Sub-GHzに対応した評価ボード「LAUNCHXL-CC1310」
LAUNCHXL-CC1310 は Texas Instruments社が提供するワイヤレス・評価ボードです。
この製品は、Sub-GHz通信が出来る点が最大の特長ですが、Sub-GHzは国ごとに利用できる周波数が異なることをみなさまはご存知でしょうか?
製品の詳細を解説する前に、まずは2.4GHz帯の無線規格との違いも含めてSub-GHzについて解説します。
Sub-GHzとはどんな規格か
Sub-GHzとは、1GHz未満の周波数帯を使用した無線通信の総称を指します。以下のように他の規格と比較した場合に様々な利点があります。
Sub-GHz(920MHz帯)と2.4GHz帯の比較
項 目 | 920MHz | 2.4GHz | 備 考 | |||
Wi-Fi | ZigBee | Bluetooth | BLE | |||
通信距離 (見通し) |
◎ | ○ | △ | △ | × | 920MHz帯は2.4GHz帯と比較し、約3倍の通信距離 |
回り込み特性 | ○ | × | × | × | × | 920MHz帯は2.4GHz帯と比較し、約10倍の回り込み |
電波干渉 | ○ | × | × | × | × | 920MHz帯は新たに解禁された周波数のため、干渉されにくい |
スループット | ○ | ◎ | △ | ○ | △ | 大容量のデータ転送はWi-Fi |
低消費電力 | ◎ | × | ○ | △ | ◎ | 同距離での無線通信の場合、920MHz帯の方が低消費電力 |
スマートフォンとの接続性 | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | Wi-Fi/Bluetooth/BLEはスマホ端末と接続が容易 |
回り込み特性に優れているため、障害物に強い周波数帯
Sub-GHz は2.4GHzと比較し、回り込み特性も優れています。一般的に、波長が短い波は障害物を抜けた後、広がりにくいと言われています。しかし、Sub-GHz のように波長が長い波は、障害物を通過した後でも障害物を回り込むように広がっていくことができます。

使用出来る周波数帯は各国で異なる
冒頭でも説明したように使用出来る周波数帯は各国で異なります。そのため、世界共通で同じ周波数を使えない点は注意が必要です。なお、日本の場合は920MHz帯が割り当てられており、欧州は 868MHz帯、米国では 915MHz 帯が割り当てられています。
LAUNCHXL-CC1310 の3つの特長
ここでは Sub-GHz通信を除いた LAUNCHXL-CC1310 の特長を、3つ紹介します。
1. 3つのプロセッサ・コアを搭載
CC1310 のメインCPUにはArm社の Cortex® -M3が採用されています。また、CC1310内には FLASHとRAM、DC-DC Converterも搭載しており、ワンチップで動作可能な構成になっています。
ペリフェラルとしてはGPIOやI2C、UARTなどのシリアルインターフェースやタイマーなどを搭載しています。また、以下図の右上にRF Coreがありますが、ここがRF機能になり、Cortex® -M0で無線通信をコントロールしています。
さらに、図右下のSensor Controllerでは、外部のセンサーデータをこのコントローラ単体で取得できるように構成されています。これにより、メインCPUを介さずにセンサーデータの取得や無線通信を行えるため、無駄な電力を消費せず、低消費電力でシステムを構成できるように作られています。

2. 低消費電力での動作を実現
プロセッサのエネルギー消費効率を評価するベンチマーク「ULPBench」のスコアで、158 と高い数値が出ています。
これは、従来のプロセスである0.18umルールから、65nmルールを採用した他に、スイッチング方式の DC/DC コンバータを集積していることで、+3.3V 入力を+1.8V に降圧変換して、IC 内部に供給する役割を担っているためです。
従来は、LDO レギュレータを使っていましたが、DC/DC コンバータの方が圧倒的に変換効率が高く、その分だけ、消費電力の低減に貢献しています。
3. 同一の BOM、および PCB 設計による日本 (920MHz)、欧州 (868MHz)、および米国 (915MHz) のサポートを実現
CC1310は以下規格に対応していますので、世界での利用を検討されているシステムに適しています。
- ETSI EN 300 220, EN 303 204(欧州)
- FCC CFR47 Part 15(米国)
- ARIB STD-T108(日本)
※注意事項
LAUNCHXL-CC1310 は、日本の技術基準適合証明は取得しておりません。電波暗室や電波暗箱の外で使うと違法となってしまいますので、恐れ入りますが、お客様の判断でご使用下さい。
もし、お客様自身で技術基準適合証明の取得をお考えでしたら、マクニカで実際に LAUNCHXL-CC1310 25台分の技適を取得した記事がございますので、ご参考になればと思います。
技術基準適合証明取得までの道のり 第1話「技適を取ろう」
技術基準適合証明取得までの道のり 第2話「書類の準備」
技術基準適合証明取得までの道のり 第3話「試験実施」
アプリケーション例
- ビル・オートメーション機器
- 産業機器
- セキュリティ・システム
- スマート・メーター
- ワイヤレス・センサ・ネットワーク

付属内容
型 名 | LAUNCHXL-CC1310 |
付属品 |
|
おすすめ記事/資料はこちら
Sub-GHz帯無線通信の飛距離を測定してみた 前編「まずはやってみよう」
Sub-GHz帯無線通信の飛距離を測定してみた 後編「改良して2kmに挑戦」
技術基準適合証明取得までの道のり 第1話「技適を取ろう」
技術基準適合証明取得までの道のり 第2話「書類の準備」
技術基準適合証明取得までの道のり 第3話「試験実施」
商品の購入はこちら
LAUNCHXL-CC1310
※本評価ボードは国内の技適認証を取得しておりませんので、お客様の判断でお使いください。