
RP108概要
RP108は大電流/低電圧化/低ノイズ化が進む市場トレンドをカバーするためのレギュレーター(3A品)であり、「逆流防止機能」が搭載されています。
LDOの出力電圧が入力電圧より高くなる場合、ICに影響が出ることから「出力電圧が入力電圧より高くなると、ICにどのような影響が出るのか?」という質問をいただきます。
回路の中で入力電圧より出力電圧が高くなる場合、出力から入力に向かって大きな電流が流れることで、ICを破壊する可能性があります。
これはIC内部のトランジスターに寄生ダイオード(ボディーダイオード)があることで、出力側の電圧が高いとダイオードは順方向となり、入力側に向かって逆流電流が流れてしまうことが理由です。
ただし、逆電圧印加時に入力側の電流経路が遮断される場合や、出力側の逆電圧源に大電流を流す能力がない場合は、問題がない可能性もあります。
例えばLDOレギュレーターの出力がOFFするとき、一時的に推奨容量から入力側に電流が逆流するようなことも考えられますが、その程度の電荷なら影響はありません。
逆流防止回路が内蔵されていることで出力側電圧が高くなった場合でも、逆流しようとする経路を遮断しICを破壊から保護することができます。
また、逆流防止回路が内蔵されていない場合でも、外部にダイオードを付加することで逆流の経路を外付けダイオード側にバイパスする対策が可能です。
保護用のダイオードを周辺回路に配置する場合、3つのパターンがあります。
出力にダイオードを接続する場合
ダイオードの順方向電圧(Vf)分だけ出力電圧が下がりますが、出力端子(VOUT) とフィードバック端子(VFB,FB) が別端子になっているLDOレギュレーターは、
下図のようにダイオードを接続する端子になっており、ダイオードを接続することで出力電圧を設定電圧通りに制御できます。

入力にダイオードを挿入する場合
ダイオードの順方向電圧(Vf)分だけ入力電圧が下がります。入出力電圧差に問題がなければこの方法も有効です。

入出力間にダイオードを接続する場合
逆流電流を外部ダイオードによってバイパスすることができます。IC内部の寄生ダイオードよりも順方向電圧(Vf)が低いものを選択してください。
また、逆流する電流はダイオードの電流容量を超えない範囲であることをご確認ください。

保護用のダイオードを配置するパターンの他に逆流防止回路内蔵のレギュレーターを使用する方法もあります。
逆流防止回路の詳細は、こちらからご確認ください。
製品仕様
民生 | 産業 | 車載 | |
入力電圧範囲 | 1.6V ~ 5.25V(6.0V) | ||
動作温度範囲 | -40°C ~ 85°C(125°C) | -40°C ~ 105°C(125°C) | -40°C ~ 105°C(150°C) |
消費電流 | Typ.350µA | ||
スタンバイ電流 | Typ.2µA | ||
出力電圧範囲 | 内部固定版: 0.8V ~ 4.2V (0.1Vステップ) 外部調整版: 0.8V ~ 4.2V |
内部固定版: 0.8V, 1.2V, 1.5V, 1.8V, 2.5V, 3.0V, 3.3V 外部調整版: 0.8V ~ 4.2V |
内部固定版: 0.8V, 1.2V, 1.5V, 1.8V, 2.5V, 3.0V, 3.3V 外部調整版: 0.8V ~ 4.2V |
出力電圧精度 | ±1.0%(Ta=25°C) (VSET≤1.5V時は±15mV精度、Ta=25°C) |
||
出力電圧温度係数 | Typ.±100ppm/°C | ||
入出力電圧差 | Typ.0.51V(VOUT=2.5V時) | ||
入力安定度 | Typ.0.1%/V | ||
出力電流 | Min.3000mA | ||
リップル除去率 | Typ.65dB(f=1kHz, VOUT=2.5V時) | ||
パッケージ | TO-252-5-P2 |
ブロック図

VOUTがVINより大きい場合に、VOUT端子からVDD端子やGND端子に向かって電流が流れ込むのを防止する回路を搭載しています。
通常Pch出力トランジスターを使用するLDOは、VDD端子とVOUT端子間に寄生ダイオードがあるため、VOUTがVINより大きい場合には寄生ダイオードが順方向となり、VOUT端子からVDD端子に向かって電流が流れてしまいます。
RP108JはVINがVOUTより小さくなる前に逆流防止モードとなり、Pch出力トランジスターの寄生ダイオードを逆方向に接続にしゲートをVOUT端子に接続することでPch出力トランジスターをオフ状態にします。
さらに、VOUT端子からGND端子に流れ込む電流経路を全て遮断し、逆流電流を10μA(Typ.25℃)に抑えます。
通常モードと逆流防止モードとの切り替えはVIN電圧とVOUT電圧の大小関係を判定しておこないますが、安定動作のために判定しきい値にはオフセットとヒステリシスを持たせており、RP108Jはオフセット30mV(Typ.25℃)、ヒステリシス5mV(Typ.25℃)となるため、軽負荷時に通常モードで使用できる最小入出力電圧差は35mV(Typ.25℃)で制約されます。
下図に逆流防止回路の概要と各モードの負荷特性を示します。
VOUT端子に定電圧を与えVIN電圧を下げていく場合、入出力電圧差が30mV(Typ.25℃)以下で逆流防止モードとなり負荷電流を流すことができません。
入出力電圧差を35mV(Typ.25℃)以上にすることで通常モードに復帰し、負荷電流を引くことができます。
入出力電圧差を30mV(Typ.25℃)より小さい条件で使用する場合、検出と解除を繰り返す場合があります。

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