経年優化に向けた不動産業界の新たな挑戦にマクニカが強力支援

本事例のポイント

NVIDIA GPUをプラットフォームにAI活用を実践

・カメラを用いた画像解析を相談から設置まで2か月で整備

・利用者数や混雑状況の可視化を実現

・マクニカの支援で不動産全体へのAI活用にも

今回取材させていただいたお客様

三井不動産株式会社 様

オフィスビルや商業施設、ホテル・リゾート、マンション、注文住宅など、さまざまな施設や建物の設計から運営管理までをグループにて展開、不動産業界屈指の売り上げを誇っている。グループ全体の長期経営方針「VISION 2025」を念頭に、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」を全社の重要施策として位置付け、不動産業そのもののイノベーションとさらなるグローバリゼーションに取り組んでいくための活動を推進している。

 

企業HP:https://www.mitsuifudosan.co.jp/

導入に至った背景と効果

最新テクノロジーを用いたイノベーションを不動産業界に展開すべく、さまざまな試みを実践しているのが三井不動産だ。オフィスビルをはじめ、商業施設、ホテル・リゾート、マンション、注文住宅など、さまざまな施設や建物の設計から運営管理までをグループにて手掛けており、不動産業界屈指の売り上げを誇っている。

 

なかでも、オフィスビルを手掛けるビルディング事業では、「その先の、オフィスへ」をスローガンに掲げ、既成のオフィスビルの概念を超えた新たな付加価値を生み出すことを目指した施策に取り組んでいる。

 

その活動の1つが、2019年9月にリニューアルした大阪・中之島三井ビルディング(以下、中之島三井ビル)において行われている、AIによる画像認識技術を活用した取り組みだ。ここで利用されているネットワークカメラやGPUを搭載したNVIDIAのプラットフォーム、そして画像解析のためのアルゴリズムなどを組み合わせることで、新たな価値向上に向けた取り組みに尽力しているのが、マクニカ クラビス カンパニーだ。

背景:経年優化に資する新たな挑戦に不可欠だった

中之島三井ビルの運営を手掛けている関西支社事業二部 事業グループ 主事の佐々木彬氏がプロジェクトをスタートさせたのは、時間の経過とともに価値を高めていく「経年優化」するビルづくりへの挑戦がきっかけだった。

 

「中之島三井ビルは竣工してから17年が経過し、その間に何度かテコ入れを図ってきましたが、物件価値の維持だけでなく向上させる仕組みづくりを目指して取り組むことになったのです」(佐々木氏)

 

そのアイデアの1つとして挙がったのが、AIをはじめとした最先端のテクノロジー活用だが、当初からAI活用を前提にしていたわけではないと語るのは同グループの吉岡良氏だ。

 

「短い期間で2度のリニューアルを行ったものの十分な学びが得られず、現状が可視化できる何らかの環境が必要でした。また、空間をよくするためには、人が運用するソフトウェア面の改善はもちろん、ハードウェアも環境に応じて柔軟に改修できるようなプロセスを整備したかったのです」(吉岡氏)

 

そうしたなか、社内でテクノロジー活用を推進しているベンチャー共創事業部に相談したところ、画像解析やAIといった新たなテクノロジーへの視点についてアドバイスを受け、その一環としてIVA(Intelligent Video Analytics)のための基盤づくりに適した強力なGPUを持つNVIDIAを紹介してもらったという。そのNVIDIAが同社に引き合わせたのが、マクニカだった。

 

マクニカに相談するなかで、短期間のうちに環境整備ができ、施設の利用状況など空間分析にも使える仕組みとして紹介を受けたのが、ネットワークカメラとAIによるリアルタイム画像解析を組み合わせたソリューションだった。

 

「実際には多くの取引先からセンサーを利用した仕組みなど、さまざまなソリューションを提案いただいていましたが、一番やりたかったのは、“空間”そのものをよくしていくための活動です。その施策に役立つと考えたのが、カメラを使ったソリューションでした。AIによる分析も含め、未来予測などにも活用できるのではと考えたのです」(吉岡氏)

導入:相談から設置まで2か月、カメラによる可視化と 画像解析のための環境を整備

マクニカの提案は衝撃的だったと吉岡氏は次のように振り返る。

 

「やりたいことを具現化するためのパートナーを数多く知っており、これまでの狭い視野から一気に世界を広げていただくことができました。技術商社とはこういうものなのかと、衝撃を受けたのです」

 

結果として、マクニカが提案したNVIDIA GPUディープラーニングプラットフォームと画像解析のアルゴリズムで豊富な実績を持つオプティムを使ったソリューションが採用されることになるが、その大きなポイントの1つが、短期間で実装できることだった。

 

「もともと中之島三井ビルの食堂についてはリニューアルが決まっていましたが、カメラを使ったソリューションの検討を始めたのは開業の3か月ほど前です。そのため、すぐに実装できる環境が必要でした」(佐々木)

 

実質的には2か月ほどの短い期間で、カメラの設置から画像解析に向けた基盤整備、調整を経て試験運用にまで至っており、最適な画像解析アルゴリズムと画像解析に適した基盤を組み合わせることで、短期間で実証実験が開始できた点を、佐々木氏は高く評価した。

 

3層のフロア全体に42台のカメラを設置し、NVIDIA GPUディープラーニングプラットフォーム上でオプティムが提供する「OPTiM AI Camera for Office Building」を活用し、利用者の数や混雑状況の可視化などを行っている。

効果:具体的な成果につなげる活動と不動産全体へのAI活用に期待

現状は、本格導入に向けたPoC段階(※2019年10月から2020年3月末までの半年間)ではあるものの、高い精度で人数カウントが可能になったことで、利用促進の施策分析などに有効な環境が整備できたという。また、当初一人用で設置した席の利用状況を分析してみると、二人での利用例が多く、その結果から席の配置換えが検討できるなど、テナントの利便性向上にも役立っている。さらに、混雑状況の可視化についても、テナント向けホームページにリアルタイムで提示することで、混雑具合が把握できるようになった。

 

「ビルの運営以外は素人の我々に対して、それぞれの技術や言葉を分かりやすくつないでくれたのがマクニカでした。我々の要望を正しく理解し、それを仕組みに落としてくれたことで、短期間のプロジェクトが実現でき、経年優化への一歩が踏み出せたと考えています」(吉岡氏)

 

なお、2019年よりプロジェクトに参加した同グループの鱸大地氏は「吉岡がプロジェクトを進めていくうえで、マクニカの担当者と密にコミュニケーションをとっている姿をよく見かけいました」と補足する。

 

今後は、カメラから得られた情報を分析し、具体的な成果に繋げていくことが求められてくるという。

 

「事業を推進する立場でいうと、その成果を具体的に示していきながら、その次の姿を描いていくことが必要です。現状はカメラからの情報を収集している段階で、AIによる本格的な分析はこれからです」(佐々木氏)

 

また、「現在では、中之島三井ビルの一部フロアのみに展開していますが、今回の取り組みを社内的に広めていくことで、不特定多数が集まる商業移設などの知見も活かし、10年以内にはカメラを用いた画像解析が当たり前の仕組みにしたいと思っています。そのためにも、マクニカの幅広い知見やテクノロジーを、施設の利便性・快適性向上に活かしていきたいです」と吉岡氏は語る。

写真は4 階ダイニング

さらに同社では、商業施設に訪れる動機付けとしての魅力ある体験づくりに貢献する仕組みなど、オフィスビル以外にもマクニカの技術商社としての提案に期待しているという。

 

今後も、NVIDIA GPUをベースにAI技術を活用するなど、新たなテクノロジーをビジネスに生かす挑戦を続ける三井不動産。マクニカとともに、新たなテクノロジーを活用して不動産業界の変革に向けた活動を続けていくことだろう。

 

 

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