Odyseey MAX 10 Eval Kitティアダウン2(BLE&Sensorボード編)

Odyssey MAX 10 FPGA Eval Kitの成り立ちを簡単に理解して頂くために、搭載されているキー部品を詳細にティアダウン風に紹介する試み。第1弾に続き、第2弾として、キットの2階にあたるBLE&Sensorボードを詳細に見てみましょう。この記事と合わせて回路図もみていただくと、より詳しく詳細をご理解いただけます。

メイン処理部品

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サイプレスBCM20737S
Bluetooth SMART (BLE)モジュール

サイプレスBCM20737S Bluetooth SMART (BLE)モジュール
サイプレスのBCM20737SはOdysseyの無線通信をつかさどっています。システム上ではOdysseyキット上の各コンポーネントをつなぐI2Cバス/SPIバスのホストという位置づけになっています。
このチップ状のものは実はBluetooth Low Energy (BLE/Bluetooth SMART)対応のシステムインチップ(SiP)モジュールで、BLEの無線制御部分、ARM Cortex-M3マイコン、メモリ、ペリフェラル、アンテナが小さなパッケージ内に集積され、これひとつでウェアラブル機器を作れるぐらいの機能集積です。この小さな6.5 x 6.5mmのパッケージにはBLEのトランシーバー、水晶、EEPROM、アンテナ、受動部品も搭載され、モジュールとしての認証のサポートも提供されます。非常に使いやすいホストとコントローラの組込みスタックをサポートし、搭載されているスタックやプロファイルだけでなく、新しいプロファイルやアプリケーションを開発し実装するための環境を無償で提供しています。WICED Smart SDKはブロードコムのコミュニティポータルよりダウンロードしていただけます。
なお、Odysseyをお使いのお客様がコミュニティおよびこちらのSDKのユーザ登録をする際は、Distributorの欄でAmericasもしくはMacnica TecStarを選択頂けると嬉しいです。
Bluetooth SMARTに関するコミュニティはこちら

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シリコンラボラトリEFM32GG395F512
Giant Gecko 32-bitマイコン

シリコンラボラトリEFM32GG395F512 Giant Gecko 32-bitマイコン
OdysseyではEFM32低消費電力GeckoマイコンはUSBインターフェイスとして、またブロードコムBluetooth SMARTモジュールのプログラマー/デバッグポートとして機能します。さらにMAX 10ボード上のアルテラMAX 10 FPGAのコンフィギュレーションデータをFPGAにロードする制御も行います。独自の"Personality"を作った時には、このポートからFlashメモリにそのデータを書き込むことで、スマートフォンと本キットのハードウェアが連携することができます。BLE&Sensorボード上のセンサーもこのEFM32マイコン上で動くファームウェアで制御します。
EFM32 Giant Geckoマイコン 詳細はこちら

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サイプレスCY62148 4MB SRAM

サイプレスCY62148 4MB SRAM
CY62148EV30は4MbitのMoBL® SRAMでOdysseyではEFM32の拡張メモリとしてFPGAへのJTAG書き込みに使用されています。EFM32上にはアルテラが開発したJAM Playerという外部コントローラ(マイコン、PC等)からJTAG経由でFPGAにコンフィギュレーションデータをロードするためのソフトウェアが実装されていて、これがかなりメモリを使用するソフトウェアであるために今回使用しています。
CY62148EV30はポータブル機器の電池寿命を延ばす設計になっており、アクティブ電流が極小、スタンバイ電流が約1uAしか消費しない自動パワーダウン機能などが特徴です。
CY62148EV30 詳細はこちら

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Micron M25PX16 Flash

Micron M25PX16 Flash
M25PX16はMicron社の16MbitのNOR SPI Flashメモリで、Odysseyでは"Personality"のデータを格納するのに使用されています。EFM32マイコンから制御されていて、動作電圧を2.3Vに下げたり最大でも10uAという超低消費電流に下げられるディープパワーダウン機能が特徴です。
M25PX16 詳細はこちら

電源ツリー

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アルテラEnpirion EP5358スイッチング電源

アルテラEnpirion EP5358スイッチング電源
アルテラEP5358LUI PowerSoCはインダクタ内蔵の小型スイッチングレギュレータで、作られた安定的な2.5VはMAX 10 FPGAのI/Oバンク2つのオプション電源として供給されます。2.5VはLVDSやLVCMOSなどの2.5V標準の規格を使いたいときに非常に便利です。最大600mA、93%の効率を達成しています。EP5358LUIは入力段と出力段のキャパシタのみ必要で、14mm2という極小なフットプリントで容易に電源設計ができます。
Enpirion PowerSoC 詳細はこちら

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リニアテクノロジーLTC4415デュアル4A理想ダイオード

リニアテクノロジーLTC4415デュアル4A理想ダイオード / 電源経路コントローラ
リニアテクノロジーのLTC4415デュアル理想ダイオードは可変のI/O電圧のレールに対するI/O電圧をダイオードがORを取るときに起こる電源低下無しに選択できます。これによりI/OのパワーはMAX 10ボードのDIPヘッダの電源ピンかEnpirionスイッチング電源で作られた2.5Vのどちらかから供給できます。

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ウルトWE-TVS ダイオード

ウルトWE-TVS ダイオード
USB2.0のような高速データラインは常に静電放電(ESD)、電気的高速トランジェント(EFT)、落雷(サージ)などで引きおこされる過電圧から保護することが重要です。厳密には電源部品ではないですが、OdysseyボードではウルトエレクトロニクのWE-TVSダイオードアレイを活用し2pf以下という超低容量でUSBポートラインを保護しています。
ウルトはUSBの保護に関して非常によくまとまったアプリケーションノートを用意しています。

センサー

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シリコンラボラトリSi1147 近接/UV/照度/心拍センサー

アナログデバイセズ ADXL362 加速度センサー
ADXL362加速度センサーによりOdysseyのユーザーが設定した閾値に基いて動きを検出しスマートフォンアプリにレポートする機能を実現できます。ADXL362は100Hzのサンプリング時に2µAという業界で最も低消費電力で動く3軸加速度センサーで、270 nAという超低消費電流で動きをトリガーにして起動するモードをもっています。これにより動きを検出するまで完全にパワーダウンモードにしておき、電池を節約するという設計が可能になります。
ADXL362 詳細はこちら

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シリコンラボラトリSi7020 温湿度センサー

シリコンラボラトリSi7020 温湿度センサー
Si7020は温度および湿度を検出し、I2Cバスを経由して計測値をレポートします。工場でキャリブレーションはされており、出荷時に装着される保護カバーもついています。Odysseyの他の色々と同様、本当に小さい。出荷時に書き込まれているPersonalityのうち、以下のもので使われています。

  • Temperature/Humidity

Si7020 詳細はこちら

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シリコンラボラトリSi1147 近接/UV/照度/心拍センサー

シリコンラボラトリSi1147 近接/UV/照度/心拍センサー
Si1147はUV(紫外線)のレベルを計測したり、環境照度、近接度、ジェスチャー、心拍、血中酸素濃度など多様なセンサー機能を提供します。計測したデータはI2Cバスを通じて通信します。以下の出荷時に書かれているPersonalityで使われています:

  • Heart Rate Monitor

Si1147 詳細はこちら

その他部品

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SiTime SiT1532オシレータ

SiTime SiT1532オシレータ
SiT1532はシリコンラボラトリEFM32マイコンに対し32KHzのクロックを入力しています。このデバイスはSiTimeのシリコンMEMS技術を応用し水晶の振動子を置き換えます。SiT1532オシレータは部品配置の制約から解放され、さらに外付けの負荷容量がいらなくなるため、部品点数の削減やボードスペースの低減にも効果的です。NanoDrive™という工場出荷時に出力周波数を書き込むサービスにより、電圧のスイング幅を低減し、消費電力の削減に寄与しています。SiT1532オシレータはOdysseyのようなバッテリでも動作するアプリケーションで理想的です。
SiT1532 詳細はこちら

Odysseyティアダウンはこれでおしまい

ぜひOdysseyをご購入いただいて、早速BLEやマイコン、そしてFPGAをハックしてみてはいかがですか?


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