
こちらのページではInfineon(インフィニオン)社の車載向けマイコンである「AURIX™ TC3xx 」の概要と、
車載アプリケーションを開発されるお客様へどのようなソリューションが提供可能かをご紹介します。
1. AURIX™ TC3xx の概要
AURIX™とは
AURIX™ とはInfineon社の車載用高性能MCU製品ファミリの総称で、TC3xxはAURIX™ シリーズの第2世代モデルです。
AURIX™ TC3xxはリアルタイム性に優れたInfineon独自の32ビット統合アーキテクチャの「TriCore™」を利用したCPUを搭載しています。車載アプリケーション向けに特別に設計されていることから、高性能と安全性を持ち、最大6コア、300MHzで高速に動作します。ISO 26262で定義されたASIL-D(機能安全最高水準)を満たし、第二世代HSMにより、EVITA-Full(セキュリティ最高水準)を満たすことが可能な製品です。

最大スペックまとめ
CPU (TriCore™ v1.6.2) ・動作周波数:300MHz DMA 電源 |
インターフェース ・FlexRay:2モジュール(4チャネル) レーダー信号処理用アクセラレーター (SOTA対応 A / Bデュアルバンク)※4 |
※1 全製品でロックステップコア搭載
※2 一部製品非搭載
※3 一部製品のみ搭載。上記ラインナップ表参照
※4 TC32x、TC33xはSOTA非対応
2. AURIX™ TC3xx の主な特徴
ハイスペック
シャシー&セーフティ、パワートレイン&xEV、ADAS(先進運転支援システム)等、高度なアプリケーションを実現できます。
また、大容量Flash、高性能マルチコア、豊富な通信インタフェースにより、システムインテグレータは、ワンチップで複数マイコン/ECUを統合し、コスト削減、基板サイズ削減等が可能になります。
さらに、ハイスペックの特徴から充分なリソースをバッファすることができ、将来的にSOTAを利用して新たな機能追加や、システムアップデートは対応できるようになります。
機能安全(セーフティ)
ADAS等の導入により、自動車の電子制御システムが複雑化し、よりハイレベルな機能安全が要求されている為に「ISO26262」が2011年に発行されました。システムインテグレータはある機能・部品が故障したとしても、システムの安全性を確保しなければなりません。
AURIX™はISO26262が規定する機能安全に対して、ASIL-Dを達成できるSafety Element out of Context( SEooC )として特別に開発され、ハイレベルな機能安全が要求される車載アプリケーションの実現を支えています。

AURIX™はLockStep、LBIST、MONBIST、MBIST等のセーフティー機能とテスト機能が既にハードウェアによって、実現されています。システムインテグレーターは、インフィニオンの機能安全ドキュメントを基に、ソフトウェアで一部のセーフティメジャーを実装する必要があります。
マクニカはこれに対し、お客様の工数削減、開発時間の短縮を行い開発を容易にすることが可能な、HITEX社のセーフティソリューション「SafeTpack」を提供及びサポートしています。詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
セキュリティ
AURIX™ TC3xxは車載セキュリティ規格の最高水準であるEVITA-FUllへの対応が可能なハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を搭載しており、安全機能に特別な要求がある自動車アプリケーションにとって理想的なマイコンです。

セキュリティ要件に対する課題をお持ちのお客様へは、弊社よりETAS社のご紹介が可能です。
自動車アプリケーションにおけるサイバー攻撃の脅威に対し、分析や課題抽出といった導入検討から、実装、量産、保守のプロセスを一貫してサポートするソリューションを提供しております。
セキュリティ導入検討におけるトレーニングやセミナなども開催していますので、下記リンクのETAS社紹介ページより詳細をご参照ください。
AURIX™ TC3x、TRAVEO™ T2Gにそれぞれ実装されているHSMをご利用になられる場合、もしくは既存システムのMCUの流用がほぼ決定しているもののセキュリティ要件を達成しなければならないといった課題をお持ちの場合、CycurLIB, CycurHSMといったソフトウェアソリューションが最適です。
また、多くのサードパーティ、並びにエコシステムパートナーが提供する最新情報や、Infineon社製品に関連するトレーニングの情報は、別途ご案内することが可能です。
問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
3. メインアプリケーション、実績
メインアプリケーション
AURIX™は国内/海外で高い実績があり、AURIX™を含むTriCore™搭載マイコンの累計出荷数は2022年内には累計出荷10億個を突破する見込みで、車載市場で大きな信頼を獲得しています。 TriCore™は元々、自動車の中でも最も高い信頼性、安全性、性能が要求されるエンジン制御を筆頭にしたパワートレイン制御向けに開発されましたが、その特徴から昨今ではシャシー制御やADAS、テレマティクスECU、ゲートウェイECUなどあらゆる車載用途で採用されており、最新の自動車のトレンドと課題に対応が可能です。

Real-time
・エンジン
・トランスミッション
・HEV/BEV インバーター
・DC DC コンバーター / チャージャー
・ハイブリットコントロールユニット
・バッテリーマネジメント

Safety
・シャーシー サスペンション
・電動パワーステアリング(EPS)
・電動パーキングブレーキ(EPB)
・24GHz / 77GHz レーダー
・アドバンスドライトニング
・ドライバーモニタリング
・センサーフュージョン

Secure
・ボディドメインコントローラー
・V2x通信
・ゲートウェイ
・テレマティクス
・高度なボディアプリケーション
・車載ワイヤレス充電器
・ピクセル照明
4.開発環境
評価ボード
Infineon社ではAURIX™を使用した開発をされるお客様に対し、ニーズに合わせた複数の評価ボードをご用意しております。


Lite Kits
Infineon社では初めてAURIX™を触れるお客様向けに、Lite kitsを提供しております。
Lite Kitsは使用できるピン数など一部機能の制約はありますが、その分ローコストでAURIX™の動作検証を行うことが可能なため、導入に最も適した評価ボードです。


TriBoard Kits
TriBoard KitsはAURIX™の基本となる汎用評価ボードで、お客様はこれによりソフトウェアの開発、評価、テストを迅速に開始することができます。
また、ソケットタイプも用意されており、パッケージが同じ製品であればチップの取り換えが可能であるため初期の開発にも適しています。


Application Kits
AURIX™ではゲートウェイやレーダーなど、各種アプリケーションに特化した評価ボードもご用意しております。
写真はAURIX™ TC3xx Motor Control Application Kitでサンプルモーター駆動確認向けの専用評価ボードです。
エコシステムパートナー
お客様の開発を最大限サポートするため、サードパーティとの強固なエコシステムが構築されています。

5. Infineon社の自動車向けMCUソリューション
近年、自動車業界では機電一体化が更に加速している中で、テクノロジーの進歩や新たな法令の制定など様々な背景からシステムに要求される仕様は日々変化が生じています。Infineon社は複雑化する要求仕様における課題に対し、解決策を提示し続けることができるトータルソリューションパートナーです。
今回ご紹介したAURIX™ TC3xはInfineon社の持つ車載向けMCUファミリーの中においてミドルレンジからハイエンドのアプリケーションをカバーするソリューションですが、ミドルレンジからローエンド向けに特にクラスター系で多くの実績があるTRAVEO™ T2Gや、静電タッチインターフェースで実績のあるAutomotive PSoC™ 4、また、モーターアプリケーションに特化したEmbedded Power ICsなど、様々なシステム要件に対しベストな解決策を提案することができます。
一例として、AURIX™ TC3xとTRAVEO™ T2G MCUのアプリケーション区分を示しますが、ほぼすべてのアプリケーションに対して、最新の技術トレンドを踏襲したMCUをご選択いただけます。

6. 関連リンク
7. 各種お問い合わせ
本製品に関してご質問、見積もり希望がありましたら、下記リンクよりお問い合わせください。