トラベオ, Infineon, マイコン

こちらのページではInfineon社が提供するボディアプリケーション向け車載用マイコンである「TRAVEO™ T2G-B」の概要を紹介し、車載アプリケーションを開発されるお客様へどのようなソリューションが提供可能かを説明しております。

【目次】

1. はじめに「自動車に搭載される電子部品/ユニットの増加と技術トレンド」

2. TRAVEO™ T2G-B製品概要

3. 開発環境、各種お問い合わせ

4. Infineon社の自動車向けMCUソリューション

5. 関連ソリューション

1. はじめに「自動車に搭載される電子部品/ユニットの増加と技術トレンド」

現在、自動車業界ではドライブ・トレインの電動化が進んでいることや、より高度な先進運転支援システム(ADAS)の搭載が求められていることから自動車に搭載される電子ユニットの数は年々増え続けています。

また、セキュリティ要件や消費電力に対する要求が日々高まっており、これは、自動運転(AD)機能の導入がその一因となっています。自動運転はレベル15の5つに区分され、特にレベル3以降ではドライバーがシステムの動作状況や周囲環境の監視を常時行う必要がない状態となり、これを達成するためには、あくまで運転支援としてのシステムから運転行為を自律的に行うシステムへの進化が必要となります。そのようなシステムを実現するためには多くのセンサーデータの統合とディープラーニング、クラウドやインフラ、車両間の連携、他車両やインフラと通信を行うネットワークサービスとの接続性(繋がる)などの検討が必要不可欠であり、そのために各ドメインユニットに求められるセキュア通信を担保する要件や消費電力に対する要求が高まっています。 

さらに、前席はもちろん後席空間の居住性、快適性を向上させるユニット機能や、従来からのドア、窓、サンルーフ、シート制御などといった所謂ボディドメインに対する機能の仕様にも変化が表れてきていることから、ユニット・システムの増加と複雑化が進み、これに伴い自動車の電子・電気アーキテクチャー(E/Eアーキテクチャー)の抜本的な見直しが行われています。

今回ご紹介するTRAVEO™ T2G-Bは、上述のトレンドに対してInfineon社が提供するMCU製品ファミリの一つです。

車載, トレンド

技術要件のトレンド

2. TRAVEO™ T2G-B製品概要

特徴

TRAVEO™ T2G-B Arm® Cortex®-M7F / M4Fをメインコアとした、最大350MHzの動作周波数で動作する車載向け汎用マイコンです。高いセキュリティ機能を実現するためにArm® Cortex®-M0+コアが全製品に標準搭載され、セキュア通信が可能であることに加えて、デバイスとしてeSHEHSMに対応していることから、Evita Fullに対応が可能です。

また、繋がる車の要件として近年挙げられるFOTAFirmware Over The Air)機能も有しており、アプリケーションプログラム実行中でのプログラミングを可能にするデュアルバンクメモリー構成をサポートしていることに加え、最大8MBのフラッシュを内蔵、ISO26262 ASIL-Bレベルに準拠、周囲温度125℃までの環境下での動作を実現など、車載アプリケーションの厳しい要求と課題達成に貢献する製品となっております。

セキュリティ, 機能安全

TRAVEO™ T2G-B主な特徴

製品ラインナップ

製品ファミリーをローエンドからハイエンドまで広く揃えることで、拡張性とピン互換性を提供しています。

これにより、例えばお客様の評価フェーズにおいてリソースの過不足が生じた際、簡単に上位/下位互換が可能になります。

ラインナップ

製品ポートフォリオ

使用例

幅広いユニット、アプリケーションを対象としているため、CAN, LIN, SPI, I2C, UARTなどの標準的なペリフェラルに加えて、CAN-FD, I2S/TDM, CXPI, Ehternet, FlexRayなどのプロトコルを幅広くサポートし、ワンチップでの期待仕様の実現に貢献します。そのほか、外部メモリーアクセス用のeMMC, SMIFなどもご用意しています。

また、最大96チャネルの12bit逐次比較型ADコンバーターを内蔵しており、周辺センサーの信号取り込みはもちろん、高機能PWMTCPWM)と組み合わせたアクチュエーター制御も可能です。

Infineon社が考えるTRAVEO™ T2G-Bコントローラーの使用例として、ボディーコントロールユニットでの活用例を掲載します。

システム構成

ボディーコントロールユニットでの活用例

3. 開発環境、各種お問い合わせ

TRAVEO™ T2G-Bの開発に必要となるIDE、デバッグツールなど各種SWツールはInfineon社またはサードパーティ製のツールを使用いただくことが可能です。
また、評価ボードについては製品に応じて準備されており、無償のサンプルSWもInfineon社より提供を行っています。

お客様の開発されるアプリケーションに対して、どのような製品やSWが適しているかなどご相談が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

4. Infineon社の自動車向けMCUソリューション

冒頭に記載したとおり、自動車業界は機電一体化が更に加速しており、法令などの様々な背景からシステムに要求される仕様に変化が生じています。Infineon社は複雑化する要求仕様における課題に対し、解決策を提示し続けることができるトータルソリューションパートナーです。

今回ご紹介したTRAVEO™ T2G-Bは、Infineon社の持つMCUファミリーの中においてローエンド、ミドルレンジのアプリケーションをカバーするソリューションですが、より機能安全レベルの高いアプリケーションをカバーするAURIX™や、静電タッチインターフェースで実績のあるPSoC™、また、モーターアプリケーションに特化したEmbedded Power ICsなど、様々なシステム要件に対しベストな解決策を提案することができます。

一例として、AURIX™MCUTRAVEO™ T2G-B MCUのアプリケーション区分を示しますが、ほぼすべてのアプリケーションに対して、最新の技術トレンドを踏襲したMCUをご選択いただけます。

Infineon社 車載用マイコンラインナップ

Infineon社 AURIX™ 32bit MCU

Infineon, マイコン, アプリケーション

広いアプリケーションをカバーする豊富なMCUラインナップ

5. 関連ソリューション

セキュリティ要件に対する課題をお持ちのお客様に対して、弊社よりescrypt社のご紹介が可能です。
自動車アプリケーションにおけるサイバー攻撃の脅威に対し、分析や課題抽出といった導入検討から、実装、量産、保守のプロセスを一貫してサポートするソリューションを提供しております。
セキュリティ導入検討におけるトレーニングやセミナなども開催していますので、リンクのescrypt紹介ページより詳細をご参照ください。
TRAVEO™ T2G-Bに実装されているHSMをご利用になられる場合、もしくは既存システムのMCUの流用がほぼ決定しているもののセキュリティ要件を達成しなければならないといった課題をお持ちの場合、CycurLIB, CycurHSMといったソフトウェアソリューションが最適です。


また、多くのサードパーティ、並びにエコシステムパートナーが提供する最新情報や、TRAVEO™ T2G-Bに関連するトレーニングの情報は、別途ご案内することが可能です。
問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。