「LAUNCHXL-F28027F」はセンサレス・モータ制御をすぐに開始できるように設計されたTexas Instruments社 (TI社) のマイコン搭載評価ボードです。
この評価ボードにはTI社のリアルタイム制御32bitマイコンTMS320F28027Fが搭載された低コストな評価ボードで、InstaSPIN™-FOCを使用してセンサレス・モータの制御を実現します。
ここではセンサレス・モータを導入するメリットと簡単に開発を実現できる評価ボード「LAUNCHXL-F28027F」について解説しています。
センサレス・モータの導入メリット
センサレス・モータを採用するメリットは大きく4つあります。
1. スペースをとらない
センサ付きモータと比較して小型です。そのため物理的にスペースがない場所での採用メリットが大きいです。エアコン圧縮機など、取り付けスペースがないアプリケーションには大きなメリットをもたらします。
2. 作業工程を減らせる
センサ付きモータの場合、回転位置センサの取り付けを個別モータごとに調整が必要となり、作業工程の増加をもたらしてます。センサレスではモータ個別の調整は必要ないため、作業工程を減らせます。
3. 信頼性の向上
一般的にセンサ付きモータの場合、センサ故障時の保護回路など部品点数が増えます。センサレスでは部品点数を削減することで信頼性が向上します。
4. コストメリットが大きい
作業工程の削減と部品点数を減らせることで、大きなコストメリットがあります。
センサレス・モータ採用時の課題
センサレス・モータは閉ループ制御での駆動が必要であり、電圧、電流、モータパラメータ、などを用いて、位置と速度を測定します。そのため、センサレスのブラシレス・モータを設計するには、高度な専門知識と十分な開発期間が必要になります。
センサレス・モータを採用するには、マイコンを使った高度な制御技術が必要となります。
センサレス・モータ制御を簡単に実現する「InstaSPIN™-FOC」とは?
「InstaSPIN™-FOC」はTI社が提供しているモータ制御ソリューションです。
ここでいうFOCとはフィールド・オリエンテッド制御(Field Oriented Control)のことを指しています。
InstaSPIN™-FOCはTI社の「C2000 Piccolo」シリーズマイコンに搭載されており、マイコンのマスクROM領域に専用ソフトウェアを格納しています。
そのため、モータ制御に関する専門知識が浅いエンジニアでもセンサレス・モータ制御が簡単に開発できるようになっています。
下記にInstaSPIN™-FOCのすぐにセンサレス・モータ制御ができる5つの特徴について解説します。
1. モータ特性を自動解析
一般的なセンサレス・モータ制御を開発するには駆動対象となるモータ特性のパラメーターを修正、プログラムの微調整が必要です。
このため、専門知識の浅いエンジニアであればモータ制御の開発に数ヶ月かかることがあります。
TI社のInstaSPIN™-FOCには自動でモータ特性を把握する機能を搭載しています。
駆動モータを解析し、モータの抵抗値、インダクタンスといった特性を短時間で把握することができます。
2. FASTソフトウェア・エンコーダ
モータを制御するフィードバック・ループの一部であり、磁束、角度、速度、トルクを推定し、モータ制御ブロックに情報を与えてモータ制御の微調整を行います。
そのため、時間、温度の変化に対しても高い精度を確保してモータ制御が可能です。
3. 制御ループのチューニング
FOC電流コントローラの自動チューニングを行うことでほとんどの三相センサレス・モータに対してアンペアあたりのトルクを最大化し、高効率なモータ制御を実現します。
4. システムのフレキシビリティ
TI社のInstaSPIN™-FOCはAPIインターフェイスを通してユーザーがカスタマイズすることができます。
例えば
- ソフトウェアエンコーダをフィードバックセンサとして使用する
- InstaSPIN™-FOCをトルクコントローラとして使用する
- InstaSPIN™-FOCをカスケード接続の速度/トルクコントローラとして使用する
といった使用に対応することが可能です。
5. 磁界制御
ユーザー側が手動もしくは自動で磁界を制御することが可能です。
そのため、設計よりも高いトルクだし、設計値以上の回転子速度を実現する事ができ、モータ制御を最適化することができます。
InstaSPIN™-FOC機能を搭載したTI社のリアルタイム制御マイコンを使用すればセンサ・モータ制御を簡単に開発することができます。
InstaSPIN™-FOCをすぐに試すことができる 低コストの評価ボード「LAUNCHXL-F28027F」
評価ボード「LAUNCHXL-F28027F」には以下が同封されています。
- 「LAUNCHXL-F28027F」ボード1枚
- ミニUSB-Bケーブル
- クイック・スタートガイド絶縁型
XDS100v2 JTAG エミュレータを内蔵しているためUSB 経由でリアルタイムのイン・システム・プログラミングとデバッグが可能です。
また、開発に必要なソフトウェア・デバッグ機能も提供されています。
- Code Composer Studio 統合開発環境(IDE)v7 のフル機能版(無料)
- MotorWare™ ソフトウェアを、無償でダウンロード可能
そのため、この評価ボード「LAUNCHXL-F28027F」購入すればすぐにでも評価が始められるようになっています。
アプリケーション例
- センサレス
- モータ
製品概要
LAUNCHXL-F28027F評価ボード
メーカー名 | テキサス・インスツルメンツ(TI) |
型 名 | LAUNCHXL-F28027F |
搭載マイコン | C2000 リアルタイム制御マイコン TMS320F28027F |
主な機能 | 64KBオンボード・フラッシュ、8つのPWMチャネル、eCAP、12ビット ADC、I2C、SPI、UART、InstaSPIN-FOC |
梱包物 |
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開発ソフト |
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LAUNCHXL-F28027F 商品 詳細
C2000 Piccolo リアルタイム制御マイコン 詳細
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