最近の電子機器は、バッテリーやAC/DCアダプターおよびUSBなど様々な電源供給を可能にしています。それら電源の優先順位を決めたり、シームレスな切り替えを行う為に、電圧監視やマイコンによる制御が必要となります。
電圧監視やマイコンによる制御
複数電源の供給を可能にするためには、ダイオードORなどにより、お互いの電源が負荷にならない様に対処する必要があります。
また、バッテリーを使用してバックアップ電源をシステムに組み込む際は、バッテリーが電力消費しないようにシステムから切り離すなどのハード設計と、電源の切り替えに関して優先順位付けを行う必要があります。
この様な、切り替え回路の設計についてはディスクリートで設計した場合、上手く動作しないなどの問題を抱えることが多い様です。
ダイオードOR回路
例えば、AC/DCとUSBの切り替えでダイオードを使用する場合は、回路構成としては非常に簡単です。
しかし、ダイオードのVF分の電圧降下や電力損失が発生します。
また、バッテリーを補助電源としたい場合などは、外部からの電源供給が無い場合のみ、電力供給するような切り替え回路や電源の電圧調整を行う必要があります。

パワーFETを使用したOR回路
ダイオードORではなく、パワーFETを使用したOR回路を構成することで、図2の様に電圧降下や電力損失を小さく抑えることが可能になります。
ただし、パワーFETを制御する為の回路が必要となり、設計したところ動作を安定させることが難しかったりします。

パワーパス製品によるパワーFETのOR回路
アナログ・デバイセズ社製品のパワーパス製品LTC4416を使うことで、安定したパワーFETのOR回路を構成することが可能です。
これにより、バッテリーとUSBなどの外部電源との切り替えを低消費で安定的に行うことも可能になります。
図3は、LTC4416を使用して供給する13.5Vと10.8Vの電源切り替えを行う回路構成になります。

プライオリティ付け可能なパワーパス製品
ダイオードORやパワーFETを用いたOR回路において、電源供給の優先順位は、電圧が高い電源が優先的に回路に電力を供給します。
しかし、実際のアプリケーションでは必ずしも優先的に供給したい電源の電圧を高く設定できない場合もあります。
その様な場合には、LTC4417と言う供給するピンアサインで電源のプライオリティを設定することが可能なパワーパス製品を使用することで構成することが可能です。
例えば、図4の様にV1に12VをアサインすることでV2に供給している14.8Vがあったとしても、12V供給が優先されます。
V1に供給している12VがUVLO【Under Lockout Voltage】以下になった場合、図4の波形図にあるように2ndプライオリティの14.8Vが供給される回路構成になっています。

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