予知保全の実現に向けた、振動を利用したCBMとは?振動ピックアップセンサー「VP8021-A」

CBM(Condition Based Maintenance)とは

CBMとは、「Condition Based Maintenance(コンディション・ベースト・メンテナンス)」の略で、対象物の状態監視をすることで、故障前にメンテナンスの必要性を判断し実施するといった、予知保全の考え方のことを指します。

 

近年CBMは数多くの企業で取り組む最も大きな課題の一つです。

とくに故障時の機会損失が大きく、単価が高価なため簡単に交換が対応できない産業機械業界での取組みが顕著です。

 

今回は、そのCBM実現のために重要な役割を果たす、IMV社製振動ピックアップセンサーVP8021-Aをご紹介します。

 

CBM実現に向けたフロー

まず、CBMを実現するためにはどのようなフローをとるのでしょうか。そのフローは大きく分けて、以下の3つに分類されます。

 

 -機械状態のセンシング

 -センシングデータの処理

 -処理データをもとにした故障基準の判断

 

フローひとつひとつの要件定義は、対象とする機器によって異なります。なかでもとりわけ重要かつ検証を要するフローは、一般的に「機械状態のセンシング」といわれています。

 

センシングデータが誤っていたら、他2つのフローはいくら実証を重ねようとも意味をなさないためです。次の項では、機器状態のセンシングに関して掘り下げて説明します。

センシング対象の決定

さて、機器状態のセンシングでまず決めなければならないことは、センシング対象を”何”にするかです。センシング対象には、振動、電流、温度など、多くの要素が存在しますが、広く一般的にCBMで用いられているセンシング対象は、「振動」です。

 

機器状態のセンシング 劣化曲線
機器の劣化曲線

こちらは、機械の劣化を図に示したものです。当然のことながら、時間が経過していくとともに、機械の状態は変化していきます。

 

初期状態から故障に至るまでの曲線のなかで、劣化を判断する最初の兆候として表れるのが、振動です。

 

振動を計測することで、機械の故障をより早期に判断することができます。

故障振動を計測するために

周波数ごとの振動の種類
周波数ごとの振動の種類

それでは、故障を計測するための機械振動とはどのようなものなのでしょうか、そして、どのような振動センサーを利用すればよいのでしょうか。

 

こちらは、周波数ごとに振動の種類をまとめた図です。

 

機械振動は一般的に10Hz~20000Hzと言われており、私たちが普段目にする振動より何倍も高い周波波であることがわかります。

 

周波数ごとの振動センサの種類
周波数ごとの振動センサの種類

一般的に機械の振動検知に利用される振動センサーは、以下の3種類に分けられます。

 

 -メカニカルサーボ型加速度センサー

 -一般的静電容量型加速度センサー(MEMS)

 -圧電型振動ピックアップセンサー

 

なかでも高周波まで計測できるセンサーは、圧電型振動ピックアップセンサーです。しかし、圧電型振動ピックアップセンサーは高価なものが多く、高いものでは10万円を上回るケースもあります。

 

今回紹介するIMV社の静電容量型の振動ピックアップセンサー・VP8021-Aは、"コスト"という圧電型センサー最大の課題を解決することができます。

それではVP8021-Aの詳細を紹介します。

VP8021-Aとは

IMV社 超小型振動ピックアップ(センサー)VP8021-A
IMV社 超小型振動ピックアップ(センサー)VP8021-A

VP8021-Aは、静電容量型の振動ピックアップセンサーです。製品内部には、Analog Devices社が提供する、安価で高周波振動まで計測できるMEMS加速度センサー「ADXL1002」が採用されています。

 -Analog Devices社「ADXL1002」に関する詳細はこちら

 

このセンサーを利用することで、コストを抑えつつ、従来の圧電型振動ピックアップセンサーと同様の振動データを取得することができます。

量産時は25,000円~30,000円(※1)で購入することができ、導入自体を安価にすることができます。

-※1:価格はご発注数量により要ご相談となります。お問い合わせボタンまたは、マクニカ・アルティマカンパニー担当者にお問い合わせください。

VP8021-Aの主な機能

以下にIMV社「VP8021-A」の特長を紹介します。

 

IMV社「VP8021-A」

振動周波数範囲 10Hz~10kHz
出力仕様 IEPE出力
加速度直線性 ±5%
ノイズ密度 464(um/s²)/√Hz
温度感度特性誤差 ±3%
使用温度範囲 -30℃~120℃
サイズ 17mm×27mm

VP8021-Aで取得したデータ処理に関して

振動センサーとSENSPIDER
振動センサーとSENSPIDER

VP8021-Aが取得するデータは高周波なため、最大10kHzの信号をAD変換することのできる処理端末が必要となります。

 

マクニカでは、高周波信号の処理や、AI実装をしてエッジコンピューティングを実現できる、SENSPIDERを提供しています。詳細は公式HPページのこちらをご確認ください。

「CBMを検討中ですが、コストで困っている」という方は、ぜひ弊社にご相談ください!

お問い合わせはこちら

VP8021A+SENSPIDERによる振動計測デモンストレーション動画

本編ではここまで振動センサーを利用したCBMの実現を紹介してきましたが、実際にSENSPIDERとIMV社製振動ピックアップセンサーとのコラボレーションにより、回転機械の異常検知の検証したデモンストレーション動画をご覧ください。

 

IMV社の加速度ピックアップセンサー (VP8021-A) からの振動データを SENSPIDER+SigmaによりFFT解析することで精密診断が容易におこなえます。

 

 

アプリケーション例

・射出成型機

・ボイラー

・撹拌機

・コンプレッサー

・その他モーターやベアリングが搭載された産業機器

VP8021-Aのアプリケーション例:射出成型機、ボイラー、撹拌機 VP8021-Aのアプリケーション例:射出成型機、ボイラー、撹拌機
VP8021-Aのアプリケーション例:産業機器 VP8021-Aのアプリケーション例:産業機器
VP8021-Aのアプリケーション例:産業機器 VP8021-Aのアプリケーション例:産業機器

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