MIPI CSI-2/DSIの採用が拡大する車載ECU向けFPGAの活用方法3選

【目次】

1. はじめに

2. 統合化ECUでのMIPI アグリゲーション

3. E-Cockpit化に伴う複数ディスプレイへのスプリッター

4. 機能安全を考慮した映像伝送

5. FPGAの活用事例や実現可能デバイス

6. 日本語資料付き!MIPI リファレンスデザイン

 

【この記事で分かること】

・自動車の電子制御化における MIPI 規格 の需要

・実例に基づいた、FPGA 活用事例

 

実例をもとにした各車載製品におけるFPGAの活用事例や実現可能デバイスを以下資料にて公開中!ぜひご活用ください。

 

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はじめに

近年、車載製品で扱われる映像信号の高精細化により、扱う映像データ量が向上するとともに映像信号のインターフェースも変化してきています。

また、映像信号を扱う車載製品も増えてきており、車載製品における映像信号のインターフェースの種類も豊富になっており、Display Audio, HUD, E-mirror, Cluster, 車載カメラ、Lidar, Rader, ドライブレコーダーなど、高精細な映像信号を必要とするアプリケーションが多く搭載されるようになってからは、様々な映像信号の中でもMIPI I/Fがスタンダードになりつつあります。

こういったアプリケーションのECU内部に搭載されているSoCでは、MIPI I/Fを接続できなかったり、MIPI I/Fのポート数が不足することによって、各デバイス間でのインターフェースの互換性が無いために、直接接続することができません。

こういった理由から上記アプリケーションにおいては、車載製品の中でもインターフェース変換の必要性が増加してきています。

こういったインターフェース変換が必要な場合に便利なのが、FPGAを使用したインターフェース変換です。
特に、Lattice semiconductor社のFPGAでは、MIPI I/Fを中心に車室内・車室外の車載カメラをはじめ、様々なディスプレイとの相互インターフェース変換を可能とするAEC-Q100取得済のデバイスを豊富に取り揃えています。

ASSPでは実現が難しい、周辺ロジックICの取り込み、画像処理機能、機能安全回路の追加など、FPGAならではの柔軟性を生かしたソリューションを多数持っています。本ページでは、インターフェース変換を主としたLattice semicondutor社のFPGA活用例を紹介していきます。


統合化ECUでのMIPI アグリゲーション

ECU統合化の流れに伴うMIPI I/F数の増大と発生する問題点

自動車の電気制御化に伴い、自動車1台に搭載されるECUの数は膨大に膨れ上がっており、映像信号を扱うECUの数もそれに伴って増大しています。そのため、軽量化、コスト削減といった観点で、ECUを統合化していこうという流れが進んでいます。

車載向けECUでは、SERDES IC(デシリアライザー、シリアライザー)を経由してECU内部のSoCに映像信号を伝送します。SERDES ICとSoC間のI/FはMIPI I/Fを採用するベンダーが増えています。例えば、FPD-LINKⅢ, GMSL, GVIF, APIXといった車載業界で代表されるようなI/Fをサポートするシリアライザーも、入力側、又は出力側のどちらか一方のI/Fに、MIPI I/Fをサポートしているものが増えてきています。

しかし、ECU統合化により1つのECU内部で扱うMIPI I/Fの数が増大すると、これまでのSoCではMIPI I/Fのポートが不足して接続することができないといったケースが増えます。

Lattice FPGAによるMIPI I/Fアグリゲーションの構成例

MIPI I/Fポート不足の解決法

ECU統合化によるMIPI I/Fポート不足は、FPGAにより解消することが可能です。

左図のように、Serdes ICのデシリアライザー側から入力されるMIPI I/F 3chをMIPI I/F 1chで出力するMIPI アグリゲーションによって、SoCのMIPI I/Fポート不足を解消します。速度に関しても、業界最速の4Kクラスの帯域を確保することが可能です。

Lattice社のCrossLink-NXというFPGAでは、MIPI Hard D-PHYの搭載により、MIPI I/F Max Rateが2.5Gbps/laneになっています。そのため、3ch分のMIPI I/Fを3倍速のMIPI I/F 1chで出力する下図のケースであっても、入力側の3ch MIPI I/Fは1chあたりFull-HDクラスまで対応させることが可能となります。

また、右図のように、単純なMIPI I/F 3:1 アグリゲーションをさせるだけではなく、FPGA内部でデータフォーマットを変換したり、スケーリングをおこなうなどの画像処理を加えたりすることも可能です。CrossLink-NXは内部DSPブロック、DDRメモリ-I/Fを内蔵していることから、こうした機能の追加が検討できます。こういった、MIPI I/F 3:1 アグリゲーション + αの機能はFPGAならではのアドバンテージといえます。

E-Cockpit化に伴う複数ディスプレイへのスプリッター

SoCのMIPI I/Fポートの不足は、下図のようにSERDES ICのシリアライザー側でも同様のことが言えます。SoCのMIPI I/F 1chから複数chのMIPI I/F でシリアライザーに接続する必要がある場合は、CrossLink-NXを使用することでMIPI I/Fを複数chに拡張するスプリッター機能を実現させることが可能です。

CrossLink-NXでは、Splitter機能に加え、後段のディスプレイ、TFT液晶に合わせたスケーリング処理や、クリッピング、ひずみ補正といった表示系ならではの画像処理、MIPI I/Fのデータフォーマット変換などを並列におこなうことが可能です。また、MIPI スプリッター機能だけではなく後段のディスプレイに対するローカルディミング制御もワンチップで実現することが可能です。

近年、ローカルディミング制御は車載業界でも要求が高まってきており、ローカルディミング専用ICなどもリリースされていますが、FPGAであればI/F変換と共に膨大なLEDを制御することが可能で、制御すべきセグメント領域の変更もプログラマブルに変更可能です。

こういったFPGAならではのフレキシビリティー性と+αの機能拡充は、OEMからの突然の仕様変更や、モデル毎への基板設計変更やカスタマイズといった、車載市場特有の環境において絶対的なアドバンテージとなります。 

機能安全を考慮した映像伝送

下図は、MIPI I/FをOpen-LDIに変換するI/F変換の機能と併せて、機能安全回路を実装したケースです。

このケースでは、SoCから伝送される映像信号が固着せずに正しく伝送されているかを認識するための、Freeze detection機能と、SoCを経由せずにディスプレイに映像を表示差させるためのBypassの伝送ラインを設けています。Bypassの伝送ラインは、SoCの起動時間がボトルネックとなり、KT法により定められている映像表示開始時間規定を守れない場合を考慮して、FPGAにBypassする伝送ラインを設けることにより、必要なタイミングで即時表示させることを実現する機能になります。

Lattice semicondutor社のFPGAは他社FPGAとは異なり、コンフィグレーション時間も数ms~数十msのデバイスがほとんどですので、こういった即時起動が必要なアプリケーションにも強みを発揮します。

FPGAの活用事例や実現可能デバイス

本ページで紹介したFPGAの使用例は必要最低限の機能に絞った内容となりますが、実際にはFPGA内部にここでは紹介できなかった追加機能入れたり、周辺部品との接続も実例では異なります。下記からダウンロード可能な資料には、実例をもとにした各車載製品におけるFPGAの活用事例や実現可能デバイスの紹介、併せてMIPI I/F関連の内容も多数紹介していますので、ぜひとも今後のご開発にお役立てください。

カメラ製品向けLattice FPGAを用いたインターフェース変換事例

日本語資料付き!マクニカオリジナルリファレンスデザイン集

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