心拍や皮膚電気活動といったバイタルサインを、ウェアラブル機器で手軽に計測できるようになったことで、ヘルスケア、フィットネス分野などを中心に、バイタルサイン・モニタリング (VSM) を用いたサービスの開発や研究が活発化しています。
「センサーや電子回路の知識はないが、バイタルサインを測定するアプリケーションを開発したい」「生データをできるだけ簡単に取得して解析したい」「複数人のデータを一挙に集めて、研究や開発に利用したい」とお考えの方も増えているのではないでしょうか。
ここでは、こうした課題をお持ちの方におすすめのソリューションとして、アナログ・デバイセズ社のウェアラブルVSMセンサー評価キットを用いて、10人以上のバイタルサインを手軽に同時収集できる、マクニカ独自の評価プラットフォームを紹介します。
センサー端末10台以上を一括管理できる「VSM Evaluation Platform」
光学センサー、生体電位センサー、加速度センサーなどを使ったバイタルサイン測定アプリケーションの開発や研究には、次のような課題が存在しています。
<課題>
・生データからバイタルサインを算出するアルゴリズムの開発に手間がかかる
・一般的なセンサーの評価ボードは部品がむき出しのため、身に付けての評価には取回しがしにくい
・複数のウェアラブル端末から同時にバイタルサインを収集し、比較や評価をおこないたいが、環境構築に時間をかけたくない
こうした課題をお持ちの方に向けて、マクニカでは、アナログ・デバイセズのウェアラブルVSMセンサー評価キットを使って、10台以上の端末から、同時にバイタルサインの収集を可能にする「VSM Evaluation Platform」を提供しています。
主な特長は次のとおりです。
バイタルサインの算出アルゴリズムが用意されており、生データも取得可能
バイタルサインを算出するアルゴリズムが端末のファームウェアに用意されているため、自力でアルゴリズムを開発しなくても、すぐにバイタルサインの取得や評価に取りかかることができます。計算前の生データも取得可能で、さまざまな視点で解析をおこなえます。
Bluetoothルーターによるリアルタイム同時データ収集
Cassia Networks社のBluetoothルーターを経由させて、複数のセンサー端末から同時にリアルタイムでデータ収集することを可能にしています。端末1台ごとにBluetoothやUSB経由でデータを取り込む必要がなく、複数端末のデータを効率的に集約できます。
Webブラウザーによる端末管理と一括データ表示
マクニカがサードパーティーとして開発したアプリケーションで、サーバーに集約したデータを処理。Webブラウザーによる端末管理と一括データ表示を実現しています。1つの画面に全端末の情報が表示されるため、複数端末の結果を簡単に比較・評価できます。
VSM Evaluation Platform 特長まとめ
●センサー端末とBluetoothゲートウェイによる評価プラットフォーム
- 複数のセンサー端末をBluetoothで同時接続
- 開発したアプリケーションにて一元管理
●センサー端末
- ADI EVAL-HCRWATCH4Z
- ADI MAXREFDES103#、MAXREFDES105#
●Bluetoothゲートウェイ
- Cassia X2000 Enterprise Bluetooth Gateway
- 10台以上の接続
●アプリケーション・サーバー
- Microsoft Windows11 Pro/Home + Ubuntu2.2
(別途用意が必要)
●Webブラウザーによる端末管理とデータ表示
- 測定モードの設定
- MACアドレスによる端末名管理
- 生データとアルゴリズム・データの同時表示:
時間測定、波形拡大
- データの自動保存、csv形式でダウンロード可能
- 端末状態:RSSI、バッテリー残量、センサー接続状態
VSM Evaluation Platform のUIイメージ
端末接続・設定メニュー
データ表示メニュー
アナログ・デバイセズの2種類のVSMセンサー評価キットに対応
「VSM Evaluation Platform」は、アナログ・デバイセズの2種類のVSMセンサー評価キットに対応しています。それぞれの主な機能を紹介しましょう。
【ウォッチ型】バイタルサイン・モニタリング (VSM) 用ウォッチ「EVAL-HCRWATCH4Z」
光学式 (PPG)、生体電位(ECG)、生体インピーダンス (BioZ)、動き検出といったセンサーを備え、幅広いバイタルサインを計測できる、ウォッチ型の評価キットです。
バッテリーで駆動し、継続的なモニタリングと必要に応じたスポット計測が可能です。高性能VSMアプリケーション向けのモジュール開発、デモンストレーション、データ収集などに活用できます。Bluetoothを利用して無線によるリアルタイムのデータ取得のほか、内部のFlash ROMを利用してオフラインで取得したデータをあとで解析することが可能です。
ソフトウェア開発キット (SDK) には、Android、Python向けのサンプルコードが準備されており、端末からアプリケーションへのインターフェース開発が容易におこなえます。Windows PCでは「Application Wavetool」、Android/iOSデバイスでは「ADI Study Watch」を用いることで、端末1台ごとのデータをリアルタイム・モニタリングすることができます。
測定可能パラメーター
・Rawデータ
-光学センサー (PPG)
-生体電位 (ECG)
-生体インピーダンス (BioZ)
-動き検出 (Motion)
-表皮温度 (Skin Temperature)
・組み込みアルゴリズム
-体動補正 (Motion Compensation)
-心拍数 (Heart Rate)
-心拍変動 (HR Variability)
-接触状態検出 (Skin Contact)
-インピーダンス解析 (BIA)
-体組成 (EDA)
-歩数計 (Pedometer)
※リファレンスデザインは評価用であり、医療機器ではありません。
【リストバンド型】ヘルスセンサープラットフォーム「MAXREFDES103#」
光学式センサー (PPG)、動き検出センサーを備え、酸素飽和度 (SpO2)・心拍数 (HR)・心拍変動 (HRV) の算出アルゴリズムが組み込まれた、リストバンド型の評価キットです。
光学アナログフロントエンド (AFE) センサー「MAX86141」、PPG信号から心拍数とSpO2を計算するアルゴリズムが組み込まれた生体認証センサーハブ「MAX32664C」を搭載。生体センシングアプリケーション開発向けに、高感度な測定とアルゴリズム処理機能を提供します。Bluetoothを利用して無線によるリアルタイムのデータ取得のほか、FlashROMを利用してオフラインで取得したデータをあとで解析することが可能です。
ソフトウェア開発キット (SDK) にはAndroid向けのサンプルコードが準備されており、端末からアプリケーションへのインターフェース開発が容易におこなえます。標準評価ツール「Maxim Device Studio」では、端末1台ごとの計測結果を、Windows PC、Androidデバイスでリアルタイム・モニタリングできます。
測定可能パラメーター
・Rawデータ
-光学センサー (PPG)
-動き検出 (Motion)
・組み込みアルゴリズム
-体動補正 (Motion Compensation)
-心拍数 (Heart Rate)
-心拍変動 (HR Variability)
-酸素飽和度 (SpO2)
-接触状態検出 (Skin Contact)
・アプリケーションアルゴリズム
-アクティビティー (Activity)
※リファレンスデザインは評価用であり、医療機器ではありません。
なお、MAXREFDES103#と同じリストバンド型のセンサープラットフォーム「MAXREFDES105#」についても、対応を準備中です。
VSM Evaluation Platformの対応端末
これら2種類のVSMセンサー評価キットは、いずれもウェアラブルで取り回しやすいことが特長の1つです。
ご提案ーバイタルサイン測定の開発ステップ
例えば、研究・開発の初期段階は、端末1台で測定をスタートし、ある程度の知見が蓄積できてから、VSM Evaluation Platformによる複数端末の同時測定をおこなうといった活用も可能です。ご希望に合わせて、詳しい説明やお見積もりに対応しています。
ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
アプリケーション例
・病院、介護施設における生体情報モニタリング
・スポーツジムにおける活動量モニタリング
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