Channel Sounding(チャネルサウンディング)
2024年9月に発表されたBluetooth規格「Bluetooth 6.0」で追加された新機能の一つが「Channel Sounding(チャネルサウンディング)」です。
以前は高精度距離測定(HADM)と呼ばれる技術であり、本技術はPBR(位相ベース測距)、RTT(往復時間ベース測距)を使用して、2つのBLEデバイス間の距離を正確に測定します。
この技術を用いて、次世代のワイヤレスアクセス、近接ソリューションの実現を可能とし、ユーザーの生活をさらに豊かにします。
本記事では、チャネルサウンディングの仕組み、ユースケース、またシリコン・ラボがもつソリューションついて詳しくご紹介いたします。
チャネルサウンディングの仕組み
チャネルサウンディングは、Initiator(イニシエーター)とReflector(リフレクター)として指定された2つのBLEデバイス間の距離を推定します。
・Initiator :自機から対抗機までの距離を算出するデバイス
・Reflector:Initiatorに応答するデバイス
2.4GHz帯域で動作し、最大72 チャネル間で情報を交換することで通信の信頼性や効率を向上させています。また、デバイス間で最大4 つのアンテナパスをサポート、8つのアンテナの組み合わせを可能とし、マルチパス効果を最小限に抑え、精度を向上させます。チャネルサウンディングは、PBR、RTTを使用して、2.4 GHz 帯域全体で正確な調整を行います。
PBR(Phase-Based Ranging:位相ベース測距)

PBRは、RF信号の位相回転の原理を利用して距離を計算します。
このプロセスでは、Initiatorは特定の周波数および振幅情報を持つ信号を送信し、Reflectorは応答を送信する前にこの受信信号の位相を測定します。両方のデバイスからの信号間の位相差を比較することによって、それらの相対距離を決定することができます。PBR は、特に RSSI(受信信号強度)のような方法と比較して、大きなセキュリティ上の利点を提供します。位相情報の操作は複雑であるため、PBR は距離測定のためのより安全な技術になります。
RTT(Round Trip Time:往復時間ベース測距)

RTTは、信号がInitiatorからReflectorまで移動し、戻ってくるのにかかる時間を指します。InitiatorとReflectorの間のパケット交換に要する時間である、ToF(Time of Flight:飛行時間) を計算することで、距離を推定できます。これを達成するには、両方のデバイスがToA(Time of Arrival:到着時間)とToD(Time of Departure:出発時間)を記録します。InitiatorとReflectorの ToA と ToD の違いを分析すると、信頼性の高い距離計算に必要なデータが得られます。また、セキュリティ面では、時間を逆転させることができないため、RTTは高度に安全であると考えられます。
ユースケース
以下図は、チャネルサウンディングのユースケースの一例になります。
次世代のワイヤレスアクセス、近接ソリューションの実現を可能とし、様々な分野・アプリケーションで機能の活用が見込まれます。


各種測位ソリューションの特徴
現在市場には多数の測位ソリューションがあるため、IoT プロジェクトに最適なソリューションを選択することが重要になります。
チャネルサウンディングでは、従来の測距ソリューションと比較して、高精度の測距を可能にしつつ、デバイスサイズを小型化にすることができるため、
今まで実現が難しかったアプリケーションへの選択肢となることが考えられます。

シリコン・ラボ 評価キット/ソリューション
以下の図は、シリコン・ラボが提供するチャネルサウンディング評価キットとソリューションとなります。
お客様に実際に触っていただき、チャネルサウンディングのパフォーマンスを評価していただくためにも、シリコン・ラボは早くから評価環境を整えてきました。
評価ボードをご購入後は、シリコン・ラボが無償提供する「Simplicity Studio」で容易にプロジェクトの立上げ、リアルタイムビジュアライザーツールにてご評価いただけます。
Bluetoothチャネルサウンディングの評価・評価環境にご興味がある方はぜひお問い合わせください。


低消費電力・チャネルサウンディング対応無線マイコン「EFR32BG24」
シリコン・ラボ社が提供する「EFR32BG24(BG24)」はチャンネルサウンディングのサポート、高性能 2.4 GHz RF、低消費電力、AI/ML ハードウェアアクセラレーター、AECQ-100 の認定資格 などの主要機能を備えているため、測距に加えて、スマートホーム、照明、ポータブル医療製品向けの Bluetooth Low Energy と Bluetooth メッシュを使用した IoT ワイヤレス接続に最適なデバイスとなります。

関連情報
お問い合わせ
本製品に関してご質問などがありましたら、以下より問い合わせください。
Bluetooth規格「Bluetooth 6.0」認証
シリコン・ラボ社の xG24 SoC および xGM240 モジュールが Bluetooth 6.0 認定を取得しました。お客様は、開発ニーズに合わせて、認定を効率化するためのさまざまなソリューションを利用できるようになりました。