
Cato Networks
ケイトネットワークス
Cato Cloudはレースの生命線、さらにAIセキュリティリスクも管理する基盤
2025年5月28日

写真:ポルシェフォーミュラE レーシングカー99X
勝負を決める、さまざまな戦略データを高速に本国ドイツに転送
Cato Networks社は、世界各地で開催される電気自動車のレース、Formula-Eのタグホイヤー・ポルシェチームの公式SASEスポンサーとして参加しています。今年も、東京有明にて東京E-Prixが開催され、国内の公道レースとして注目を集めました。

写真:Cato Networksイベントオープニング

写真:Cato Networks社創業者&CEOのシュロモ クレイマー氏のビデオメッセージ。
レース開始前には、ポルシェスタジオ銀座にてCato Networks社とポルシェ社によるブリーフィングセッションとネットワーキングイベントが開催され、参加者は業界最先端の技術について理解を深めることができました。Cato Networks社創業者兼CEOであるシュロモ・クレイマー氏のビデオメッセージから始まりました。
Cato Networks社のAIサービス管理ダッシュボードの発表
ウェルカムセッション
講演者:Cato Networks Threat Intelligence Researcher Vitaly Simonovich

写真:Vitaly氏

写真:Cato CTRLについて
Cato Networks社からサイバー脅威リサーチラボのセキュリティ研究者、Vitaly Simonovich氏がAIに関する最新の研究成果を発表しました。彼は、Cato CTRL(ケイト・コントロールと呼びます)と称される研究部門の調査を通じて、最新のサイバーセキュリティの研究成果を定期的に公開しています。
1.シャドーAI対策
まず、AIアプリケーションの利用状況について、Cato Networks社のグローバルバックボーンを基盤にした業種別トラフィックランキングが発表されました。ChatGPTの利用が頻繁に話題となっていますが、特に製造業の分野ではPDFを要約するAIのトラフィックが多くなっていることが明らかになりました。また国内の事例では、プログラマー向けのAIサービス通信が最も多く、企業ユーザが幅広いAIサービスを利用していることが示されました。企業の機密情報や文献のPDFがAIサービスに投稿されていないか、また機密であるソースコードが送信されていないかChatGPT以外のAIアプリケーションの通信も確認することが必要だと考えられます。

写真:2024年にグローバルでアクセスされたAIアプリケーショントップ10と企業業種

写真:2024年の日本におけるAIアプリケーションランキングトップ 10
Vitaly氏は、このような状況に対する具体的な事例を紹介しました。
- 韓国の大手製造業がChatGPTに機密ソースコードを送信していた例
- 米国エンタテイメント企業が画像編集AIツールをダウンロードしたところ、知らない間にマルウェアに感染して認証情報が盗まれた例
- 複数の企業が使用を禁止した中国発の新興AIサービスに関する例
これらの事例を踏まえ、想定されるAIアプリケーションに対する主な脅威として下記が挙げられました。
- データ持ち出しと情報漏洩
- 知的財産(IP)に対する懸念
- コンプライアンスおよび規則違反
- データプライバシーの侵害
- セキュリティの脆弱性
- 監査可能性の欠如

写真:AIアプリケーションに対する脅威
これらに対処するため、Cato Networksは新しい機能としてCato SASE内で提供するCASB(キャスビー、クラウドアクセスサービスブローカー)のAIサービスダッシュボードを紹介しました。すでにCato Cloudには1,000以上のAIアプリケーションが登録されており、これによって従業員がどのようなAIを利用しているかを可視化し、システム管理者がCASBによりアクセスを制御できるようになります。今後増加するAIサービスに対して、Cato Cloud 管理者は迅速な管理と制御が可能となります。

写真:Cato Cloud CASBに新しく搭載されたAIサービス管理ダッシュボード
AIブームにのって、さまざまなAIが出てくる中、情報システム部門は社員が安心してAIを使えるようワークロードの整備が必要です。Cato Networks SASEが企業統治の助けとなります。
2.LLM脱獄
さらにAIを活用した驚くべき実験結果が発表されました。具体的には、セキュリティの専門知識を持たない状況下でも、AIを使ってマルウェアを作成することに成功したという事例です。
この実験では、3名の仮想人物を作成し、それを基に仮想シナリオを構築しました。このシナリオに基づき、Google Chromeに保存されているパスワードを盗むための「インフォスティーラー」と呼ばれるマルウェアの作成に至りました。

写真:LLM脱獄のためのイマーシブ・ワールドの登場キャラクター

試験環境として設定されたダミーのウェブサイトbank.comには、Chromeの認証情報がAIによって生成したプログラムを通じて解析され、表示される様子が確認されました。
この実験は、AI技術がサイバーセキュリティの分野に及ぼす影響の一端を示すものであり、今後のAI活用における倫理的かつ安全な運用の重要性を改めて突きつけるものとなっています。詳細な内容はこちらもCato CTRL 2025レポートに記載されています。
ポルシェが電気自動車のレースに参戦する理由
ゲストセッション
Bernd Simmendinger
Porsche Motorsport – Leiter / Manager Business Relations

写真:Bernd Simmendinger氏
次のセッションでは、ポルシェのビジネスリレーションズ担当、Bernd氏が本国ドイツから来日し、数々の質問に対し意見を交換する機会を持ちました。
彼は自動車開発の一環として電気自動車のレースに参加する理由を説明しました。ポルシェ本社のリサーチセンターは、製品開発にフォーカスしたこの電気自動車のレースに強い関心を寄せており、その指示を受けて活動しているといいます。現在、ポルシェは世界1位のポジションを誇り、昨シーズンのトップの地位を維持することを目指しています。
モータースポーツ歴25年のBernd氏は、これまで24時間耐久レースやGTレースに関わってきましたが、フォーミュラーEは特別なレースだと感じているそうです。彼は、ポルシェが業界でトップのパートナー企業を採用していることについて触れ、その中にはCato Networksも含まれているとの事。Cato Cloudが提供するデータ転送についての専門性を高く評価しており、フォーミュラーEにおけるデータの転送は極めて重要な要素であり、生命線であると強調しました。

写真:フォーミュラーE シミュレーター
Bernd氏によれば、レース展開には高速かつセキュア、信頼性の高いデータ転送が不可欠であり、ドイツ本部でもサポート体制が整えられており、今回のレース中もドイツと東京間でデータの送受信が行われているとの事です。モータースポーツは研究開発の絶好のプラットフォームであり、フォーミュラーEは電気自動車開発の大きな強みとなっています。
ドライバー2名の実際の走行情報に基づき、状況に応じた最適な設定と指示を迅速に行う必要があり、パドックにはCatoのソケットが設置され、車載データはドイツに送信されています。データ解析の中では特にバッテリーのエネルギーマネジメントが大変重要で、毎日調整が行われているそうです。日本から送信されるデータは大変重要で、それに基づき最適な車両設定が施されます。(公道レースのため、そのまま白線などが引いてありますが、これが滑るそうです)
レース開始後は、ドライバーは常に必要な情報を入手できなければなりません。レース終了後には、充電のデータやドライバー自身もデータを確認します。そのため、信頼性の高いデータ転送を可能にするパートナーが必須で、Cato Networksという素晴らしいパートナーを得たことに非常に満足していると述べました。
昨シーズンの成功を維持しつつ、シーズンの中盤である東京でも成果を発揮したいという意気込みを語り、世界各地でドライバー1位、チーム1位を目指してさらにレースを続けていく考えです。今後もCato Cloudの力を借りてサポートしてもらうことを期待している。
最後に、フォーミュラーEを支えているBernd氏ですが、プライベートでは平日は電気自動車、週末にはガソリン車を運転しているそうです。
今後ポルシェとしては、さまざまな自動車をつくっていく、タイカン、マカンEVなど
電気自動車において、どのように良い車をつくっていくかも考えていきたいとまとめてくれました。

写真:今回の講演者の2人
雨の中でのレース、予選も中止、レース中断の予測できない事態に
今年の東京E-Prixは、激しい風雨の中で始まり、予選が中止されるという予測不可能な事態に直面しました。レースは2日間にわたり開催され、初日から厳しいコンディションが続くことになりました。私自身も雨対策として雨カッパや防水ズボン、防水バッグを装備し、ずぶ濡れを覚悟して臨みました。Cato Networks社も今回、チームの帽子に加えてポータブルレインコートを配布し、参加者への細やかな配慮がみられました。
ポルシェ銀座のスタジオには実車が展示されており、その軽量でカーボン素材の車体は印象的でした。昨年は開催時期に合わせて春の桜をイメージしたショッキングピンクのマシンカラーとなっていましたが、今年はマクニカのカラーである(?)紫に変更されています。講演後のBernd氏に聞いてみると、このカラーはポルシェのEV車タイカンターボGTの 2026年モデルの新しいカラーであり、マカンEVともコミュニケーションカラーとして「スカイパープルメタリック」と「シェイドグリーンメタリック」が選ばれたもので、フォーミュラーEから市販車へ技術をリンクするといったEVスポーツカーを意識したカラーになっています。実際にタイカンにはフォーミュラーEの特長である、「アタックモード」が実装されています。
今年の車体規格はGEN3EVOとなり、4輪駆動を採用したことでスピードが向上しています。この点が昨年からの大きな進化です。4輪駆動を利用できるタイミングは限定されており、その貴重な走行データも新たに取得し、ドイツの本社へと転送されることになります。ポルシェのレース戦略が今年も一段と進化していることが伺え、今後の展開に期待が高まります。

写真:2025年GEN3EVO

写真:水しぶきをあげてさらに迫力
Cato Networks応援チームも、紫の帽子をかぶってレースを盛り上げます。レース開始前には幸運にも小雨になり、目の前で水しぶきを上げて電気音とともに車が駆け抜ける様子を楽しむことができました。雨のレースでは、後続車ほど水しぶきによって視界が悪くなると言われています。
午前中に予定されていた予選レースは強風と大雨のため中止となり、テストランの順位を基にスタート位置が決定されるなど、選手たちの順位は混戦状態に。それについてBernd氏に伺ったところ、予選前にはすでにテストランのデータがCato Cloudを通じてドイツに転送済みで、雨の走行については専用シミュレーターでほぼ再現できているとのことでした。実際の送信データも交えてマシンにフィードバックされ、雨の中での戦略が緻密に組み立てられます。

写真:エバンス、ダコスタ、ローランド
1日目のレースでは一度中断、セーフティカー先導のもと再スタートとなり、雨の路面で車もスリップするなど荒れ模様ながら見ごたえのある展開となりました。その日はマセラッティが優勝を飾り、2日目には開催国の期待を背負った日産のローランド氏が悲願の優勝を勝ち取り、会場は大きな歓声に包まれました。タグホイヤー・ポルシェチームは2位と3位を獲得し、健闘を見せました。

写真:各地のレース日程
Cato Cloudでどんな場所でもセキュアなデジタル環境をスムーズに構築
これからも、世界各地で熱い戦いが続きます。ポルシェチームとCato Networksは、さらなる躍進を目指して協力を続けることでしょう。
現代のスポーツ界において、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる中で、データ解析と迅速なデータ転送の役割はますます重要性を増しています。Cato Networksの提供するCato Cloudは、こうした要求に応えるための革新的なソリューションであり、その力を発揮しています。
Cato ソケット X1600LTEを使う事で携帯電話回線を利用したSASE環境構築が可能であり、これによって地理的な制約を超える接続が実現されます。また、実際に衛星回線を使用した事例もあり、これにより遠隔地やWAN回線のない地域からでも安定した通信が可能になります。スポーツチームや関係者は、世界各地どこでも、必要なデータをセキュアに収集・解析でき、競技戦略をリアルタイムで練ることが可能になります。
さらにCato Cloudが提供するゼロトラストネットワーク環境により、セキュアなアクセスが保証されており、重要なデジタル情報を扱う上での安心感を提供します。この技術は、スポーツ界に限らず多くの分野で必須となっていくことでしょう。

株式会社マクニカ
鈴木富士雄
1989年米国光ファイバー製品を担当。その後情報システム部門にてマクニカ webmaster として Web サイト構築運営を行う。2005年よりクラウドサービスの営業、2010 年より Splunk 製品担当として CSIRT の啓蒙を行う。2019年より Cato Networks 製品マーケティング担当。SASE Expert Level2, SSE Expert認定取得。週末はマリンスポーツでアナログ生活をしている。
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