光トランシーバーモジュール 高速化の仕組み
光トランシーバーモジュールはこれまでに、1G → 10G → 40G → 100G → 400G → 800Gと、時代の要請に対応して高速化してきました。
本記事では、初心者にとっても分かりやすい言葉で高速化を実現する仕組みについて解説します。
光トランシーバーモジュール 高速化の仕組み
①データレートを上げる
②1度にたくさんのデータを送る
③レーン数を増やす
データレートを上げる
まずは、単純に信号のデータレートを上げる方法です。デジタル信号の0をローレベル、1をハイレベルで表すNRZ信号であれば、その繰り返し周期を速くする、ということです。
例えば1Gbpsの信号は1秒間に0と1を1,000,000,000個送りますが、このスピードを10倍速くすれば、つまり1秒間に10,000,000,000個を送れば10Gbpsとなります。
なお、信号の処理を行う集積回路や増幅を行うアナログ回路、電気と光の変換部分、光学系も含めて、そのデータレートに対応する必要があります。
また、これは少し専門的になりますが、信号の速さに応じて信号の占有する帯域幅が広くなってしまいます。
単純にどこまでも高速化できるわけではないのが難しいところです。
一度にたくさんの情報を送る
NRZ信号は、デジタル信号の0をローレベル、1をハイレベルで表しますが、この信号レベルの分け方をより細かくして高速化を実現する方法があります。
例えばデジタル信号をローレベル、少し弱いレベル、少し強いレベル、ハイレベルの4つに分割します。そしてそれぞれの4つのレベルに2ビット(00、01、10、11)を割り当てることで、1度に2ビット分の0, 1情報を送ることができます。
これは一般的にPAM4と呼ばれる方法で、実際に光トランシーバーモジュールの高速化手法で使われています。
PAM4を使うことにより、NRZと同じ信号の繰り返し周期で、データレートを2倍にすることができます。
また少し専門的になりますが、この場合の信号の占有帯域幅はPAM4とNRZで同じです。(データレートが2倍になるけど占有帯域幅は変わらない。)
なお、信号のレベルとレベルの間が狭くなるので、雑音に弱くなったり判別が難しくなったりするなどの欠点があります。
レーン数を増やす
信号を伝送する線路の数を増やすことによって、高速化を実現する方法があります。道路の車線を増やすイメージです。
高速信号を送る伝送路は、プラス信号とマイナス信号の2本を1ペアとする差動信号線路で構成されており、この2本(1ペア)を1レーンと言います。
例えば10Gbpsの信号を1ペアの差動信号線路で送る場合は、10Gbpsを1レーンで伝送すると言うことができます。
これを4レーン使えば、伝送スピードは4倍の40Gbpsとなります。
高速化の具体例
SFP、SFP+、QSFP+を例として、どのように高速化を実現しているかの例を、2つほど見てみましょう。
例1:1G SFP → 10G SFP+
・1G SFPは1GbpsのNRZ信号を1レーンで伝送しています。
・10G SFP+は10GbpsのNRZ信号を1レーンで伝送しています。
(レートの小数点以下についてはここでは省略します。)
データレートを単純に10倍にすることで高速化を図っています。
例2:10G SFP+ → 40G QSFP+
・10G SFP+は10GbpsのNRZ信号を1レーンで伝送しています。
・40G SFP+は10GbpsのNRZ信号を4レーンで伝送しています。
(レートの小数点以下についてはここでは省略します。)
1レーンあたりのデータレートは変わりませんが、レーン数を4倍にすることで高速化を図っています。
光トランシーバーモジュール 高速化の仕組み
光トランシーバーモジュールを高速化する手法としてデータレートやレーン数の拡大など、例を用いて紹介しました。
詳細情報として、光トランシーバーモジュールの光伝送規格を解説する記事もご用意しています。
100G編:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/coherent/144352/
400G編:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/coherent/144904/
800G編:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/coherent/145049/
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