車載サイバーセキュリティの必要性
自動車にサイバーセキュリティ?パソコンやスマートフォンなら分かるけれど、車でサイバーセキュリティなんて考える必要があるのか?そう感じている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、例えば、カーナビにいつの間にか新しく開通した道路が反映されていたり、渋滞情報や最新のニュースが表示されているのは、無線通信でインターネットへのアクセスを行うことによって定期的にデータを更新しているためです。このように、車もスマートフォンと同じようにデジタルデータやシステムを取り扱い、外部との通信を行うとなると、やはり車にもサイバーセキュリティ対策が必要であることを感じられると思います。
また、車のそれぞれの機能はECU*により電子制御されており、個々のECUは通信ラインでつながっています。そのため、一つのECUを入り口に外部から侵入されると通信ラインを通じて別のECUへアクセスができるようになってしまい、最悪の場合ハンドル制御を乗っ取られるなどの命に係わる事象に至る可能性もあります。このようなことを考えると、よりその重要度が感じられると思います。
*ECU=Electric Control Unit
車載サイバーセキュリティに関するレギュレーション
車載サイバーセキュリティに関してここ数年UNECE* WP.29というワードを目にする機会が増えていると思います。UNECE WP.29は自動車の安全基準や環境基準の国際的調和を目的に設立された自動車基準調和世界フォーラムとなり、世界各国の交通環境に応じて国ごとに基準や認証方法が定められていた自動車の安全基準や環境基準を国際的に調和させ、基準作成や審査作業の効率化、安全で環境性能の高い自動車の普及などを推進することを目的に設立された国際連合欧州経済委員会の下部組織となります。
*United Nations Economic Commission for Europe(国際連合欧州経済委員会)
そのUNECE WP.29(5.1.2)では車載サイバーセキュリティに関する2つのレギュレーション、UN-R155とUN-R156が合意されております。WP.29、UN-R155、UN-R156について詳しく知りたい方はこちらの記事も是非ご覧ください。
WP.29規制における要求事項

主に、WP.29規制における基礎のとなる要求事項は2つとなり、サイバーセキュリティ対応をしなくてはならないと一言で言っても、実際には対応すべきことがたくさんあります。
そこで従来の開発フローに比べ、サイバーセキュリティに対応するには、どのタイミングで何をしなければならないのか、簡単にまとめております。マクニカテクスターカンパニーでは、ハードウェアとソフトウェアの両側面からのソリューションのご紹介が可能です。
車載サイバーセキュリティへの対応
従来の開発フローに加え、サイバーセキュリティに対応するとなると、どういったことを検討し対応する必要があるかを簡単にまとめた図がこちらになります。

通常の開発フローの例

サイバーセキュリティに対応した開発フローの例
①CSMS認証
CSMSとはCyber Security Management Systemの略で、企業ITセキュリティ、製造部門のITセキュリティ等、会社レベルの車両セキュリティの管理が目的となります。CSMSでは大きく分けて3つの要求事項があり、「会社全体のセキュリティ方針やサプライチェーンの管理」、「製品開発時におけるサイバーセキュリティ対策をとるための適切なプロセス」、「製品開発及び運用時における脆弱性監視やハンドリングをするためのプロセス」が必要となります。また、社内でのサイバーセキュリティ対応における人材育成も求められます。
イータス社では、サイバーセキュリティレベルの向上に向けたセキュリティトレーニング、インシデント発生時の対応を行うPSIRT構築の運用支援、法規対応等、セキュリティに関する様々なコンサルティングサービスのご提案が可能です。
②車両型式認証
技術的なプロジェクトレベルの製品のセキュリティ対応となり、安全な車両を開発するプロセス、車両群のセキュリティインシデントに対する検知と対応、安心で安全なソフトウェアアップデートが目的となります。
車載ECUレベルでのセキュリティでよく耳にするHSM(Hardware Security Module)は暗号化や電子署名処理を行うものとなりますが、HSMが実装されたマイコンを使用することにより格段にスピーディに暗号処理できるようになります。セキュリティ対策が求められるECUではHSM内蔵のマイコンを搭載し、車載ソフトウェアや通信データの改ざんの防止や、マルウェアや不正ソフトウェアのアップデートの阻止等、セキュリティに対応しているハードウェアとソフトウェアの両面から対応する必要がありますが、マクニカとしてはハードウェアとソフトウェアの両面からサイバーセキュリティに対応したソリューションのご提案が可能です。
ハードウェア:
インフィニオン社では車載セキュリティに対応した業界一のハイスペックマイコンを開発・製造・販売しており、特にASIL-DやEVITA Fullに対応したAURIX™2GシリーズはHSMを搭載しており、セキュリティを求められる様々なECUでの採用実績がございます。
ソフトウェア:
イータス社では車載ECUレベルのセキュリティに対し、複数のセキュリティ対策のソリューションを持っております。中でも、ESCRYPTセキュリティソフト製品により、お客様の開発工数削減に貢献し、様々な角度からのセキュリティ対策が実現可能です。
車載サイバーセキュリティへの対応製品
ハードウェアのソリューション
セキュリティ機能内蔵のマイコン
インフィニオン社では主に3シリーズの車載向けマイコンのラインナップがございます。

それぞれ、どういったアプリケーション向けにご検討いただけるか、詳しく紹介しているラインナップページがございますので是非一度ご覧ください。
ソフトウェアのソリューション
イータス社では様々なセキュリティに関する製品のラインナップがございますが、こちらでは車両に搭載されるオンボードセキュリティの中でも、主に半導体に直接関係してくるCycurHSMとCycurLIBを紹介します。

イータス社セキュリティソフト製品ポートフォリオ

CycurHSM
・マイコン向け組み込みHSM用のソフトウェアスタック
・トランスアンカーとして、暗号プロトコルとアルゴリズムを提供
・複雑なOEMの要件に容易に対応でき、システムアーキテクチャへスムーズな統合を実現
・サポートコンパイラ:GHS、HIGHTEC、TASKING
CycurLIB
・組み込みセキュリティ暗号ライブラリ
・各種暗号アルゴリズムを安全に簡単にECU、HMI、PLC等の機器に組み込みが可能
・少ないフットプリントでRAM/ROMリソースの制約においても優れた性能での動作
・モジュール化された構成で容易に複数の必要な暗号アルゴリズムだけに実装
それぞれ、詳しく紹介しているページがございますので是非一度ご覧ください。
上記をまとめると、マクニカとして以下のようなイメージにてハードウェアとソフトウェアのトータルソリューションのご提案が可能です。
マクニカとしてご提案可能なハードウェアとソフトウェアのトータルソリューションのイメージ
その他の車載サイバーセキュリティ対策ソリューション
こちらのページでは主に車両に搭載されるオンボードセキュリティにフォーカスし、ハードウェアとソフトウェア面でのソリューションのご紹介をしておりますが、セキュリティに関する様々なご要求やお困りごとに対して、以下インフィニオン社とイータス社での一気通貫でのソリューションのご提案が可能です。会社レベルでの対応、車両レベルでの対応に関わらず、セキュリティに関するご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

マクニカでご提案可能な、インフィニオン社とイータス社のソリューション
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