"とにかく泥臭い"現場エンジニア目線のセミナーを目指して
製造業では外観検査、ロボットでは自動走行、リテールでは商品棚やスタッフの管理など、様々な業種で画像解析技術を活用した課題解決が進んでいます。その技術を支える各業種の現場エンジニアの方は、まずNVIDIA Jetsonの開発者キットに触れて、自社開発を進められている方が非常に増えてきました。
そこで課題となったのが、画像解析アプリケーション開発で使用するツール(SDK)の理解や、物体検出(YOLO)などのオープンソースソフトウェア(OSS)をどう活用すべきか、初めての方には学習すべきことがたくさんあるということでした。独学で始めるといくつもの落とし穴にはまり、中々先に進まないといったお声を多くいただきました。
画像解析アプリ開発に参考となる情報は世の中にたくさんある。ただそれをかみ砕いて、落とし穴を事前に回避できるような情報を届けたい。
そこでマクニカのエンジニアが数か月かけて開発したのが、忘れ物検知システムです。具体的には物体・人を検知できるYOLOv4と距離計算ができるOpenCVを組み合わせ、MQTTで情報を転送し、Node-LED上で忘れ物の検知結果を表示させる、というアプリケーションです。この開発は入社3年目のエンジニアが社内の知見を借りながら実践し、初めてのことで非常に苦労をしていました。そこで得た知見を元に、皆さんがつまづくであろうポイントや本人が苦労したポイントをセミナー内容に盛り込みました。

AI 画像解析の開発フローを習得できる3日間集中講義
アルゴリズム選定編、Jetson実装編、デプロイメント編の構成にし、開発フロー全体を習得していただける構成にしました。その背景には、前回2020年12月開催したセミナーでいただいたお客様からの声を参考にしました。
「白紙の状態のNVIDIA Jetsonに画像解析アプリケーションを作っていく一連の開発フローが知りたい」
「システム開発の全体像が知りたい」
確かにこれまで開発の一部分を深く解説する記事やセミナーを実施してきましたが、全体像を把握できるものが無かったことを皆さまからの貴重な声で気づかせていただきました。そこでエンジニアチームが結集しエッジコンピューティング開発における導入から実装、デプロイメントまで全体を習得していただける構成を実現しました。
Agenda
時間 |
内容 |
4/26 13:00-14:00 |
Day1:アルゴリズム選定編 ・IVAに向けたNVIDIA最新プラットフォーム ・論文から学ぶ 物体検出を応用した忘れ物検知 忘れ物検知の仕組みとは? 忘れ物検知でAIが重要な理由とは? 論文から紐解く3つの事例 ・NVIDIA JetsonがAI開発に必要とされる理由 |
4/27 13:00-14:00 |
Day2:Jetson実装編 ・Day1のおさらい ・OSS開発におけるシステム、アーキテクト紹介 ・Jetson Xavier NXへの実装 選定したアルゴリズムの動作確認 エッジコンピューティングJetson Xavier NXへのポーティング作業 実装の際に苦労した点やコーディングの勘所など ・動作結果の表示 |
4/28 13:00-14:00 |
Day3:デプロイメント編 ・Day2のおさらい・アプリケーション・デプロイメントの課題 ・Dockerでコンテナ化 ・アプリケーション ・イメージの作成 ・複数のサービスから構成されるアプリケーションのデプロイメント |
Agenda
Day1:アルゴリズム選定編

物体検知YOLOに関する情報はインターネット上でも溢れていますが、論文からどう学びどう選定するのか。詳しく解説するのはマクニカ AI Research & Innovation HubのAldrinです。これまで監視カメラで手動管理していた忘れ物検知を完全自動化するには、誤検知を減らすことがカギとなる。背景引き算法などのこれまでのアプローチにAIを導入しその他コンピュータビジョン技術(YOLO+OpenCV)を活用する例をご紹介しました。
Day2:Jetson 実装編

本セミナーシリーズの核とも言える、システム開発からJetson Xavier NXでの動作確認までを解説するのは、実際にシステム開発にチャレンジしたエンジニアです。冒頭に完成形の忘れ物検知システムのデモンストレーションをして、鞄と携帯電話を忘れたときのシチュエーションで検知できている様子をご覧いただきました。「Day2で習得できることは、
・忘れ物検知システムの Jetson 実装方法
・OSS (忘れ物検知)開発に必要な環境情報
・MQTT と Node RED を用いたデータ処理方法
です!」と熱いプレゼンテーションが始まり、277名もの参加者が最後まで聴講してくださいました。
Day3:デプロイメント編

開発したアプリケーションをインストールする大変さを冒頭に語るのは、ベテランエンジニアの古瀬です。オープンソース・ライブラリを利用するアプリケーションの場合、非常に多くのライブラリとの依存関係を考慮する必要があり、手作業で行うとミスが発生しやすいという課題があります。そこでDockerでコンテナ化をして、複雑なインストール作業やモデル変換なども自動化できるように、とても詳細な手順に落とし込み順に説明をしました。
GitHubへサンプルコードを掲載中です
GitHubリポジトリにて、本セミナーでご紹介したアプリケーションの詳細を掲載しております。
https://github.com/MACNICA-CLAVIS-NV/abandoned_object_detection
リンク先からサンプルコードをダウンロード可能となっており、これから開発を始められる方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
盛況だった質疑応答タイム、厳選したQ&Aを公開中です
Day2、Day3で20-30分設けていた質疑応答タイムでは、参加者の皆さまから計71件ものご質問をいただきました。実際に開発に着手されているからこそ出てくる技術的に深いご質問が多く、Jetson開発者キットの活用が浸透していることを実感するとともに、つまづいた時に振り返っていただけるQ&Aページを共有したく、別記事にて公開しております。ぜひ参考にご覧ください。
簡単なご登録でオンデマンド動画をご覧いただけます
大盛況に終わった3日間のオンラインセミナーは下記フォームよりご登録いただくとオンデマンド動画をご覧いただけるURLを送付いたします。見逃してしまった方や参加者の方で復習したい方はこの機会にぜひ、ご覧ください!