3分で読める! MIPIインターフェースの市場ニーズと課題~実現できるチップ・ICは?~

みなさんこんにちは、この記事と残り2つの記事で、 MIPI インターフェースについて、設計するうえで知っておいていただきたい、市場や課題、事例、仕様検討の際のポイントを解説していく記事となっています。

以下3回に分けて説明していきますので、よろしくお願いします。

 

・第1回:MIPI インターフェースの市場と課題、IC種類 ←本記事!

・第2回:FPGA を用いた MIPI インターフェース事例まとめ

・第3回:FPGA で MIPI インターフェースの仕様検討する際のポイント・よくある質問まとめ

  

 

 MIPI とは Mobile Industry Processor Interface の略で、標準化団体 MIPI Allianceが2005年に策定した標準規格です。(MIPI 新人ブログ 第1回

MIPI は差動の高速通信で、LVDSのように低電圧/低消費電力な通信を行い、また、伝送距離が30cm程度と短い分ノイズ耐性があるのが特徴です。

主にカメラ周りの製品で使われていて、スマートフォンなどの民生機器や産業機器、最近では車載などにも需要があるインターフェースです。

本記事では、MIPI インターフェースの市場と課題、IC種類を解説していきます。

  

【この記事でわかること】

 ・どのような市場で、どのような課題があるのか

 ・MIPI インターフェースを実現できる IC の種類

 

【こんな人におすすめ】

 ・MIPI インターフェースを検討している方

 ・MIPI 規格を勉強しており、どんな IC で実現できるか知りたい方

 

【目次】

 ・MIPI インターフェース はどういった市場で使われているの?課題は? 

 ・MIPI インターフェース変換を実現する Bridge IC の種類は?

 

MIPI インターフェース はどういった市場で使われているの?課題は?

さっそく、 MIPI インターフェースはどういった市場で使われているか、そして現状の課題やニーズについて説明していきます。

MIPI インターフェースは、民生機器向けに画像/映像 を伝送するために用いられたのが始まりです。次第に産業機器へ普及し、現在は車載機器へも普及しています。

  

市場

製品

用途

民生機器1

スマートフォンデジタルカメラ

インターフェース変換MIPI to LVDS

民生機器2

ヘッドマウントディスプレイ

映像分割HDMI to MIPI 2ch

産業機器

マシンビジョン

高速な通信へ乗せ換えMIPI to CoaXpress

車載機器

車載カメラサラウンドビューシステム

信号多重化/取りまとめMIPI Aggregation

 

ここで 物理層とプロトコル層のおさらいです。MIPI 規格には、PHY と呼ばれる物理層がいくつか種類があります。

本記事では、民生機器/産業機器/車載機器で最も多く使われている、D-PHY に絞って以降の説明を行います。

MIPI D-PHY  のプロトコル層には、DSI/CSI-2 というプロトコルが存在します。

ごく一例ではありますが、DSI は、ディスプレイ周辺で使用されており、画像や映像をメイン IC から出力し、
ディスプレイに表示させる用途で用いられることが多く、CSI-2 は、カメラ周辺で使用されており、
CMOSセンサーからのMIPI 出力をCPU/MCU/SoC などのメイン IC で受ける用途で多く用いられる例が多いです。

 

ここまでは、MIPI インターフェースがどんな市場で使われているのか?MIPIインターフェースを理解するうえで
必要な物理層/プロトコル層の簡単な概要でした。
では、MIPIインターフェースを扱う際にどのような課題があるのでしょうか?
今回は、MIPI インターフェースを扱う際の “よくある課題”を4つ ご紹介します。 

 ・CPU等のメインICがMIPI非対応のため、CMOSセンサーと接続できない
 ・MIPIで出力される映像信号をディスプレイI/Fに変換する必要がある
 ・CMOSセンサーからのMIPI出力をより高速なインターフェースへ変換したい
 ・ディスプレイやCOMSセンサーのMIPI信号を用途に応じて分割/統合したい

 

 

上記のような、よくある課題/ニーズは一例として挙げています。そのほかの事例は、次回事例集として記事化する予定ですので、
公開までお待ちください。

いずれにせよ、これらの共通点は、インターフェース変換が必要となっていて、Bridge IC を必要とする点です。

では、Bridge IC にはどのような種類があるのでしょうか?どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

 

MIPI インターフェース変換を実現する Bridge IC の種類は?

MIPI インターフェース変換を実現する方法は、大きく2種類あります。ASSP と FPGA です

それぞれの長所・短所を表にまとめたので、それをもとに説明していきます。

 

ASSP

FPGA

   実装回路・機能

特定機能のみ

プログラマブルに変更可

パッケージ選択肢

少ない

多い

MOQ

多い

少ない

設計・検証工数

不要

必要

 

実装回路・機能について、ASSPを用いる場合、集積されている機能のみ実現できますが、

FPGAを用いる場合は、MIPI 以外の機能も容量に応じて実装可能です。(データの前段処理、FIFOなど)

 

パッケージについて、ASSPを用いる場合、ベンダーが標準的なものを提供するため選択肢は少ないです。

一方、FPGAを用いる場合、パッケージサイズ、ピンピッチを豊富なラインナップから選択することができます。

 

MOQについては、FPGAは比較的少量から提供することが可能です。

 

ただし、設計・検証工数について、ASSPを用いる場合は不要ですが、 

FPGAを使用する際は、Verilog/VHDL のハードウェア言語で設計をする必要があり、工数がかかります。

 

ASSPとFPGAは一長一短ありますので、状況に応じて使い分けが必要になります。

 

次回の記事では、ASSPとFPGA の実際の事例に沿って、どのように使われているか?を説明していきます。

たくさんの事例をもとに、どういう場合に FPGA が適しているのかを皆さんに共有していきたいと思います。

 

では、また次回。

著者:石垣

新人エンジニアの奮闘記〜MIPI規格編〜

MIPI規格は、近年ディスプレイのインターフェースやイメージセンサーの出力インターフェースなどに多く用いられる通信規格です。

規格の名前は知っているけど、通信帯域は?どんなプロトコルで伝送するの?など

MIPIの中でも、DSI/CSI に焦点を当てて、新人がゼロから勉強していく記事です。



他の記事よりも、わかりやすく、楽しくをモットーにMIPI規格について記事を作成しています。

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