Odyssey MAX 10 FPGA Eval Kitティアダウン 1(MAX 10ボード編)
Odyssey MAX 10 FPGA Eval Kitの成り立ちを簡単に理解して頂くために、搭載されているキー部品を詳細にティアダウン風に紹介してみることにしました。まずは第1弾として、キットの1階にあたるMAX 10ボードを詳細に見てみましょう。(第2弾はこちら)この記事と合わせて回路図もみていただくと、より詳しく詳細をご理解いただけます。
メイン処理部品

アルテラMAX 10 FPGA - 10M08
アルテラMAX® 10 - 10M08 FPGAはMAX10ボードのメインデバイスです。このボードでは11x11mm UBGAの小型パッケージに収められ、1つの供給電源電圧で動作するバージョンを採用しています。このデバイスにはアルテラのFPGAで初めてADコンバータが内蔵され、他にユーザのコンフィギュレーションデータを格納するFlash領域が2バンク搭載され、シングルチップ内でダイナミックにデザインを切り替えることができます。CPLDシリーズであるMAXシリーズの後継でありながら、CPLDとは違いDSPブロック、PLL、ブロックメモリ、ソフトDDR3メモリコントローラなど多彩な新機能を搭載しています。MAX 10 FPGAではアルテラのソフトプロセッサコア「Nios II」も搭載可能です。
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スイッチング&入出力素子

アナログデバイセズ ADG788 ICスイッチ
アナログデバイセズのADG788クアッドSPDTアナログICスイッチはJTAGヘッダ(ウルト製2x5ピンヘッダ)とBLE&Sensorボードとのコネクタに配線されたJTAGラインの切り替えを担当しています。アルテラのダウンロードケーブル「USB Blaster」がMAX 10ボードのJTAGヘッダに接続されている時に、自動的にJTAGラインをヘッダに変更し、BLE&Sensorボード上のEFM32マイコンからくるJTAGラインではなくUSB BlasterからMAX 10 FPGAのコンフィギュレーションを実行できるようにします。

ウルトWE-SMCW LED
Odyssey MAX 10 FPGAボードにはウルトエレクトニクの単色緑色の高輝度上面発光タイプLEDが搭載されています。
ウルトでは白色を含む全ての色、多数の発光方向タイプ、パッケージ(標準・セラミック)の幅広いファミリーのLEDを提供しています。高信頼性で低消費電流、高速スイッチング、UV/IR放射無し、広い発光角度、超高輝度、小型パッケージなど多数の特長を備えています。
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オムロン プッシュボタン
DIPスイッチ、プッシュボタン、DIPヘッダピン
その他のユーザI/Oとして、DIPスイッチ(ウルト)、プッシュボタン(オムロン)、15ピン金メッキヘッダ(ウルト)を1対搭載しています。この15ピンヘッダ1対によりMAX 10キットが1980年代から90年代には一般的だったDIP(Dual In-line Package)のようなフォルムを与えています。このDIPタイプの形状により、ブレッドボードなどを使ったプロトタイピングに非常に有効です。ピン配列をよく見てみると、Arduino Nanoと同じ配列になっていることが分かります。J4コネクタの1番ピンのシルクはArduinoとMAX 10ボードではピッタリ同じ位置に印刷されていないので注意してください。


オーディオ入力回路
Odysseyの入力でもなかなか面白いのがInvensense社のMEMSマイクでしょう。Invensenseは極小のデジタル出力マイクを多く作っていますが、このマイクデバイスはアナログ信号をドライブして非反転入力ゲインステージ(ゲイン72)として使われているリニアテクノロジーのLT6220CS5オペアンプを通してMAX 10 FPGAのADコンバータに入力されています。
電源ツリー


リニアテクノロジーLTC4413デュアル2.6A理想ダイオード / 電源経路コントローラ
リニアテクノロジーのLTC4413デュアル理想ダイオードは3.3Vのボード電源を、MAX 10ボードのDIPヘッダの3.3V_inピンとBLE & Sensorボードから供給されるもののうち、どちらから引くか選択します。デュアル理想ダイオードはダイオードがORを取るときに起きる電圧低下なしにシームレスに経路選択ができます。これによりプロトタイピング中にもMAX 10ボードがBLE & SensorボードのUSBポートからでもブレッドボード上に繋いだ安定化電源などからでも自由に電源を取れるようになっています。

アルテラEnpirion EP5358スイッチング電源
アルテラEP5358LUI PowerSoCはインダクタ内蔵の小型スイッチングレギュレータで、作られた安定的な2.5VはMAX 10 FPGAのI/Oバンク2つのオプション電源として供給されます。2.5VはLVDSやLVCMOSなどの2.5V標準の規格を使いたいときに非常に便利です。最大600mA、93%の効率を達成しています。EP5358LUIは入力段と出力段のキャパシタのみ必要で、14mm2という極小なフットプリントで容易に電源設計ができます。
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リニアテクノロジーLTC4415デュアル4A理想ダイオード / 電源経路コントローラ
リニアテクノロジーのLTC4415デュアル理想ダイオードは可変のI/O電圧のレールに対するI/O電圧をダイオードがORを取るときに起こる電源低下無しに選択できます。これによりI/OのパワーはMAX 10ボードのDIPヘッダの電源ピンかEnpirionスイッチング電源で作られた2.5Vのどちらかから供給できます。

リニアテクノロジーLTC6700デュアルコンパレータ―
リニアテクノロジーのLTC6700-1コンパレータはLTC4415デュアル理想ダイオードとあわせてMAX 10 FPGAのI/Oにどのレールを使用するか決定します。DIPヘッダの電源ピンからの電圧が1.7-3.4Vの範囲にあるときはDIPヘッダからの電源を可変I/Oバンクの電源として選択します。DIPヘッダからの電圧が上記範囲から外れると、ボード上のEnpirionで作られた2.5Vレールが選択されます。リニアテクノロジーはIoT市場向けに環境発電などを他にも多くのソリューションを用意しています。
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ウルト WE-CBF フェライトビーズ
ノイズに敏感な電源周りをフィルタするためにOdysseyのデザインではウルトエレクトロニクのWE-CBFフェライトビーズを使用しています。この表面実装タイプのチップフェライトビーズは基板上に直接実装され、最小限の消費電力で低いDC抵抗を維持しながら非常に優れた高周波フィルタ特性を発揮します。ウルトは高速、広帯域、高電流タイプのWE-CBFフェライトビーズも提供します。Odyssey MAX 10 FPGAボードのデザインでは、500MHzの時に260Ωの最大アテネーションの広帯域タイプのWE-CBFビーズを使用しています。
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Odysseyティアダウン2
Odyssey MAX 10 KitのBLE&Sensorボードのティアダウンもぜひご覧ください。
Odyseey MAX 10 Eval Kitティアダウン2(BLE&Sensorボード編)