵抗をR1-2とします。抵抗値はそれぞれ  [R1-1=1kΩ、R1-2=4.7kΩ、R2=4.7kΩ、負荷抵抗10kΩ]  と設定してください。

OP97を使った加算回路のブレッドボード接続例

OP97を使った加算回路のブレッドボード接続例

ADALM2000とOP97を使って実際に作成した加算回路

実際に作成した加算回路

こちらがADALM2000のピン配置です。

ADALM2000のピン配置

今回は、

1+/1-(オシロスコープch1/オシロスコープch1GND

2+/2-(オシロスコープch2/オシロスコープch2GND

GND

V+/V-(正電源/負電源)

W1(信号入力1

W2(信号入力2

のピンを使用します。これまでとは違い2種類の信号を入力するため、今回はW2のピンも必要になるのでご注意ください!

オシロスコープのch1は入力側、ch2は出力側に接続してそれぞれの波形を見ていきます。

 

それでは早速Scopyを起動させ、セットアップをおこなっていきましょう!セットアップは画面左のタブを選択することで可能となります。

 

今回も前回と同様に「Signal Generator」と「Power Supply」の2点を設定します。設定条件は以下のとおりです。

・電源電圧:±5V

・入力信号 (W1)

              周波数:1kHz

              振幅:2Vp-p

・入力信号 (W2)

              DC0VおよびDC1V

 

2種類の異なる信号が入力されるとどんな波形が見られるのか、また、入力信号 (W2) の入力がDC0Vの場合とDC1Vに変更した場合ではどのような変化が起こるのかといった点に注意しながら、これまでと同様に入出力電圧波形を見ていきましょう!

 

入力信号 (W2) の設定方法は以下のとおりで、①「Signal Generator」の②CH2を選択したあと、③Constantのタブから④DC入力の設定をすることができます。

Scopyの入力信号(W2)の設定

入力信号(W2)の設定

まずはDC0V入力から見ていきましょう!

実測!加算回路!

さっそく、1kHzSin波とDC0Vを入力したときの波形を見ていきたいと思います。

OP97に1kHzのSin波とDC0Vを入力したときのScopyの波形

DC0V入力の入出力電圧波形

なんだか見覚えがある波形が出力されましたね。そうです、増幅度-4.7の反転増幅回路で見た波形とまったく同じです!

 

今回のR1-1=1kΩ、R1-2=4.7kΩ、R2=4.7kΩという条件では、

\[ \begin{aligned} V_{\text{out}} &= -\left( \frac{R_2}{R_{1-1}}V_{\text{in1}} + \frac{R_2}{R_{1-2}}V_{\text{in2}} \right) \\ \\ V_{\text{out}} &= -\left( \frac{4.7k}{1k}V_{\text{in1}} + \frac{4.7k}{4.7k}V_{\text{in2}} \right) \end{aligned} \]

 

となり、DC0V入力・つまりVin2=0となるので

\[ \begin{aligned} V_{\text{out}} &= -\left( \frac{4.7k}{1k}V_{\text{in1}} + \frac{4.7k}{4.7k}V_{\text{in2}} \right) \\ \\ V_{\text{out}} &= -\left( \frac{4.7k}{1k}V_{\text{in1}} + 0 \right) \\ \\ V_{\text{out}} &= -4.7V_{\text{in1}} \end{aligned} \]

結果、Vin12Vp-p)の信号が-4.7倍された出力電圧を得ることができました。Vin2DC0Vの場合は、単純なVin1の反転増幅回路と同じ構造になるということですね~。

DC0Vの加算回路のLTspice波形

DC0Vの加算回路のLTspice波形

LTspiceでも同様の波形を得ることができました。

(※LTspiceではOP97という部品が存在しないため、代替品のOP07を用いて評価をおこなっています。)

 

では、Vin2DC1Vを入力すると、どのように波形が変化するでしょうか?

以下のとおり、Signal GeneratorCH2DC1Vに変更して波形を見てみましょう!

DC1Vのセッティング

DC1Vのセッティング

DC1V入力の入出力電圧波形

DC1V入力の入出力電圧波形

今度は、下側のピーク電圧のみクリップした波形が得られました。DC0V入力の時の波形と比べると、上側のピーク電圧が減少し、下側のピーク電圧が増加したように見えますね。ゲインが-4.7倍のため、DC0Vの場合の出力電圧の理想的なスイングは±4.7Vとなりますが、DC1Vを入力すると、上側のピーク電圧が約3.7Vとなり、1V低下しました。

明らかにDC入力によるものっぽいですね。

 

先ほどの式を使って考えてみましょう。今回はDC1Vを入力しているため、Vin2=1となります。

\[ \begin{aligned} V_{\text{out}} &= -\left( \frac{R_2}{R_{1-1}}V_{\text{in1}} + \frac{R_2}{R_{1-2}}V_{\text{in2}} \right) \\ \\ V_{\text{out}} &= -\left( \frac{4.7k}{1k}V_{\text{in1}} + \frac{1k}{1k}\times 1 \right) \\ \\ V_{\text{out}} &= -\left( 4.7V_{\text{in1}} + 1 \right) \end{aligned} \]

このような結果となりました。つまり、-4.7倍に増幅されたVin1Sin波 (2Vp-p) の信号に-1VDC成分が加算され、全体的に1V分マイナス側にずれた波形が得られたというイメージです。

そのため、上側のピーク電圧が4.7Vから3.7Vに減少し、下側のピーク電圧はおそらく-4.7Vから-5.7Vに増加したと考えられます。

DC1V入力のLTspice波形

LTspiceで波形を確認してみると、得られた波形と同様に、上側のピーク電圧は3.7Vで、下側のクリップ分が増加している波形が出力されました。

抵抗値を変えてみよう!

DC1Vを入力した際に、下側のピーク電圧がクリップしてしまったことで、本当に波形が全体的に1V分マイナス側に移動したかを確認することができませんでした。そのため、今回は抵抗値を小さくしてゲインを下げることで、フルでスイングする波形を取得し、全体像を確認していきたいと思います!

 

今回変更する抵抗は4.7kΩのR1-2R2で、それぞれを1.5kΩに変更していきます。

1.5kΩに変更した加算回路

まずは手始めにDCV入力時に、出力電圧波形としてVin1Sin波 (2Vp-p) の増幅度1.5倍、極性が反転した波形が得られるかを確認していきます。

1.5kΩ変更後の入出力電圧波形

1.5kΩ変更後の入出力電圧波形

Vin1の入力信号がきちんと1.5倍に反転増幅された出力電圧波形を得ることができました!

  

それでは、DC1Vを入力して波形の変化を見ていきたいと思います!これまでの考察が正しければ、±1.5Vでスイングする波形に-1Vが加算され、全体的に1V分マイナス方向へ移動することで、上側のピーク電圧は0.5V、下側は-2.5Vの出力電圧波形が得られるはずです。

1.5kΩ、DC1V入力の入出力電圧波形

1.5kΩ、DC1V入力の入出力電圧波形

1.5kΩ、DC1V入力のLTspice波形

1.5kΩ、DC1V入力のLTspice波形

考察どおりの上側のピーク電圧が0.5V、下側のピーク電圧が-2.5Vの波形が得られました!

おまけ DC2V、入れてみよう

最後におまけで、抵抗値は1.5kΩのまま、DC2V入力をしてみようと思います。原理的には何も変わらないので、-4.7倍に増幅されたSin波にDC成分が-2V加算され、波形が全体的にマイナス方向に2V移動し、上側のピーク電圧が-0.5V、下側のピーク電圧が-3.5Vの波形が得られるはずですね。では結果を見ていきましょう!

1.5kΩ、DC2V入力の入出力電圧波形

1.5kΩ、DC2V入力の入出力電圧波形

1.5kΩ、DC2V入力のLTspice波形

1.5kΩ、DC2V入力のLTspice波形

ばっちり予想的中ですね!今回は下側も-3.5V-4V以内に収まっているため、クリップせずにすみましたが、DC3V入力をしたら下側がクリップする波形が得られそうですね。

私のOP97評価はここまでとなりますが、皆さんはぜひともDC3V入力も試していただければと思います!

まとめ

ここまで、4回にわたりADALM2000を使ったオペアンプの評価をおこなってきました!実際に手を動かしながら学ぶことができたので、座学よりも本質的に理解がしやすく、知識の定着に繋がったように思えます!

 

ADALM2000は新人教育に持ってこいのデバイスだな~と、身をもって体感することができたので、ぜひ皆さんも新人さんの育成にご活用いただければと思います!!

 

これまでご覧いただきありがとうございました!引き続き、新人FAEパワーちゃんによる技術記事は作成していく予定なので、またどこかでお会いしましょう!

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