宇宙用部品について知ろう!「セラミックパッケージ品」編

これまで、宇宙環境の過酷さや、部品レベルでの宇宙環境特有の事象(TID/SEE)についてご紹介しました。

そして前回、宇宙で使われるデバイスには、セラミックパッケージ品とプラスチックパッケージ品があることをご紹介しましたが、
なぜ宇宙用部品としてのデバイスには、セラミックが使われてきたのでしょうか。


今回は、そのセラミックパッケージ品に焦点を当てて、深堀りしていきます!

宇宙環境とセラミックパッケージ品の関係性とは?

まずは、これまでにご紹介した“宇宙環境”についておさらいをしましょう。


宇宙環境は、我々の生活する地上と比べて主に以下の点が異なります。

  • 発射などの振動や衝撃
  • 超高真空
  • 温度サイクル(太陽の直射面は100-150℃、陰は-100℃程度)
  • 無重力(部品のキャビティ内に異物があった場合に浮遊)
  • 熱(空気での冷却が期待できない)
  • 原子状酸素(非常に酸化力が強い)
  • 放射線(意図しない電流が発生し部品を破壊)


▶宇宙環境の詳細はこちら

上記のうち、特に超高真空の対策として有効とされているのがセラミックです。

超高真空の環境下では、プラスチックなどの有機系物質クラック等を生じることがあり、
また、蒸発して発生したガスが周囲の部品に付着して、不具合を引き起こすこともあります。

これらの問題を回避するために、真空に強い無機系物質であるセラミックが従来から選ばれています。

セラミックは高価!なのに使われるのはなぜ?

宇宙用セラミックパッケージ品は、民生品と比較してとても高額です。およそ数十~数百倍の価格差があります。

この価格差の要因は複数ありますが、宇宙用部品で特徴的なのはスクリーニングとQCI(Quality Conformance Inspection)です。

  • スクリーニング:パッケージ封止後に製造部門で実施される全数検査のことで、米国政府のMILスタンダードなどの規格に則って実施されます。
  • QCI:スクリーニング完了後にサンプルを抜き取ってロット保証のために実施する検査のことを指し、これもMILスタンダードなどに則って実施されます。


ここでの検査費用および歩留まり(取れ数減少)が、宇宙用セラミックパッケージ品が高額になっている要因1つです。
 

それでも長らくセラミックパッケージ品が宇宙用部品のスタンダードになっているのは、

過酷な宇宙環境下で、特に超高真空への対策として優れた効果を発揮することが認められているから、とも言えます。

セラミックパッケージ品を検討・選定するならマクニカ!

予算、要求仕様、要求品質、運用期間、アプリケーションの特性などはもとより、一度打ち上げてしまったら交換や修理が極めて困難なため、

宇宙業界では、半導体デバイスのFlight Heritage(宇宙に打ちあがった実績)が非常に重要視されています。

我々マクニカは、多くのFlight Heritageを持つメジャーなサプライヤーの一次代理店として、

宇宙専門の QE/FAE と共に日本のお客様へサポート提供をしています。

▶マクニカのサポートを知る