1セルバッテリーの RSOC (相対残量) を簡単に測定してみた!

概要

LC709209Fは、HG-CVR2 (Hybrid Gauging by Current-Voltage Tracking with Internal Resistance) と呼ばれるオンセミ社独自のアルゴリズムを使用してバッテリーの RSOC(相対残量)を測定する製品です。1.48mm*1.91mmのWLCSP12の超小型パッケージで、正確なRSOCの測定ができるため、ポータブルシステムなどのアプリケーションに最適です。また、本製品を使用した場合、通常必要な電流センス抵抗も不要であるため、基板の省スペース化も実現できます。消費電力が2uAととても低い点も特長です。

本記事では、本製品を検討するにあたり、簡単に評価できるGUIの設定や評価方法について紹介します。アプリケーション開発プロセスを複雑にするような長い学習サイクルを必要とせず、バッテリー挿入後に、いくつかのパラメーターを設定するだけで、すぐに測定を開始できます。

必要機材

LC709209F評価ボード
1セルバッテリー
・ブレッドボード
・サーミスター
・抵抗数個(バッテリー放電用)
・充電器(バッテリー充電用)

評価手順

評価ボードの準備

1. 評価ボードとパソコンを接続する
2. 評価ボードとリチウムイオンバッテリーおよび放電用として抵抗(充電用のときは充電器)を接続する
3. 温度測定用として、サーミスターを接続する

詳細は、LC709209Fのデータシートおよび下図接続図を参照してください。



データシート図
データシート図
評価ボードとバッテリー接続時(抵抗負荷で放電時)
評価ボードとバッテリー接続時(抵抗負荷で放電時)

GUIの設定(オンセミ社ウェブサイトにて評価ツールFGICToolをインストールする)

評価ツールFGICTool

1. GUIを表示後、コミュニケーションタイプの設定にて、I2C100kHzを入力し、1~300秒の間で何秒ごとに測定するか測定期間を設定する。

2. 動作モード[0x15]を設定する。

1. コミュニケーションタイプの設定
1. コミュニケーションタイプの設定
2.  動作モードの設定
2. 動作モードの設定

3. APA(Adjustment Pack Application) [0x0B]を設定する。
    バッテリーの仕様書の電流値と下図表を参照にAPAの値を入力する。表内にない電流値については、計算から算出可能のため、データシートを参照する。

4. バッテリープロファイル[0x12]を設定する。
    バッテリーの仕様書の電圧値と下図表を参照にバッテリープロファイルの値を入力する。

3. APAの設定
3. APAの設定
4. バッテリープロファイルの設定
4. バッテリープロファイルの設定

5. RSOC(Relative State Of Charge)[0x07]を初期化する。
    現在の値で初期化するため、AA55を書き込む。

6. サーミスターモード[0x16]を設定する。
    サーミスターで温度測定するときは、サーミスターモード(0001)を書き込む。本 LSI が マスターデバイスからセル温度を I2C 経由で受信する場合は、本設定は不要。

5. RSOCの初期化
5. RSOCの初期化
6. サーミスターモードの設定
6. サーミスターモードの設定

7. サーミスターB[0x06]を設定する。
    B定数についてはサーミスターのデータシートを参照にし、適した値を設定する。デフォルト値(0D34)から変更の必要なしの場合は、書き込みは不要。
    “Start measure”をクリックすると評価開始され、評価終了したいときは”Stop measure“をクリックする。また、“Store log”にてログの保存も可能。

7. サーミスターBの設定
7. サーミスターBの設定
評価開始後のGUI画面
評価開始後のGUI画面

評価結果

右図に示したように評価結果がGUI上に表示されます。

RSOC、温度、セル電圧、ITE (Indicator to Empty) の値などがGUI上に表示されます。

GUI上に表示されていないコードも、Readボタンで読みにいくことができます。
レジスタ情報については、下記表および詳細についてはデータシートを確認ください。

レジスタ詳細

ステータス情報

いくつかのレジスタについて紹介します。

・レポート情報
  空になるまでの推定時間であるTime To Empty [0x03]や、フル充電されるまでの
  推定時間Time To Full [0x05]などの確認ができます。

・ログ情報
  バッテリー挿入後の動作モードの経過時間Total Run time [0x24, 0x25]や、
  セル温度値を 1 分ごとに蓄積するAccumulated Temperature [0x26, 0x27]など
  を確認できます。
  このAccumulated Temperatureレジスタと Total Run time レジスタを
  使用して、平均セル温度を計算できます。

・ステータスとアラーム閾値
  さまざまなアラームとバッテリーの推定状態が含まれていて、
  右図に示してあるBattery Status [0x19]の確認ができます。
  アラーム閾値について、セル電圧の高電圧、低電圧の閾値や
  セル温度の閾値の設定が可能です。

追加機能

最後にLC709209Fから追加された機能を二つ紹介します。

外部Resetピン:緊急事態からの回復をサポートします。

自動スタートアップ動作:ホスト MCU からの設定をおこなわず、リセットまたはパワーオンリセット後にスタンドアロン(セルフ)の初期レジスタ設定で残量計の動作を開始します。

アプリケーション例

・ウェアラブル/IoTデバイス
・スマートフォン
・ワイヤレスヘッドセット/ポータブルヘッドセット
・ポータブルゲームプレイヤー
・USB関連デバイス

お問い合わせ / お見積もり

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