新人エンジニアの赤面ブログ

こんにちは。新人FAEのトンパです。

私は新卒でマクニカに入社し、製作実習でモノづくりを体験しながら回路設計や実装について学んできました。学生時代は有機化学を専攻しており、電気電子の知識が全くない状態からのスタートだったので、度々苦労しました。

そこで本記事では、私が製作実習でモノづくりを体験しながら回路設計や実装について学んだことを紹介しています。前回は、DC/DCコンバーターの基板設計について紹介しましたが、今回は、基板の実装について紹介します。

実装基板

図1:実装基板 表
図1:実装基板 表
図1:実装基板 表
図1:実装基板 裏

こちらが実際に実装した基板になります。

設計編で紹介したように、DC/DCコンバーターはホットループの配線を短くすることが重要であり、この点を意識することで周辺部品をIC付近に集約することができました。また、基板の基準電圧となるGNDに関しては、安定したGNDになる様に基板裏面に広くとることを意識しました(銅箔部分)。これらのように各部品やGNDへの繋がりを考えて実装することにはとても苦労しました。

ここからは、実装する際に苦労したこと、注意したことを紹介します。

ありがとうフラックス

ユニバ―サル基板への実装ということで、実装は全て手はんだでした。

中学生の頃に授業で少し習った程度でしたので不安な状態で始めたのですが、そんな中、最初におこなったはんだ付けが一番の難関でした。

そうです。ICのDip変換基板への実装です。

図2:Dip変換基板への実装(実装途中)
図2:Dip変換基板への実装(実装途中)
図2:Dip変換基板への実装(実装後)
図2:Dip変換基板への実装(実装後)

左の写真が実装途中の様子、右は実装後の写真です。

「え、めっちゃ汚い。この状態からどうやって実装後のきれいな状態になったの?」
そう思われる方が多いと思います。

しかし、この汚い状態はなんの問題もありません!
これは先輩社員から伝授して頂いた裏技を使用した際の状態なのです。

こんなにも細かなはんだ付けはできないと思い先輩に相談したところ、フラックスを使うと良いよと教えて頂きました。フラックスとは、はんだ付け促進剤であり、塗ることでランド上にはんだがのりやすくなります。実際に使用してみると、きれいにランド上にのみはんだがのり、横のピンと繋がってしまう様なことはほとんどありませんでした。

また、フラックスの良いところは、アルコールで簡単に洗いとることができる点です。実装後、イソプロパノールを染み込ませたキムワイプを用いて簡単にとることができました。そのため、図2の様に汚い状態からきれいな状態に生まれ変わることができました。この方法がなければ私はずっと実装できていなかったと思います(笑)。

知らなかった方は、ぜひ使用してください。

導通チェック

続いては、実装を進めていく際に最も注意しておこなった導通チェックについてです。

当然かもしれませんが、実装する際には導通チェックは必須です。確認方法は簡単であり、図3のように導通チェッカーの両端子を測定箇所にあてるのみです。

導通している場合は音が鳴り、導通していない場合は音が鳴らない仕様になっています。
この「ピーッ」という音は嫌という程聞きました(笑)。

図3:導通チェックの様子

図3:導通チェックの様子

実装が進み実際に導通チェックをおこなっていると、電源の入力部とGNDが導通しており、ショートしていることが確認されました。確認して良かったと思っていたのですが、ここで一つ後悔することがありました。多くの配線がすでにある状態でショートに気づいたため、原因の箇所を特定するのに時間がかかってしまいました。

このことから、少し面倒ではありますが細かく導通チェックをおこなう大切さを学びました。

その後からは、各はんだ付けごとに導通チェックをするようにすることでミスを未然に防ぐことができました。

また、先ほど紹介したICのDip変換基板への実装の際にも導通チェックをおこなう必要があります。ICのような細かなはんだ付けの際には隣のピンと導通してしまっていること、はんだの量が少なく導通できていないこともあるので、より注意深く導通チェックをする必要があります。

まとめ

今回は、DC/DCコンバーターの基板実装について紹介しました。慣れないはんだ付けには苦労しましたが、フラックスを使用することで細かなはんだ付けもおこなうことができました。フラックスのことを知らなかった方には、ぜひ使用して頂きたいと思います。また、IC破損などの失敗を未然に防ぐためにも導通チェックが大切であるということを学べました。

次回は、実装した基板の評価編になります。お楽しみに。

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