新人エンジニアの赤面ブログ

こんにちは。新人FAEのトンパです。

私は新卒でマクニカに入社し、製作実習でモノづくりを体験しながら回路設計や実装について学んできました。学生時代は有機化学を専攻しており、電気電子の知識が全くない状態からのスタートだったので、度々苦労しました。

そこで本記事では、私が製作実習でモノづくりを体験しながら回路設計や実装について学んだことを紹介しています。今回は、電源ICであるDC/DCコンバーターの種類について紹介します。

DC/DCコンバーターとは

種類について説明する前に、そもそもDC/DCコンバーターって何?って思われる方もいると思いますが、初めは自分もその一人でした。

簡単に言うと、直流 (DC) から直流 (DC)に電圧を変える変換器です。図1のように入ってきた電圧を変換して出力することができます。

図 1:DC/DCコンバーターの概要図
図1:DC/DCコンバーターの概要図

またDC/DCコンバーターを基板上に実装して使用するには、周辺部品にFET、インダクター、ダイオード、コンデンサー、抵抗などが必要となることがあります。
周辺部品の選定に関しては別の記事で紹介します。

DC/DCコンバーターの種類

DC/DCコンバーターの種類としては大きく分けて、リニアレギュレーター、スイッチングレギュレーターの2種類に分けられます。

リニアレギュレーターは、周辺部品の数が少なくノイズが少ない点がメリット、効率が低い点がデメリットとして挙げられます。一方スイッチングレギュレーターは、効率が高い点がメリット、周辺部品が多くノイズが比較的大きい点がデメリットとして挙げられます。

私は、スイッチングレギュレーターの中で降圧型、昇圧型と呼ばれるICを製作実習で使用したので、この2種類のスイッチングレギュレーターについて紹介します。一般的には、降圧型DC/DCコンバーター、昇圧型DC/DCコンバーターと呼ばれます。2つの違いは名前の通りで、入力電圧よりも電圧を下げるICが降圧型、上げるICが昇圧型です。

仕組みの違い

降圧型と昇圧型は同じスイッチングレギュレーターでも、回路構成が異なる事により制御方式に違いがあります。

回路構成の大きな違いはインダクターの位置であり、降圧型ではスイッチング素子の前、昇圧型では後に設置されます。インダクターは一定の電流を流すように働くという性質を持っています。もし、電流が流れてくると電流を流さないように電気エネルギーを磁気エネルギーに変換してエネルギーを蓄えます。

一方、電流を流すのを止めると、電流を維持させようと蓄えたエネルギーを放出します。スイッチングレギュレーターは、この性質を利用することで電圧を上げたり下げたりしています。
インダクターの性質を理解するのには本当に苦戦しました。。。

インダクターについてもっと知りたい方は、以下記事をご参照ください。
コイルの魔法 ~昇圧~

それでは、降圧型・昇圧型DC/DCコンバーターの動作原理について説明します。

■降圧型DC/DCコンバーター

スイッチングレギュレーターの動作は、スイッチがONとOFFの時の2つの状態で構成されています。

スイッチONの状態では、スイッチを経由してインダクターに電流が流れ込み、エネルギーが蓄積されます。スイッチOFFの状態では、電源は回路から切り離されます。その際に、インダクターが電源の代わりに蓄えたエネルギーを放出して負荷に供給します。

この2つの動作を交互に繰り返すことで、入力電圧を任意のレベルまで降圧して出力することができます。また、出力電圧は出力コンデンサーによって平滑化されるので一定の電圧を保つことができます。

図2-1:降圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチON時

図2-1:降圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチON時

図2-2:降圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチOFF時)

図2-2:降圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチOFF時

■昇圧型DC/DCコンバーター

昇圧型も降圧型と同様にスイッチがONとOFFの2つの状態で動作します。

スイッチONの状態では、インダクターを経由してスイッチへと電流が流れ込み、インダクターにエネルギーが蓄積されます。スイッチOFFの状態では、インダクターは電流を維持しようと蓄積されたエネルギーを電源と共に供給することで入力電圧よりも高い電圧を生成することができます。

上記のように昇圧型では、スイッチON・OFFの状態共に電源からインダクターへの供給が続いており、OFFの状態ではより高い電圧を生成できることから、入力電圧を任意のレベルまで昇圧して出力することができます。

図3-1:昇圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチON時

図3-1:昇圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチON時

図3-2:昇圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチOFF時

図3-2:昇圧型DC/DCコンバーターの回路構成 スイッチOFF時

このように、同じスイッチレギュレーターでも、回路構成 (特にインダクターとスイッチの位置) によって動作の仕方が異なります。

また、スイッチングレギュレーターの中には、降圧と昇圧のどちらもおこなえる昇降圧型ICや負電圧出力が可能な反転型ICなどもあります。しかし、製作実習では使用しなかったため、本記事では割愛させていただきます。

スイッチングレギュレーターをもっと詳しく知りたい方は、以下記事をご参照ください。
昇圧/降圧型のDC/DCレギュレーターを活用する方法 (※アナログ・デバイセズ社ページにリンクしています。)

まとめ

本記事では、DC/DCコンバーターの種類について紹介させていただきました。

内容をまとめると、DC/DCコンバーターとは、直流から直流に電圧を変える変圧器であり、リニアレギュレーターとスイッチングレギュレーターの2種類に分けられます。また、スイッチングレギュレーターの中には電圧を下げる降圧型、電圧を上げる昇圧型があり、動作の違いにはインダクターが重要な役割を担っています。

次回は、DC/DCコンバータおよび周辺部品の選定について紹介します。

人生初の回路設計までの道のり 記事一覧

・DC/DCコンバーターの種類

DC/DCコンバーターの選定

DC/DCコンバーターの基板設計

DC/DCコンバーターの実装

DC/DCコンバーターの評価

おまけ編