ウェアラブル機器をもっと小型に、低消費電力にする電源ICとは?

IoTの普及でウェアラブル端末の市場が急拡大し、スマートウォッチや完全ワイヤレスイヤホンなど、さまざまな機器が製品化されています。

バッテリー駆動が前提で、小型化・軽量化が求められるため、電源回路を設計する技術者は「従来の機能を損なわずに回路を極限まで小さくしたい」「バッテリーの容量を増やさずに動作時間を延ばしたい」といった課題に直面しています。

そこで注目したいのが、「基板スペース半減」「部品点数の約40%削減」「バッテリー駆動時間の延長」を実現し、小型化・省電力化をかなえる電源ICの採用です。

ここでは、IoT/ウェアラブル機器に最適な電源ICを紹介します。

ウェアラブル機器の電源ICに求められる要件とは? (1)省スペース

ウェアラブル機器の電源ICに求められる主な要件は2つあります。
その1つが「省スペース」です。

長時間、身につけるウェアラブル端末は、小型化・軽量化が大きな差別化要素となります。そのため、新製品の企画段階で「サイズは何センチ以内でないと売れない」などのサイズ要件が規定され、開発部門に展開されることが多くなっています。

サイズ要件を満たすために、搭載機能それぞれの小型化が求められ、電源ICに割り当てられる基板スペースは非常に限られてしまいます。技術者からは「極めて小さな回路スペースに、必要な電源機能を詰込むのに苦労している」との声が聞かれます。

ウェアラブル機器の電源ICに求められる要件とは? (2)低消費電力

もう1つの要件は「低消費電力」です。

ウェアラブル機器はバッテリーが長寿命であることがユーザーに好まれます。一方、もともと筐体が小さく、軽量化・小型化が必須のため、搭載できるバッテリー容量には制約があるのが現実です。

バッテリー容量を増やさずに、駆動時間を延ばすことが課題となり、技術者からは「もっと消費電力を低減するために、効果的な技術を知りたい」との声が聞かれます。

SIMOアーキテクチャーの採用メリット(1) 基板スペース約50%削減

こうした中、注目したいのが、アナログ・デバイセズから提供されている「単一インダクターマルチ出力 (SIMO) アーキテクチャー」の電源ICです。

従来のDC/DCコンバーターは、1つの出力に対して1つのインダクターを必要とするため、出力系統が複数の場合、それぞれのインダクターを実装する必要があります。また、インダクターに付随するコンデンサーなどの受動部品も出力系統ごとに必要です。

SIMOアーキテクチャーでは、1つのインダクターで複数の出力が可能です。複数の出力系統がある場合にも、インダクターを1つに集約できます。従来インダクターごとに必要とされた受動部品も統一することが可能です。

そのため、従来のディスクリートによる電源回路構成と比較して、基板スペースを約50%も削減できます。部品点数は約40%の削減が可能です。SIMOアーキテクチャー製品の採用で、電源回路スペースを飛躍的に縮小できます。

SIMOアーキテクチャーの概要図
SIMOアーキテクチャーの概要図

SIMOアーキテクチャーの採用メリット(2) バッテリー駆動時間を最大2割延長

SIMOアーキテクチャーは、消費電力の低減にも貢献します。DC/DCコンバーターの消費電力には、電圧変換にともなうインダクタンス飽和電流が大きく影響します。使用されるインダクターの数が多いほど、インダクタンス飽和電流が増加し、電流の損失が大きくなります。

インダクターを集約できるSIMOアーキテクチャーによって、インダクタンス飽和電流を大幅に抑制し、消費電力を削減することが可能です。SIMOアーキテクチャー製品は、最大93%のピーク効率と、バッテリー駆動時間の最大20%延長を実現しています。

SIMOアーキテクチャー製品を採用することで、これまで難しかった消費電力の低減と、バッテリーの長寿命化を実現できます。

従来方式との電力消費量の比較
従来方式との電力消費量の比較

IoT/ウェアラブル機器の電源回路を省スペース化! SIMOアーキテクチャーの電源IC「MAX77654」

それでは、SIMOアーキテクチャーによる電源ICの中から、おすすめ製品の1つとして「MAX77654」を紹介します。

2.8×2.3×0.7ミリメートルという超小型パッケージに、3系統のバックブーストレギュレーターと2系統のLDO、リチウムイオンバッテリー用リニアチャージャーが組み込まれています。スマートウォッチや完全ワイヤレスイヤホンといったウェアラブル機器の電源開発に必ず使用される機能がすべて1チップに搭載され、パッケージサイズも非常にコンパクトです。従来のディスクリートによる電源回路構成では、3系統のバックブーストレギュレーターを実装する場合、3つのインダクターとそれぞれに付随する受動部品が必要になります。

一方、SIMOアーキテクチャー製品であるMAX77654は、内蔵されている3系統のバックブーストレギュレーターに対して、1つのインダクターで対応することが可能です。そのため、単にパッケージサイズが小型というだけでなく、周辺部品を含む回路全体の面積を大幅に削減できます。もちろん、消費電力の低減にも貢献します。

従来方式との基板スペースの比較
従来方式との基板スペースの比較

入力電圧2.75.5V、出力電圧0.85.5Vに対応。ウェアラブル機器のバッテリーに最適な電圧設計となっています。

 

例えば、スマートウォッチ、完全ワイヤレスイヤホン、Bluetoothヘッドホン、補聴器、電子ペン、AR/VRヘッドセット、スマートグラスなど、幅広いウェアラブル機器におすすめです。

 

評価ボード「MAX77654 EVKIT」が提供されていますので、すぐにお試しいただけます。

ご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

MAX77654 機能概要
MAX77654 機能概要

SIMOの原理とは?

1つのインダクターで複数電圧の昇降圧が可能なPMIC “SIMO”の原理について、評価ボードを使ったデモを交えて紹介しています。

この動画を見ていただくと、電源回路の構成において複数のインダクタ―を1つに集約することでどれだけスペースを生むことができるかイメージできます。

アプリケーション例

・ワイヤレススピーカーなどのヒアラブル機器

・スマートウォッチなどのウェアラブル機器

・IoT向けセンサーノード

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