サイト内検索

μModule、Silent Switcher、EMIシールドが1つに ― LTM8060F

電源設計において、小型化とノイズ対策は重要な課題です。小型化に貢献するアナログ・デバイセズ社の「μModule」シリーズや、低EMIを実現した「Silent Switcher」シリーズは、多くの技術者に活用されています。しかし、「μModuleは便利で使いやすいけれど、ノイズ性能がもう少し改良されたラインナップがあれば良いのに」と感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。

実は、μModuleSilent Switcherの特長を兼ね備えた電源モジュールが、すでに登場しています。ここでは、その電源モジュール「LTM8060」と、さらにEMIシールドも付いた「LTM8060F」を紹介します。

Silent Switcher搭載の人気μModule製品「LTM8060」

「μModule」は、高精度アナログICと周辺回路を1つのパッケージに集約した、アナログ・デバイセズの独自ソリューションです。小型・高効率・高精度で、部品点数の削減や設計効率化に寄与します。
詳しくはこちら⇒FPGA用電源といえば「μModule®レギュレーター」

 

Silent Switcher」は、アナログ・デバイセズ独自の超低ノイズDCDCコンバーターのアーキテクチャーです。低EMI、高効率、高いスイッチング周波数を、トレードオフなしで実現します。
詳しくはこちら⇒ここまで来たか 低ノイズスイッチングレギュレーター「Silent Switcher 3」

 

 

この2つの技術を採用しているのが、アナログ・デバイセズの人気電源モジュール「LTM8060」です。

LTM8060

特徴

メリット

任意に振り分け可能な12A、4チャンネル

さまざまな電流要求に対応できる

例:3A×4ch、6A×2ch、12A×1ch

入力電圧:40V

12V系統や24系統に使える

パッケージ内部にSilent Switcher技術を採用

CISPR22 Class B

CISPR25 Class 5 Low EMI に準拠

医療画像や無線の信号処理のようなノイズに敏感な製品に

電波干渉のリスクを最小限化

広い周波数レンジ (300kHz to 3MHz)

ユーザーが使う周波数帯を狙って/避けて動作できる

選べる4つの動作モード

-Burst Mode®

-パルススキップモード

-スプレッドスペクトラム付きパルススキップモード

-外部同期モード

選択可能な動作モードにより、周波数干渉のリスクを最小限に抑え

軽負荷時の効率を向上できる

最大24Aの並列運転

LTM8060を2個並べて電流シェアが可能

LTM8060は、さまざまな電源要求に対応可能で、μModuleならではの扱いやすさを備え、省スペース化や設計の簡素化に貢献します。

 

パッケージ内部でSilent Switcher技術を採用しており、CISPR22クラスBCISPR25クラス5に準拠。ノイズ干渉のリスクを抑えたい機器にも安心して利用できます。

アプリケーション例

前述の特徴から、以下のような、ノイズに敏感なアプリケーションに多く採用されています。

  • 無線システム
  • 信号処理系アプリケーション
  • 各種測定/テスト機器
  • 医療用画像機器
  • 産業用アプリケーション

EMIシールド付きの「LTM8060F」が登場

無線システムや医療用画像機器など、微細な信号を扱うアプリケーションでは、電源ICからのノイズが精度に影響を与えます。そうしたアプリケーションの開発者からは、さらなるノイズ抑制を求める声があります。

 

こうした市場のリクエストに応えて、EMIシールド付きの「LTM8060F」が登場しました。LTM8060の高い基本性能をそのままに、パッケージレベルでEMIシールドを追加。これにより、電界ノイズおよび磁界ノイズのさらなる低減に成功しています。

特徴

メリット

パッケージレベルでのEMIシールド 電界、磁界 両方のノイズ性能の改良

任意に振り分け可能な12A、4チャンネル

さまざまな電流要求に対応できる

例:3A×4ch、6A×2ch、12A×1ch

入力電圧:40V

12V系統や24系統に使える

パッケージ内部にSilent Switcher技術を採用

CISPR22 Class B

CISPR25 Class 5 Low EMI に準拠

医療画像や無線の信号処理のようなノイズに敏感な製品に

電波干渉のリスクを最小限化

広い周波数レンジ (300kHz to 3MHz)

ユーザーが使う周波数帯を狙って/避けて動作できる

選べる4つの動作モード

-Burst Mode®

-パルススキップモード

-スプレッドスペクトラム付きパルススキップモード

-外部同期モード

選択可能な動作モードにより、周波数干渉のリスクを最小限に抑え

軽負荷時の効率を向上できる

最大24Aの並列運転

LTM8060Fを2個並べて電流シェアが可能

LTM8060F ― LTM8060にEMIシールドを追加し、さらに低ノイズに

LTM8060Fは、LTM8060にコンフォーマルシールドを追加しています。パッケージの上部と側面を導電性素材で覆うことで、ICから放射される電界・磁界ノイズを効果的に封じ込めることが可能です。

 

電源ICから周辺回路へのノイズ干渉を抑えることができるため、ノイズの影響を受けやすいアプリケーションにも最適です。

EMIシールドの断面イメージ
EMIシールドの断面イメージ
LTM8060とシールド付きLTM8060Fのパッケージを比較
注意! LTM8060とLTM8060Fはフットプリントが異なるため、単純な置き換えはできません。LTM8060はBGA、LTM8060FはLGAです。

パッケージレベルのEMIシールドの利点とは

従来、電源ICが放つノイズの影響を抑えるためには、チップが載っている基板全体を金属でシールドする方法が一般的でした。しかし、基板全体をシールドすると、そのための基板スペースが追加で必要となり、重量やコストも増加するデメリットがあります。

 

一方、パッケージレベルでのシールドは、最小限のスペースで収まり、重量やコストも抑えることができます。ノイズの主な発生源であるスイッチングレギュレーターだけをシールドすることによって、効率的にノイズを低減できます。

IC単位でのシールディングによる利点
シールド代の節約、製造工程(マウント、クリップ)の短縮にも効果が期待できる。

磁界・電界ノイズを大幅に低減

次に示す図は、LTM8060LTM8060Fを対象に、近接場における磁界ノイズ・電界ノイズを測定した結果です。近接場におけるノイズ測定は、開発段階でノイズの発生源を特定するために有用です。製品出荷前の検査でおこなわれる測定は、遠距離場から基板全体の放射ノイズを測るものであり、発生源を詳しく特定することはできません。

LTM8060Fの磁界ノイズ測定結果
磁界ノイズ
LTM8060Fの電界ノイズ測定結果
電界ノイズ

近接場測定のグラフから、以下のことが読み取れます。

  • LTM8060F は、LTM8060よりも、磁界ノイズ(1MHz-1GHz間)を約10db抑制
  • LTM8060F は、電界ノイズ(1MHz-1GHz間)をほぼ100%カット


LTM8060もSilent Switcher技術を採用した低ノイズの電源モジュールですが、パッケージレベルでEMIシールドを追加したLTM8060Fでは、さらにノイズが抑制されています。周辺回路へのノイズ影響を大幅に低減できるため、EMI要件の厳しいアプリケーションにも安心して活用できます。

スイッチングノイズの放射を抑制

以下のグラフは、LTM8060LTM8060Fのスイッチングノイズを、オシロスコープを用いて測定した結果です。

LTM8060のスイッチングノイズをオシロスコープで測定した結果
シールドなし(LTM8060)
LTM8060Fのスイッチングノイズをオシロスコープで測定した結果
シールドあり(LTM8060F)

LTM8060では、一定周期で放射されるスイッチングノイズが波形として表れています。一方、LTM8060Fでは、スイッチングノイズの波形が見られません。これは、LTM8060Fに追加されたEMIシールドが、スイッチングノイズを封じ込めていることを意味します。この測定結果からも、LTM8060Fの優れたEMI特性を確認できました。

今回は、アナログ・デバイセズのμModule製品から、Silent Switcherを採用しているLTM8060と、EMIシールド付きの派生モデルLTM8060Fを紹介しました。いずれも、小型で便利なμModuleと、低ノイズのSilent Switcherの特長を兼ね備えており、ノイズに敏感なアプリケーションに最適です。パッケージレベルでEMIシールドを追加した「LTM8060F」は、さらにノイズ低減を実現しています。厳しいEMI要件を満たす必要がある場合や、基板スペースの制約がある場合には、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

いずれも評価ボードをご用意しています。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

LTM8060、LTM8060Fの評価ボード
左:DC2820A(LTM8060評価ボード) 右:DC2820A-B(LTM8060F評価ボード)

商品の購入はこちら

メーカーサイト/その他関連リンクはこちら

お問い合わせ

本記事に関してご質問がありましたら、以下よりお問い合わせください。

アナログ・デバイセズ メーカー情報Topへ

アナログ・デバイセズ メーカー情報Topページへ戻りたい方は、以下をクリックください。