抜群の汎用性!万能オペアンプ「ADA4510-2」で部品共通化を実現

電子回路の至るところで使用されるオペアンプ。用途によって必要なスペックが異なることから、使い回しが難しいのが現実です。一方、近年はコスト削減、在庫最適化、調達リスク低減などに向けて、部品共通化に取り組む企業が多くなっています。「いろいろな目的で使える、万能なオペアンプを見つけたい」とお探しの方も増えているのではないでしょうか。

オペアンプの回路

今回は、抜群の汎用性を誇り、さまざまな回路に使えるオペアンプ「ADA4510-2」を紹介します。高精度・低価格の万能オペアンプに興味のある方は、ぜひお読みください。

あらゆるケースで活躍するオールマイティーなオペアンプ「ADA4510-2」

オペアンプは、回路のさまざまな場所で使われる、重要な電子部品です。用途によって、必要なスペックが異なります。例えば、高度な計測器アプリケーションで微少なセンサー信号を増幅する場合には、精度が重要です。あるいは、高速信号のA/D変換前後のバッファーとして使用する場合は、低ノイズかつ高速信号への対応が要求されます。

 

一般的に、オペアンプの性能にはトレードオフが生じます。特定の項目の性能を向上させると、他の項目が犠牲になるのです。もし、あらゆる要求を同時に満たす理想的なオペアンプがあれば、さまざまな回路で同じオペアンプを利用できますが、実際にはそうした完璧なオペアンプは存在しません。

オペアンプの理想と現実

理想

現実

入力インピーダンス

∞=入力電流がゼロ

非常に高いが、有限

出力インピーダンス

ゼロ

数十Ω

入力ダイナミックレンジ

電源やGNDによって制約を受ける

オープンループ電圧利得

104~105

周波数帯域

数100kHz~数10MHz

入力オフセット電圧

ゼロ

数mV

同相入力電圧除去比

高いが、有限

内部雑音

ゼロ

数nV/√Hz~数10nV/√Hz(熱雑音領域)

 

そのため、異なる回路には異なる種類のオペアンプを選定する必要があります。これにより部品点数が増加し、「管理コストが増大する」「少量・多品種になり、ボリュームコストが出ない」「調達先の分散により、調達リスクが増大する」などが課題になっていました。

アナログ・デバイセズの高精度汎用オペアンプ「ADA4510-2」

こうした課題にお困りの方におすすめなのが、アナログ・デバイセズ社の高精度汎用オペアンプ「ADA4510-2」です。アナログ・デバイセズ独自の「DigiTrim®技術」により、非常に低いオフセット電圧 (±20μV max.) を実現。その他のスペックも全般的に高水準で、これまでにない、万能なオペアンプとなっています。幅広い用途に利用できるため、オペアンプの共通化に最適です。

全体的に高いスペックで 様々な用途に使用可能なADA4510-2
全体的に高いスペックで、様々な用途に使用可能。
部品共通化で数量をまとめ、ボリュームコストダウンも期待できる。

主なスペック

-オフセット電圧 : ±20μV max (@25℃)

-オフセット電圧ドリフト : 70nV/℃ typ

-入力電流バイアス : 10pA max (@25℃)

-1/fノイズ : 1μVp-p typ (0.1 to 10Hz)

-ノイズ密度 : 5nV/√Hz typ (@1kHz)

-ゲイン帯域幅 : 10.4MHz typ

-スルーレート : 19V/μs typ

-レール to レール : 入出力共にYes

-電源電圧範囲 : 6V to 40V

 
具体的に、どのような回路で活用できるのでしょうか。下記は、その一例です。
 
ADA4510-2の活用例

  • センサー入力段
  • マルチプレクサー出力段
  • データ取得
  • アクティブフィルター
  • 高精度リファレンスバッファー
  • D/Aコンバーターバッファー

 

それぞれの用途における、ADA4510-2のメリットを紹介します。

センサー入力段

まずは、センサー入力段での利用です。この用途でのオペアンプには、センサーからの微少なアナログ信号を受け取り、正確に増幅する役割が求められます。そのため、誤差成分が少ないことが重要です。

 

ADA4510-2は、低オフセット電圧 (±20μV max.)、低オフセット電圧ドリフト (70nV/typ.)、低入力バイアス電流 (10pA max.@25℃)) を兼ね備えています。センサーの信号を高精度に増幅することが可能です。

センサー入力段

 

・オフセット電圧 : ±20μV max

・オフセットドリフト : 70nV/℃ typ

・入力バイアス電流 : 10pA max (@25℃)

 

センサーの信号を高精度に増幅

マルチプレクサー出力段

次に、マルチプレクサー出力段での利用です。ここでは、センサーからの信号をマルチプレクサーで切り替えたときに、素早く追従することが求められます。そのため、高いスルーレートが要求されます。

 

ADA4510-2は、高スルーレート (19V/μs typ.)、低オフセット電圧ドリフト(70nV/℃ typ.)、入出力レール to レールの特性を併せ持っています。高速のスイッチングにも対応し、正確な信号増幅を実現できます。

マルチプレクサー出力段

  

・スルーレート : 19V/μsec typ

・オフセットドリフト : 70nV/℃ typ

・入出力レール to レール

  
高速のスイッチングに対応できる

データ取得

続いて、データ取得での利用です。ここでは、データ精度を阻害しないノイズ性能と、高速の信号周波数に対応できる利得帯域幅が求められます。

 

ADA4510-2は、低ノイズであり (1/f noise = 1μV p-p typ.(0.1 to 10Hz)Noise Density = 5nV/Hz typ.(@1kHz))、広い利得帯域幅 (10.4 MHz typ.) を持っています。高精度かつ高サンプリングスピードのデータ取得を実現できます。

データ取得

 

・1/fノイズ : 1μVp-p typ (0.1 to 10Hz) 

・ノイズ密度 : 5nV/√Hz typ (@1kHz)

・バンド帯域幅 : 10.4MHz

 

高精度高速サンプリングスピードでのデータ取得が可能

アクティブフィルター

次は、アクティブフィルターとしての利用です。この用途では、信号精度を維持するために、入力バイアス電流の低さが求められます。また、さまざまな周波数に対応するためには利得帯域幅も重要です。

 

ADA4510-2は、低入力バイアス電流 (10pA max.(@25))で、広い利得帯域幅 (10.4 MHz typ.) を持っています。広範囲の周波数に対応できるため、アクティブフィルターとしても使いやすいオペアンプです。

アクティブフィルター

 

・バイアス電流 : 10pA max (@25℃)

・バンド帯域幅 : 10.4MHz typ

広範囲の周波数に対するフィルター設計が可能

 

高精度リファレンスバッファー

続いては、高精度リファレンスバッファーとしての利用です。正確なリファレンス電圧を維持するためには、オフセット電圧やオフセット電圧ドリフトの性能が求められます。

 

ADA4510-2は、低オフセット電圧 (±20μV max.)、低オフセット電圧ドリフト (70nV/℃ typ.) の特長を持ち、リファレンス電圧の安定動作を実現できます。

高精度リファレンスバッファー

 

・オフセット電圧 : ±20μV max

・オフセットドリフト : 70nV/℃ typ

 

リファレンス電圧の安定動作

D/Aコンバーターバッファー

最後に、D/Aコンバーターバッファーとして利用する場合です。ここでは、D/Aコンバーターからの出力信号を正しく増幅するために、単調増加性が高いこと、誤差が少ないことが求められます。

 

ADA4510-2は、高い単調増加性を確保しており、低オフセット電圧 (±20μV max.)、低オフセット電圧ドリフト (70nV/℃ typ.) の特性にも優れています。信号情報を失うことなく、高精度の信号出力を実現できます。

D/Aコンバーターバッファー

 

・単調増加性

・オフセット電圧 : ±20μV max

・オフセットドリフト : 70nV/℃ typ

 

高精度の信号出力

部品共通化でコスト削減に貢献

ここまで、ADA4510-2が活躍する回路例を紹介しました。オールマイティーに使えるADA4510-2の魅力が伝わったのではないでしょうか。

 

下の図は、センサー入力段、マルチプレクサー出力段、リファレンスバッファーにADA4510-2を利用した回路図です。

ユーティリティー・オペアンプ「ADA4510-2」
1種類のオペアンプで、1回路でこんなにも活躍できる

このように、さまざまな用途のオペアンプをADA4510-2に共通化できます。上の例は回路のごく一部ですが、実際のアプリケーションではADA4510-2を使ってさらに多くの回路を構成できます。もちろん、アプリケーションをまたいで共通化することも可能です。

 

これまで個別に選定していたオペアンプを、できるだけADA4510-2に集約することで、部品点数を削減し、コスト削減、調達リスク低減を無理なく実現できます。

【解説】DigiTrim®技術とは?

最後に、ADA4510-2にも使われている、アナログ・デバイセズ独自のトリミング技術「DigiTrim®技術」について紹介しましょう。

 

近年、電子機器全般の低電圧化が進み、電圧の許容範囲が狭くなるにつれて、オペアンプにも高い精度が要求されるようになっています。

 

オペアンプの精度を評価するために重要な指標は「入力オフセット電圧」です。その性能を高めるために、さまざまなトリミング技術が導入されています。特に、出荷前にICの精度を個別調整する「オフセットトリミング」は、多くのオペアンプメーカーが導入しています。しかし、オフセットトリミングのコストはICの価格に上乗せされます。価格の制約がある汎用オペアンプでは、オフセットトリミングは一般的ではありませんでした。

 

アナログ・デバイセズの特許技術であるDigiTrim®技術は、従来に比べて約30%も低いコストでトリミングが可能です。この技術により、汎用オペアンプの価格を維持しながら、オフセットトリミングによる性能向上が可能となりました。

 

DigiTrim®技術とは、回路をパッケージ化した後にオフセット電圧をトリミングする技術で、アナログ・デバイセズの多くのアンプで使用されています。パッケージ封止後にトリミングをおこなうことで、組立時のメカニカル・ストレスによって個体差として生じるオフセット電圧を修正できるメリットがあります。

DigiTrim®では、デバイスのパッケージング後に、電流源となるデジタルコードをプログラムすることで、回路性能を調整します。このトリミング情報は、既存のアナログピンを介して入力され、最適な精度になるまで再調整できます。トリミングが完了すると、回路がロックされて製品が出荷されるため、エンドユーザーによる事故的な再トリミングは防止されます。これにより、ウェハーレベルでのトリミングのためのテストは不要となり、コストが大幅に削減されるのです。


今回は、さまざまな回路でオールマイティーに活躍するアナログ・デバイセズの汎用オペアンプADA4510-2を紹介しました。高精度・低価格なADA4510-2の活用で、無理なく部品共通化を実現できます。

 

サンプルのご提供も可能です。ぜひ一度お試しください。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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