工場や製造現場で機械が故障した場合、これまでは故障してから人がその場へ駆けつけ、人間の感覚で異常を検知してきました。また故障が起きないようにするには、メンテナンス/保守に費用をかけるしかありませんでした。ファクトリーオートメーションが進む昨今、この異常検知を、システムにより自動化し、故障の発生を予測したいというニーズが高まっています。

今回はTexas Instruments社製(以下TI社)プロセッサを用いてモータやポンプなど装置の欠陥を検知するデモンストレーション動画の内容をご紹介します。実際に異常検知の自動化をどのように実現することができるのか、TI社のリファレンスデザインを使うメリットもあわせて解説します。

TI社 高精度ADC内蔵プロセッサを用いた振動監視デモ

※英語字幕付きでご覧になる方は、動画下部のCCマークをクリックし、Engllishを選択してください。

 

動画の流れ

0:00 - 1:29 概要とデモ環境の紹介

  • モーターやポンプの回転部品の欠陥、シャフトのずれ、モータ設置の欠陥を早期に検出可能
  • 使用するリファレンスデザインは高精度ADC内蔵プロセッサとBluetoothマイコン、加速度メータで構成
  • 使用するモータはブラシレスDCモータ(3,600RPM/60cps)で、モータとトルクをシャフトで接続


1:29 - 2:24 セットアップ

  • オシロスコープで横軸:時間に3軸加速度計の出力を確認
  • TIアプリで横軸:周波数に振動のピーク周波数を確認
  • 周波数分布で、x、y、z軸のピーク周波数が60Hzに集中していることを確認、x、z軸では第5高調波を確認


2:24 - 3:01 デモ#1の解説 ~シャフトのずれを起こす~

  • ノイズの音が変化し、映像からもシャフトが揺れていることを確認
  • 周波数分布で、x、y、z軸のピークが別々の周波数に分布していることを確認


3:01 - 4:02 デモ#2の解説 ~モータ設置のボルトを半周緩める~

  • スロー映像ではシャフトが揺れていることを確認
  • 各周波数分布で、x、y、z軸のいずれも振動の周波数が広範囲に分布していることを確認

押さえておきたいポイント

振動の周波数データで異常を検知できる

正常時の周波数データを元にx、y、z軸方向成分でそれぞれ比較することで、正常時と異なる波形を見つけて異常検知につなげることができます。

異常検知に使える振動データを簡単に取得できる

モータやポンプなどの装置を停止させることなく、また装置の外からデータ取得が可能なため、導入をよりスムーズにします。

一から作らなくてもリファレンスデザインの設計データ、アプリが既にある

デモで使用したリファレンスデザインは設計に必要な回路図、レイアウト等すべて公開されています。またデモ用のアプリケーションが用意されており、波形の解析までをワンストップでご準備いただけます。まずはどのように振動監視を実現できるか試したいという方に最適です。

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振動監視のイメージ図(Reference Design for Wireless Condition Monitor for Motors and Pumps (Rev. A)より引用)

デモ動画で使用したTI社リファレンスデザイン

TIDA-01575

TIDA-01575は、モータやポンプなどの装置を、無停止で装置の外から監視することができる予測保守向けのリファレンスデザインです。3つのボードで構成されており、3軸加速度センサで取得したデータを高精度ADC内蔵プロセッサで処理し、Bluetoothワイヤレスマイコンから、スマートフォン等にデータを転送します。

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TIDA-01575 (Reference Design for Wireless Condition Monitor for Motors and Pumps (Rev. A)より引用)

TIDA-01575の構成

  • MSP-EXP432P401R LaunchPad
  • BOOSTXL-CC2650MA Booster Pack
  • 3軸加速度センサ/シグナルコンディショニング
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TIDA-01575 ブロック図(Reference Design for Wireless Condition Monitor for Motors and Pumps (Rev. A)より引用)

なお、本リファレンスデザインTIDA-01575は、TI社およびMacnica-Mouserでの販売はしておらず、設計データを公開しております。構成ボードである、MSP-EXP432P401R LaunchPadとBOOSTXL-CC2650MA Booster Packは販売していますので購入可能です。

MSP-EXP432P401R LaunchPad

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本ボードは、32ビット Arm® Cortex® -M4Fコアを採用し、MSP430マイコンシリーズの特長を受け継いだ、高性能でローパワーなMSP432 マイコンの評価ボードです。

BOOSTXL-CC2650MA

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BOOSTXL-CC2650MA Booster Packは、各種LaunchPad™ 開発キットにBluetooth low energyを迅速かつ簡単に追加することができます。

詳細情報をお求めの方は、ぜひお問い合わせください

モータなどの装置の寿命を振動データで予測することで、これまで抱えていたメンテナンスコスト等の課題解決にぜひお役立てください。

 

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