世界中に蔓延する新型コロナウィルス感染症(Covid-19)、そしてその感染拡大防止策として各国政府が施行したロックダウンは、人々の生活を一変させました。一時の危機が去った後の数か月、あるいは数年後を見据え、日常生活はどのように変化するでしょうか?そして、ウィンボンド・エレクトロニクスのようなメモリーICメーカーは、電子機器OEMの要件変更にどのように対処してゆくのでしょうか?

ウィンボンド・エレクトロニクスは状況の変化を慎重に見極めたうえで製品戦略や技術計画を行っています。この記事では、アフターコロナの世界がどう変化し、メモリーサプライヤーに対する要求がどう変わっていくか、ウィンボンド・エレクトロニクスの分析結果を解説します。

在宅勤務とホームエンターテイメントが新常態に

各国政府はパンデミックによるロックダウンを実施した際、可能な人は出来る限り在宅勤務を行うよう指示しました。企業は急遽、自宅で仕事ができるよう新たなシステムやプロセスを構築しました。

在宅勤務はもともとロックダウン期間のための短期的な手段とされていましたが、効率的な勤務方法であることが判明し、パンデミックの影響による数少ないプラスの変化のひとつと言えます。従業員と企業の双方にとって都合がよい、まさにWin-Winの関係を築くことができます。通勤時間がなくなる分、家族と過ごしたり、レジャーを楽しんだりする時間が持てるようになります。

企業は、従業員の作業スペース縮小による経費削減が可能になります。また、企業もその従業員もMicrosoft Teams、Zoom、Skypeなどのツールを利用したWEB会議を行うことにより、出張にかかる費用、時間、労力を省きつつ、同等の仕事がこなせることに気がつきました。

在宅勤務は、従業員にとっても企業にとってもメリットがあるため、今後も続くでしょう。これは、コンピューターおよび通信機器が効率的かつ効果的に機能できるようなテクノロジーの需要が高まることを意味します。在宅勤務には高いインターネット帯域が必要なため、FTTH(Fibre-to-the-home)とWi-Fi® 6ルーターが人気となっていくでしょう。また、家庭用コンピューター機器の需要が高まるので、PCの時代が終わるという噂は誤りだったということが証明されました。さらに、在宅勤務を快適かつ効率的に行うための周辺機器や、高性能スマートフォンの市場も大きく成長することが予測されます。

家庭用コンピューター機器や通信デバイスの多くは、ブートコードを堅牢なNORフラッシュ、もしくはNANDフラッシュに格納しています。ウィンボンドがQspiNANDフラッシュテクノロジーの開発に力を入れてきたことはここで活かされます。QspiNANDフラッシュは、512Mビット以上のコードを保存するうえで、従来のNORフラッシュよりも低価格な代替品です。QspiNANDフラッシュ製品はコードのシャドーイング操作に十分な高速読み出しと書き込みパフォーマンスを、少ないピン数かつ小型パッケージで提供できるため、OEMは基板面積とコストを削減できます。基板面積とコストの削減という利点は、ワイヤレスヘッドセットやトゥルーワイヤレスイヤフォンなどの省スペース型コンピューティング周辺機器で使用される、少ピンカウントのHyperRAMTM メモリーでも実現されます。

アフターコロナでも続くと予想されるもう一つの現象は、ホームエンターテイメント向け高度テクノロジーに対する需要です。NetflixやAmazon Primeなどのビデオストリーミングサービスの人気が高まっていますが、臨場感あふれるホームシネマ体験のための8Kテレビの需要が出てくるとウィンボンドは予測しています。これにはウィンボンドのLPDDR3が最適です。8KテレビのT-CONモジュールでは、1個のLPDDR3が複数ICの代わりとなりうるため、スペースとコストを大幅に削減できます。

感染拡大防止という名目のもと、今まで以上に個人のプライバシー侵害が社会的に許容されることに

プライバシーに関わる基準は国によって異なりますが、Covid-19やその他の感染症防止のために必要であれば、政府が個人データにアクセスし、感染者および濃厚接触者に関するデータを取得できるという傾向が世界中で見られます。既に、スマートフォンのアプリが感染者に接触した人物の割り出しに使用されています。将来的には、公共の場でのIPカメラや、社会的距離の規制準拠を監視するカメラ搭載ドローンなど、さらに侵害度の高いテクノロジーが発展するでしょう。

しかし、個人情報利用は医療目的には許されても、データの悪用や乱用は許されるものではありません。つまり、カメラなどの電子デバイスを改ざんやハッキングといった攻撃から保護する、実証済みのセキュリティーコンポーネントに対する需要が高まることになります。

セキュリティーと暗号化は、マイクロコントローラー、セキュアエレメント、マイクロプロセッサーなどのハイエンドなデジタルシステムに実装される機能として、一般的に認識されています。

しかし、ブートコードや個人データを格納する外部メモリーのシステム設計でも、セキュリティー要件を考慮しなければなりません。ウィンボンド・エレクトロニクスは、セキュアなコードストレージに対するこの要件を予測しTrustME® セキュアフラッシュメモリー製品を開発しました。最新のTrustME® 製品、W77Qは「設計におけるセキュリティー」を特徴としており、IoTデバイスをリモートソフトウェア攻撃から保護します。W77Qは、ハードウェアにroot-of-trustとセキュアに暗号化されたデータストレージおよびデータ転送機能を提供します。IoTデバイスのセキュリティーを堅牢かつend-to-endで保護し、以下を実現します。

  • メモリーを利用するホストプロセッサーやSoCがセキュリティー上危険にさらされた場合であっても、ネットワーク上のホストエンティティーとW77Q間の”End-to-End”でセキュアなチャネルを介したセキュアなコードアップデート(例:OTAアップデート)
  • セキュアブートとRoot-of-Trust
  • フラッシュメモリーとホスト間の認証および暗号化されたデータ転送
  • ブートコードやアプリケーションコードをセキュアにフェッチ・実行(eXecution-in-Place; XiP)
  • 保護、異常検出、回復という一貫したセキュリティ機能を有し、システムレジリエンシをサポート


また、ウィンボンド・エレクトロニクスのDRAMは、監視カメラやIPカメラおよびカメラ搭載ドローンメーカーの新たなニーズに対応します。最新のLPDDR3 DRAMは8Kテレビと同様これらのビデオデバイスに対し、高解像度ビデオシステムに必要な高帯域幅を提供します。しかもLPDDR4やLPDDR5より簡単に最終製品へ統合可能です。

ロボットとAIの急成長により人間労働の機会が減少

Covid-19のパンデミックにより、一部の企業ではいかに労働者に依存しているかが露呈しました。将来的に、特定の場所に人間の労働者がいなくてもすむような、より柔軟性の高いシステムを導入する企業が増えるでしょう。

さらに、各現場で必要な労働者数を減らすことで、組織は職場での社会的距離を保ちやすくなります。

ますます高度化する人工知能(AI)や機械学習技術に支えられたロボット工学導入のこの動きは、高速マイクロプロセッサー(MPU)とグラフィックスプロセッサー(GPU)の需要を伸ばすことでしょう。また、こうしたデバイスで実行される高度で複雑なソフトウェアは、高容量かつ高帯域幅のコードストレージデバイス市場を牽引します。

ウィンボンド・エレクトロニクスは長期的戦略計画を行っており、現在の市場状況によりAIやロボット工学への関心が高まる以前に、この需要が増加することを予測していました。一例としてOctalNANDフラッシュメモリーの開発が挙げられます。

初のOctalNANDフラッシュデバイスである1GビットのW35N01JWは、NANDフラッシュテクノロジー史上最速の読み取りパフォーマンスを提供します。連続読み取りのスループットは240Mバイト/秒と、W25N-JW QspiNANDフラッシュファミリーの3倍高速です。さらに、市場に出回っている一般的なシリアルNANDフラッシュの10倍の速度となっています。

すなわち、OctalNANDフラッシュをOctal NORフラッシュの置き換えとして利用しても、読み取りパフォーマンスにおいて問題ないといえるでしょう。さらに512Mビット以上の容量帯においてはNORフラッシュよりもビット単価が安くなります。つまり、ウィンボンドのOctalNANDフラッシュは、AIと機械学習機能を活用するロボットやその他のシステムで、大量のコードベースを格納するために使われているOctal NORフラッシュの理想的な代替品となります。

メガトレンドからみるメモリー要件の予測

2020年、世界はCovid-19による医療危機に注目していますが、パンデミックに起因した働き方改革や技術運用の変化にも焦点を当てるべきです。ウィンボンド・エレクトロニクスは、市場要件を慎重に分析し、エンドユーザーの行動を理解することで、アフターコロナにおいてもお客様を的確にサポートできるよう優れたメモリー製品の開発に努めます。QspiNANDフラッシュからTrustME®セキュアフラッシュメモリー、LPDDR DRAMに至るまで、ウィンボンドは社会のニーズに合ったメモリー製品を取り揃えていきます。

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