DDSの後段にはスプリアス除去フィルターが必要
前回、DDSを使用する際、後段にはスプリアス除去のフィルター回路が必要とご説明しました。
数Hz 刻みでの周波数変更が可能なダイレクト・デジタル・シンセサイザー (DDS) その1
今回はスプリアス除去フィルターを使用した場合についてです。AD9834には簡単に評価できるキット:EVAL-CN0304-SDZが用意されていますので、こちらを使ってご説明します。
まず、評価キットの動作環境ですが、EVAL-CN0304-SDZにはPCとの接続に必要なEVAL-SDP-CB1Z(Eval Controller Board)とPCにインストールして使用するGUIツール(AD9834 Evaluation Software)が必要です。ちなみに、EVAL-SDP-CB1Zは様々な評価キットを接続できますので、既にお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
EVAL-CN0304-SDZの機能ブロック
では、EVAL-CN0304-SDZについてもう少し詳しく見てみます。EVAL-CN0304-SDZの機能ブロック図を参照してください。
まず、AD9834出力は電流出力のため、電圧変換用の抵抗が接続されています。
FSADJUSTピンに6.8kΩの抵抗を接続しているので最大で3mAほどの電流が出力されます。出力に200Ωの抵抗を接続しているので0.6Vの電圧が得られることになります。図でも分かるように評価キットのIOUT端子はAD9834出力がそのまま出力されていますので、ご自身でフィルター設計をされたいという方はこちらの出力を使用されると良いと思います。
一方、IOUTB端子にはバッファー・アンプ、フィルター回路を通した波形が出力されます。
AD9834出力はACカップリング後、入力コモンモード電圧の中点になるようにDCバイアスを与えてAD8014に入力しています。バッファー・アンプの後段には急峻な7次の楕円フィルター回路が用意され、カットオフ周波数18MHzほどです。
実際にフィルター回路『有/無』波形を比較してみる
計測ポイントは、フィルターを通さないIOUTとフィルターを通したIOUTBです。それぞれにオシロスコープを接続して波形を観測します。
計測結果
階段状の波形がフィルター回路を通過させることにより、きれいなサイン波になることがわかります。
念のためスプリアスを確認してみます。オシロスコープのかわりにスペアナで観測、見事にスプリアスを除去できています。
ということで、DDSの後段にはスプリアス除去フィルターが必要ということになります。
おまけ
フィルター回路通過後の振幅が小さくなっていると気付かれた方もいらっしゃるかと思いますが、SPICEシュミレーターで確認したところ、7次の楕円フィルターのようでした。
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