バイタルサインとは?
バイタルサインとは一般的に、生命徴候を数値化したものを指します。数値化、目に見える形に表示して、医師や看護師や救急救命士が生存のために対処をおこなう判断に用います。以下に記載したものがバイタルサインの数値の一般的項目です。
● 体温:低体温、高熱呼吸状態
● 血圧:収縮期・拡張期、脈圧
● 心拍:回数とリズム
● 呼吸:呼吸回数、呼吸パターン、SpO2
● 意識:興奮系、朦朧系もしくは昏睡
● 尿量:入院患者では必須
バイタルサインの測定方法
心臓の自律神経機能を評価するための代表的な測定方法として、心電図 (ECG) を用いて心拍変動 (HRV) を測定する方法と、光電式容積脈波記録法 (PPG) による脈拍数変動 (PRV) を測定する方法があります。
ECG
ECG(心電図法)は、心臓の電気的活動によって生じる電気パルスを生体電極を用いて測定する方法です。HRV(心拍変動)の測定では、身体に取り付けた電極から得られたECG波形から心拍間の時間間隔(心拍間隔)の変化を測定します。
PPG
PPG(光電式容積脈波記録法)は、心臓の伸縮により送り出された血液によって生じる末梢血管の容積変化を光を用いて測定する方法です。PRV(脈拍数変動)の測定では、LEDを使って人間の皮膚に光を当て、血流によって生じる光の強さの変化をフォトダイオードで測定して得られた脈波の時間間隔の変化を測定します。
アナログ・デバイセズのバイタルサイン計測ソリューションは、さまざまな内蔵および個別のセンサーとシグナル・コンディショニング技術ソリューションを採用しており、これにより携帯型、ウェアラブル、およびベッドサイドなどでのモニタリングシステムを実現することができます。
通常、AFEと上図のブロック内で表現されている箇所には、オペアンプやMUX(マルチプレクサー)、ADコンバーターなど、さまざまな部品が必要になります。
アナログ・デバイセズが提供する、必要な機能がワンチップになった小型ソリューションを使うことで、低ノイズ、高精度、マルチチャンネル機能の高集積化アナログ・フロント・エンドを備えながらウェアラブル機器に搭載できるレベルでの省パッケージ、バッテリー駆動を想定した低消費電力を実現することができます。
ADPD4100 マルチモード・センサー・フロント・エンド
製品概要
ADPD4100/ADPD4101は、最大8個の発光ダイオード (LED) を励起し、リターン信号を最大8つの個別の電流入力で測定する、フル機能のマルチモード・センサー・フロント・エンドです。フォト・プレチスモ・グラフィー (PPG)、心電図 (ECG)、皮膚電気活動 (EDA) など、さまざまな生態計測アプリケーションに使用できます。
特長
- マルチモード・アナログ・フロント・エンド
- さまざまなセンサー計測に対応した複数の動作モードを備える8つの入力チャンネル
- 同時サンプリングによるデュアルチャンネル処理
- 同期されたセンサー計測が可能な12のプログラマブル・タイム・スロット
- 差動およびシングルエンドのセンサー計測に対応する入力マルチプレクス
- 4個のLEDを同時に駆動できる8つのLEDドライバー
- 周辺光の除去:1kHzまで60dB
- システムの合計消費電力:30μW
ADPD4100/ADPD4101には、上記のような特長があります。ここからは、それぞれのブロックの役割、評価用ボードについて解説します。
LED駆動部
LED駆動部は、8個のLEDドライバーを備えており、同時に最大4個のLEDを駆動できます。測定部は、トランス・インピーダンス・アンプ (TIA)、バンドパス・フィルター (BPF)、積分器、A/Dコンバーターを、デジタル処理部は、12のタイム・スロットを制御するコントローラー、デシメーション、サブサンプリング、FIFOを備えています。
測定部
測定部は、トランス・インピーダンス・アンプ (TIA)、バンドパス・フィルター (BPF)、積分器、およびA/Dコンバーター (ADC) を備えています。アナログ信号は、8個の入力からマルチプレクサーでシングルエンドまたは差動ペアを選択し、14ビットA/Dコンバーターでサンプリングします。最小1μsのパルスとバンドパス・フィルターを組み合わせた同期変調方式によって60dBのAC周辺光除去を実現し、周辺光の除去は内部で自動的におこなわれます。
デジタル処理部
デジタル処理部は、12のタイム・スロットを制御するコントローラー、デシメーション、サブサンプリング、FIFOを備えています。
ADPD4100評価キット ~EVAL-ADPD4100Z-PPG~
EVAL-ADPD4100Z-PPG評価用ボードでは、バイタルサインの測定が可能です。センサーボードには、表面にはADPD4100、裏面には3個の緑と、1個の赤外、赤のLEDと、フォトダイオードが搭載されています。制御ボードには、ARMマイコン、Bluetoothモジュール、バッテリーを搭載し、無線でデータを取得します。
ADPD4100を使ったバイタルサイン計測のデモ動画
バイタルサイン計測用AFE「ADPD4100」の評価ボードを使ったデモ動画をご覧ください。製品の特長をご紹介後、電気信号 (ECG) による心拍測定と、光 (PPG) による脈波測定をおこなっていますので、バイタルサイン計測の実際の動作をご確認いただくことができます。
まとめ
● ADPD4100/4101は、最大8個の発光ダイオード (LED) を励起し、リターン信号を最大8つの個別の電流入力で測定する、
フル機能のマルチモード・センサー・フロント・エンドです。
● フォトダイオード、生体電位電極、抵抗、容量、温度センサーの同期測定でセンサー・ハブとして利用が可能です。
● 複数の動作モードにより、ヘルスケア、工業用の様々なアプリケーションにおいて、光電式容積脈波記録法 (PPG)、心電図 (ECG)、
皮膚電気活動 (EDA)、インピーダンス、容量、温度、ガス検出、煙検出、エアロゾル検出をはじめ、幅広いセンサー計測に対応可能です。
アプリケーション例
● ヘルスケア・フィットネス用のウェアラブルモニタリング機器
- 心拍数モニター、心拍数変化、ストレス、血圧推定、SpO2、体内水分量、身体組成
● CO、CO2、煙、およびエアロゾルの検出などの工業用モニタリング装置
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