はじめに
このページは、『組込みシステムにもNANDの時代が本格到来!NORのスケーリング限界を突破するオクタルNANDフラッシュ(1)』の続きの記事で、限界を迎えるNOR型とさらに進化中のNAND型について解説します。
前回の記事はこちらをご覧ください。
フラッシュメモリー: 限界を迎えるNOR型とさらに進化中のNAND型
現在、多くのシステムに使用されている「NORフラッシュ」は、車載用や産業用などの一部アプリケーションにおいて、コスト効率が限界に達しつつあります。車載用グラフィックスディスプレイや先進運転支援システム(ADAS)などのアプリケーションでは、コードサイズが512Mビットよりも大きくなることが多々あります。しかし、512Mビットを超える容量になると、NORフラッシュはスケーリングが難しくなり、ダイサイズやコストが過大になってしまいます。
一方、「NANDフラッシュ」は、1Gビット以上の容量帯においてスケーラビリティが高く、コスト的にも魅力的です。ただし、従来のNANDフラッシュは、コードをRAMにシャドウイングするなどの動作において、読出し速度が充分ではありませんでした。
一部のベンダーは、「NORフラッシュ」に8つのI/Oを備えたオクタルインターフェースを導入することで、この問題を解決しようとしています。しかし、NORフラッシュのコストが非常に高いため、このソリューションのコストも高くなってしまいます。一方、「NANDフラッシュ」のインターフェースをオクタルにすることで、コスト構造の改善とスループットの向上を両立さることが可能になります。
ウィンボンドの “OctalNAND” は、一般的なQspiNANDよりもはるかに高いスループットと、NORよりもはるかに高いプログラム/消去速度を備えています(図1参照)。また、NANDのダイサイズはNORよりもはるかに小さいため、コストも大幅に削減できます。
例えば、1GビットのオクタルインターフェースNORフラッシュの価格は、1GビットのオクタルインターフェースNANDフラッシュの2倍です。
NORと比較した際のNANDのもう1つの利点は、プログラム速度です。NANDはNORに比べてプログラム時間が短く、車載向けOTAのように、システム内のコードやファームウェアを短時間でプログラムする必要があるアプリケーションでは、これが非常に重要となります。

図1:フラッシュメモリー容量と最大読出し速度(画像クレジット:ウィンボンド)
オクタルNANDフラッシュの市場機会
容量、性能、コスト間のトレードオフを解消するソリューションには、大きな市場があることは明らかです。
IDCによると、2024年には自動運転Level1/Level2の自動車が5,000万台になると予想されています。
EV車のCAGRは約18%であり、どれもシステムを有効にするためのブートアップシーケンスが必要となるため、フラッシュメモリーに対する膨大な需要が発生することになります。当然、起動以外にも、システムごとに他の機能をロードすることも必要です。
また、ゲーム市場も大きな機会です。2020年のゲーム機の総出荷台数は約4,780万台となっています。
より良いゲーム体験のためには、ファームウェアの更新速度が重要であり、これにはメモリーサブシステムの性能とスループットが必要となります。
車載、AI、家電、産業機器メーカーは、512Mビット以上の容量でスケーリングが難しいNORフラッシュに多額の費用をかけず、オクタルインターフェースが搭載されたNANDフラッシュメモリーを活用することで、高容量のコードストレージを実現し、市場の成長機会を活かすことができます。
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